2021年3月22日月曜日

田村 明 まちづくりと景観 (岩波新書)


『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編ラスト48日

 今年の桜は早くなりそうだと、天気予報が告げています。新潟市では3月中に開花すると言う予報もあるようです。せっかく咲いても今年も花見の自粛を呼びかける声も多く、とても残念に思います。満開の桜の下、美味しいお酒を飲める日が早く復活して欲しいものです。

 さて、今日お勧めする本は、都市や住宅地などで好ましい景観をつくり上げていくことを論じた本です。

 本書の主旨は、景観の主体はそこで暮らす市民なので、市民がその気になり行動することが大事って事だと思います。

 正直言って、本書では景観について言葉で論じているのが主ですので、かなりわかりにくい部分があり、とっつきにくい本だと思います。しかし、逆に、ただ見て綺麗な街の写真集などと違い、景観をどのように作り上げていくのかを言語化して伝えているところが本書の魅力です。

 本書のまとめというべき、美しい都市景観づくりの19箇条を書き抜いておきます。そこには、都市景観は自覚ある市民が思いを込めて協働し、長年かかって作り上げていく作品であるとあります。決して官などの主導で簡単に作れるものではないことが大事だと思います。

①自然の地形を尊重し、できるだけ生かしていく。
②特色ある自然の山・川・海・湖などを極力意識的に見せる。
③連続した時間の証明者である歴史的遺産を尊重し、現代に生かす。
④都市を拡散させないで、できるだけコンパクトにして、豊かな田園を保持する。
⑤都市の上空は市民総有の空間としてコントロールする。
⑥都市を一望で捉えられる眺望点を確保し、市民が都市の実感をもてるようにする。
⑦協働作品としての都市景観に、個性ある統一性を求める。
⑧統一を見ださない範囲の多様性を奨励し尊重する。
⑨道路は人間のためにあることを確認し、歩行者空間を拡大する。
⑩都市のシンボルをつくり、市民が一致できる共感点を育てる。
⑪都市に潤いとくつろぎを増やすため、緑と花と水場を増やす。
⑫「まち」に優れたアートやデザインされたストリート・ファニチュアを置く
⑬地域の素材をできるだけ使い、地域の色彩を見つける。
⑭地域にそぐわない不良物を排除し、その侵入を防ぐ。
⑮人々が楽しく安心して働き、憩う場を作り、市民の交流を深める。
⑯都市を舞台にして、伝統の祭り、魅力的な新しいイベントを繰り広げる。
⑰日常生活の中で、市民の愛情ある手がいつも加えられていること。
⑱ヒトやモノへの人々の優しい気持ちを育てる。
⑲子供のときから老人まで「まち」への関心を深める教育・学習を行う。
⑳番目は各地域で追加してほしいとのことです。

是非ご一読ください。

 

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