2020年12月31日木曜日

村上 世彰 生涯投資家 (文春文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編237日目


 今年もあとわずか、皆さま大変お世話になりました。今年はコロナ禍により色々と史上初が連発しましたが、私も様々なことを始めた一年となりました。筋トレ、ダイエット、七輪、家計の見直し、投資信託と、まさにターニングポイントになる年でした。来年は一年遅れの東京オリンピックの年です。明るい一年になるよう祈っています。


 さて、今日お勧めする本は、悪名高き村上ファンドについて、決してマスコミでは報道されることのない一面に触れることのできる一冊です。


 本書は村上ファンド元代表村上世彰氏ご自身による半生記です。私には、村上ファンドといえば、金のためなら何でもやるという悪役のイメージしかありませんでした。しかし、本書を通じて著者から伝わってくるのは、適正なお金の流れができるように変えないと、日本はダメになるよ!という憂国の叫びでした。


 著者の主張は、コーポレート・ガバナンスと言われる、株式会社であれば株主の利益を最大限に実現できているかどうかにより企業経営を管理監督する仕組みを、当たり前のこととなるように普及する事です。そのコーポレート・ガバナンスを大切にして、株主重視の企業経営を徹底することが、資本のながれをつくり、経済発展の元になるため、日本の未来に絶対に必要と言う事です。


 株価が上がれば株主は当然儲かるため、ファンドを運営する著者が一石二鳥と考え、それを重視するのは当然の事です。しかし、世間には著者の儲けという片方だけに歪められて伝わったため、強烈なバッシングと誤解を受けることとなりました。


 私も著者を金儲けの権化として毛嫌いしていましたが、本書のおかげでそれは自分の視野狭窄によるものだと気付くことが出来ました。


 著者はすでにファンドの運営から離れ、金儲けに責任を負っているわけではありません。しかし、日本の未来を思うゆえの、コーポレート・ガバナンスの導入と金融業界の健全性に対する想いは、昔も今も変わっていない様子が、文章から伝わってきました。


 明日新しい年を迎える今日、ぜひみなさんにお勧めしたい本です。



2020年12月30日水曜日

野口 悠紀雄 「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編236日目


 年賀状を出した後は、いよいよ大掃除の開始です。今日はまず水回りから始めました。そして本棚などの整理に手をつけていきます。本棚の整理はついついパラパラとページを捲り、時間を奪われてしまい終了です。最近はもっぱらkindleで書籍を購入しているので、本棚のメンツは代わり映えしませんが、それでも、手を出さずにいられない。


 さて、今日お勧めする本は、書類や資料を頭を使わず機械的に整理ができる方法について指南するものです。


 本書の主旨は、資料を分類するのではなくて、淘汰が起こるような仕組みを作れば、整理は簡単にできるよ。ってことだと思います。


 書類など資料を整理しようとする時、ほとんどの人は内容ごとに分類して整然と並べようとしてしまいがちですが、著者はそれが間違いの元であると喝破します。そして、書類は使った単位でひとまとめにして封筒に入れ、使った後は本棚の左端にしまう。これを繰り返す事で常に新しい情報が左側、右にいくほど古く不要な情報が固まってきます。


 書類の整理で不要な資料を捨てる時は右から順に捨てていけば常に必要な資料が残るこの整理法を押し出しファイリングと名付け、その利点を説きます。紙の資料だけではなく、パソコンのデータなど、広く情報の取り扱いに話が発展していきます。


 1990年代の本ですが、今でも学ぶべき点も多いと思いますので、ぜひご一読をお勧めします。



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2020年12月29日火曜日

石持 浅海 カード・ウォッチャー (ハルキ文庫 い 18-1)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編235日目


 年末年始の休み初日は、年賀状を書いています。キチンとした人はクリスマス位には出しているのでしょうが、ズボラな私は毎年このタイミングです。最近は出さない人も増えて来ているようですが、私は親戚や恩人、友人に向き合えるこの習慣に豊かさを感じて、やめられません。


 さて、今日お勧めする本は、事件の解決が目的では無い、ちょっと変わったミステリーです。


 本作の探偵役は、労働基準監督署の北川。物語の舞台は塚原ゴムという会社の研究所です。そこは、少ない職員で業務をこなすため、恒常的にサービス残業が行われている部署です。


 ある日、そこで職員が座る椅子が壊れ、怪我をします。労働基準監督署で問題視され、臨検のため職員が派遣されます。それが北川。


 臨検に備える最中に、塚原ゴムの職員八尾が研究所の倉庫で死んでいることが見つかります。


 そこに臨検で訪れた労働基準監督署の北川が、名探偵のように謎を解いていきます。その登場人物たちの発言から真実を見抜いていく謎解きの様子が実に軽妙で楽しめました。


 ミステリーとして、十分面白いのですが、そもそも労災とはどういう事か?会社のためにと思って当たり前にやっている事は実は労働基準法違反じゃあないのか?など、労働基準法の基本がよくわかる、いわゆるタメになる小説です。


 舞台となった塚原ゴムのようにサービス残業を強いられても必死に働いているサラリーマンが現実にたくさんいるだけに、このような小説はもっと読んでもらってもいいと思います。


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2020年12月28日月曜日

荻原 浩 神様からひと言 (光文社文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編234日目


 今年もあとわずか、今日御用納めという会社も多いのでは無いのでしょうか?今年も色々とありましたが、私の仕事で言えば、長岡に転勤になった事が最大のニュースだったと思います。転勤が決まった時は単身赴任するつもりでしたが、今では新幹線通勤を悠々と楽しんでいます。こうやって、毎日ブログをアップする時間を作ることもできました。本当に便利な世の中です。


 さて、今日お勧めする本は、リストラされそうになっても頑張るサラリーマンを描いた小説です。


 主人公は、大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉凉平です。佐倉は入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となります。


 「お客様相談室」では、クレイマーからのクレームに対して、お詫びセット

を持って、形だけの処理をしているようなまさにオワコン状態の部署ですが、佐倉は公園でホームレスの神様と出会い、その言葉から自分の見方を変えていきます。


 そうして見えて来た、同僚たちの長所に気付き、佐倉は変わり始めます。どんなに不遇な環境になっても奮闘する佐倉を神様は見てくれているのか?お客さんと腐った会社の間に挟まれ頑張るサラリーマンに元気をくれる一冊です。 


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2020年12月27日日曜日

竹内 薫 99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編233日目


 納得のいかない幕切れだったのではないのでしょうか?バスケの全国高校選手権に出場し、順調に勝ち進んでいた新潟県代表の開志国際高が、初戦の対戦校の関係者から新型コロナウィルスの感染者が出たため、主催者から棄権するよう指示され、途中棄権となったそうです。それも、対戦校の陽性者はベンチ入り選手でも監督でもなく、開志国際高の関係者の隔離は不要との事。チームに感染者がいないのに、棄権させられるなんて、酷い話だと思います。


 さて、今日お勧めする本は、科学の常識を鵜呑みにしないよう警鐘を鳴らす本です。


 本書の主旨は、タイトル通り、科学的に説明されている事のほとんどが仮設に過ぎないよ、って言う事です。


 本書では、初めに飛行機が飛ぶ仕組みが実は科学では解明されていないことから説いていきます。そこから、今では常識的に語られている科学的説明のほとんどが仮説に過ぎず、科学的な常識が明日にも覆る可能性を示唆しています。


 そして、天文学などこれまで研究が進んでいく過程で常識が覆る様々な科学的トピックスを紹介して、常識に縛られず新たな仮説を受け止めることのできる、真に科学的な「ものの見方」を理解することを推奨しています。


 何が正しいかどうかには拘らず、科学の歩みがとても面白いと思いますので、ぜひご一読ください。


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2020年12月26日土曜日

久繁 哲之介 競わない地方創生 ―人口急減の真実―

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編232日目


 今日の新潟日報に今年の関越道の立ち往生を受け、NEXCOが躊躇なく通行止めするという対応策を発表したようです。これは本当に歓迎すべき対応策なのか、私は大いに疑問に思っています。大雪が降って、立ち往生したのは道路管理者のせいというのは、一部は正しいようで、反面怖いことと思います。なぜなら本来、そんな雪の日に移動することは自己責任という考え方もあると思うからです。こうやって、世の中は安全性と引き換えに自分の選択肢を放棄していきます。私には辛いトレンドです。

 さて、今日お勧めする本は、地方創生のための地方公共団体の施策をビジネスモデルに還元してわかりやすくダメ出ししてくれるものです。

 本書の主旨は、地方創生はどこにも真似されないブルーオーシャンを目指しましょうという事だと思います。

 本書を通じて語られるのは、「地方創生と地方自治に、ビジネスの基本を活かしたほうが成功すると思いますよと言う主張です。

 成功事例としてあげられた「ますがた荘」は地元の好きなお店だったので、それが全国区のビジネス本で絶賛されている様子は、我が事のようにうれしく思いました。

 一方、地方公務員へのダメ出しには耳が痛いのですが、首尾一貫して語られる顧客目線については大変勉強になりました。役所のとるべき戦略は、大企業向けの効率戦略、いわゆるファストフードの価格競争ではなく、地元の食材や人材を活かしたスローフードのような、人のつながりの価値を売る交流戦略であるべきとのことでした


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2020年12月25日金曜日

有川 浩 フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編231日目


 家計の見直しをガンガン進めていますが、とうとう住宅ローンの借り換えの検討を始めました。キッカケは今借りている住宅ローンの3年固定金利見直しが来年2月にあると銀行からのお手紙。そこに書いてあったのは、年率1.7%。超低金利時代の今、少し高すぎるようです。色々調べてみると、借り換えには諸費用がかかり、安くなるかどうかのラインは借入残高1000万円以上、10年前から借りているローン。私のところは十分検討の余地があるようです。


 さて、今日お勧めする本は、フリーターが一念発起して成長していく物語です。


 主人公は就職先を3カ月で辞めて以来、自堕落気侭に親の臑を齧って暮らす誠治です。最初はダメダメな誠治が、母親の病を機に一念発起してバイトに精を出し、バイト先のおっさんに認められます。そこから、初めて小さな自分と向き合う事ができて、成長していきます。


 その成長の過程がこの作品の肝で、誠治は周りから高い評価を受けても決してダメダメだった自分を見失わず、少しずつ経験を重ねさらに成長していくんです。本当にやりたい事とか、自分が夢中になって取り組める仕事は、目の前の事に一生懸命に取り組んで初めて見つけることができるようです。


 本書から私は、人間の成長に一番大切なものは、客観的に自分や周りを見る力なのだろうということに気づかされました。周りのキャラも暖かくとても良い作品でした。



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2020年12月24日木曜日

高杉 良 小説ヤマト運輸 (新潮文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編230日目


 早くも今日はクリスマスイブですね。平成の時代は23日が祝日でしたが、令和になってからは12月のカレンダーは真っ黒です。うちでは、子供へのプレゼントはいつもネット購入していましたので、この時期の宅配にはお世話になっていましたが、ドライバーの皆さんは今日は家族とクリスマスを過ごせるのでしょうか?大変なお仕事に頭が下がります。


 さて、今日お勧めする本は、宅配業界ナンバーワンのヤマト運輸の社史ともいえる小説です。


 本書では、創業社長の小倉康臣氏と、その長男で二代目社長の小倉昌男が、業界の常識や慣習を打ち破るイノベーションを起こし、今の圧倒的なシェアを確立していく過程が描かれています。


 そもそも、宅配便というサービスがなかったところから始まり、それに宅急便と命名するくだりをはじめ、消費者目線でのサービス開発に心を打たれます。


 しかし、運輸省などとの事業認可をめぐる争いなどその道が決して楽では無かった事、その困難を消費者を思う情熱で乗り越えた事が、本書を通じて改めて知る事ができます。


 ネット社会を縁の下から支える大事なインフラの成り立ちを知るために、ぜひご一読ください。



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2020年12月23日水曜日

佐藤 健太郎 「ゼロリスク社会」の罠 「怖い」が判断を狂わせる (光文社新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編229日目


 コロナの第三波が猛威を奮っており、とうとうGOTOトラベルの停止など、残念な状態になっています。コロナ絡みで8万人が失業しているとの報道もあります。どうも世間では勘違いされているように思うのですが、春先の緊急事態宣言からの行動自粛の要請は、感染者数のピークを緩和する事が目的だったはずです。そして、GOTOトラベルをはじめとするキャンペーンは、コロナによる経済的ダメージが深刻であるからにほかなりません。経済活動を健全化するためには、多少の感染者数増加は許容すべきであり、各国の感染状況から考えても、1日感染者数5万人位に対応する準備が必要だったのではないかと思います。今からでも、感染者数1万人時代への備えを進める検討を始めて欲しいです。


 さて、今日お勧めする本は、リスクに対する日本人の気質について警鐘をならすものです。


 本書の主旨は、リスクは「怖い」ではなく、「どれくらい」と言う問いかけが常に必要だよって事だと思います。


 本書では、日本はゼロリスクという幻想に囚われる「リスク過敏症」に罹っており、それが長引く日本の不況の一因ではないかと警鐘を鳴らしています。


 なぜ、リスクに過敏に反応してしまうかと言うと、リスクがどれくらい危ないのかという、定量的評価ではなく、ただ本能的に怖いという定性的な評価で判断をしているから。つまり、「君子危うきに近寄らず」が金科玉条として取り扱われているからのようです。


 原発事故についても、どのくらい危ないのかという議論がないまま、怖いという世論により、莫大な費用を投じる政策決定がなされてきたそうです。


 本書の結論として、目先のリスクに惑わされてゼロリスクの幻を追うのではなく、ある程度のリスクを受け入れること。本能的判断も重要ではあるけれど、リスクを定量的に捉えて広い視野で判断してゆくことも同じように重要と結ばれています。


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2020年12月22日火曜日

東野 圭吾 赤い指 (講談社文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編228日目


 落語家の林家こん平師匠が、今月17日、誤えん性肺炎のため亡くなったとの、ニュースがありました。笑点で活躍していた頃の元気なキャラクターを思い出し、とても残念に思います。御冥福をお祈りします。


 さて、今日お勧めする本は、老人介護などを含めた様々な親子のありかた(特に親不孝)をつなぎ合わせて一つの事件を描いた小説です。


 ある住宅街で幼女殺害事件が起きます。犯人はメインキャラである前原昭夫の息子です。前原は事件を隠蔽するため、遺体を公園に運びます。事件を捜査する刑事は、本作を含むシリーズの主人公加賀恭一郎です。加賀刑事の追及に、もう誤魔化せないと感じた前原は、認知症の母、政恵へ罪をなすりつけます。しかし、前原の嘘を見抜いた加賀刑事は、そこからさらに少しずつ前原を追い詰めていきます。加賀刑事はどこから事件の真相にたどり着いたのか?


 私は、本作を読んで、この容赦のないストーリー展開と描写から、自分の親不孝ぶりを目の前に突きつけられているような感覚を覚え、かなりショックを受けました。しかしラストはぐらぐらと力が抜けていく様に解放されるところもあり、こんなひどい結末にもかかわらず救いを感じます。親不幸している自覚のある方にお勧めします。ガツンときますよ!


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2020年12月21日月曜日

誉田 哲也 あなたが愛した記憶 (集英社文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編227日目


 昨夜は、お笑い最大のイベントMー1グランプリが生放送されました。放送中何度もコメントがありましたが、コロナ禍で開催した事には、関係各位のご尽力に本当に感謝です。私は毎回録画して一人都合の良い時に観るのですが、今年は家族と生放送を楽しみました。隣で笑い転げる息子を見て、お笑いは家族みんなで笑って観ると何倍も面白い事に気が付かされました。


 さて、今日お勧めする本は、輪廻転生を扱ったホラーサスペンスです。

 

 主人公は、興信所を営む曽根崎栄治です。プロローグでは、いきなり主人公が拘置所にいるところから始まります。


 本編では、曽根崎の前に、女子高生・民代が現れます。民代は、十九年前に突然姿を消した恋人・真弓が産んだ栄治の娘だと言い、二人の人物を探して欲しいと依頼してきます。半信半疑ながら曽根崎が調査を進めるうち、民代は、調査対象者のどちらかが世間を騒がす残虐な連続監禁殺人事件の犯人だと言いだします。


 そもそも、民代とは何者なのか?親子であるから当然のことですが、出会った当初から真弓の雰囲気にそっくりです。


 最後はページをめくるのがもどかしいほど、のめりこみました。他の読者さんのレビューにもあるとおり、ストーリーが途中である程度分かってしまうのですが、先の読める話をどうやって書き進めていくのか興味深く、かえって物語の面白さを引き立てているようで、震えました。 正直、最後にある描写にはちょっと耐えられませんでしたが。そんなことがあっても読んで良かったと思える作品でした。



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2020年12月20日日曜日

谷川啓司 がんを告知されたら読む本―専門医が、がん患者にこれだけは言っておきたい“がん"の話

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編226日目


 今年はインフルエンザの流行が始まっていないとの事。コロナ対策が思わぬ成果を出しています。私は、インフルエンザは季節的なもので、防ぐことは出来ないと思っていましたが、みんな本気を出して感染症対策をとれば防ぐことができるのだと思い知らされました。


 さて、今日お勧めする本は、ガンについて常識だと思っていた事を覆してくれる本です。


 この本の主旨は、ガンになったとしても、あわてないで天寿をまっとうするように生きることができるんではないか?っと言うことです。


 まず、本書で語られるのは、ガン細胞そのものに痛みや苦痛を引き起こす性質は無いことです。ガンの本質は、役に立たない細胞が異常増殖して正常な細胞の働きを阻害する病気だとの事。ガンそのものが苦痛なのでは無く、正常な細胞が機能しづらくなって苦痛をもたらすとの事。


 しかし、いくらガン細胞が苦痛を引き起こさなくても、命を縮める事は確かです。そのガンに対する三大治療、手術、放射線、抗ガン剤についてそのメリット、デメリットについてもちゃんと教えてくれます。その中で、一番大切なのは、治療の目的だそうです。


 本書の評価が分かれる点は、このガン治療の目的という点だと思います。本書では、ガン治療では、時として完全に治ることを目標に設定しない方がいいと説いています。


 それは、ガンを完治させることが現時点では難しい事から、ガンに侵されていても、完治ではなく元気に天寿をまっとうすること、つまり延命を目的にしてはいいのでは無いかという提案です。


 私は、本書の考えに賛成で、とても良い考え方だと思っています。そもそも、ガンが増えてきたのは、単純に他の病気で死ななくなっただけの話で、ガン罹患と老化は同義と言っても差し支えないようです。


 今はかなり身近となってしまったガンに自分が罹った時のことを想定するためにも、ご一読ください。



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2020年12月19日土曜日

百田 尚樹 フォルトゥナの瞳 (新潮文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編225日目


 今日の未明、近所で火事があり、一人暮らしのおじいさんが亡くなってしまいました。巻き上がる火の粉や、炎の勢いに、あらためて火事の怖さを感じました。風は強かったのですが、延焼が無かったのが不幸中の幸いでした。寒い夜、懸命に消火にあたった消防の方々に感謝です。


 さて、今日お勧めする本は、人の死を知る能力をめぐる小説です。


 本作のテーマは、自分の生命は他人のために使うべきか?という事だと思います。


 主人公は、町工場で働く木山慎一郎です。慎一郎は、幼い頃に家族を火事で失い、友人も恋人もなく、 天涯孤独の身で日々過ごしています。


 しかし、あることから他人の死の死期を視る力を持っていることに気が付きます。慎一郎はその能力を活用して何人かの生命を救う様になりますが、それと比例して自分の身体が不調になって行きます。


 そして、ある日自分と同じ能力を持つ黒川という人物に、人の生命を救うたびに、自分の生命が犠牲になることを知らされます。他人の生命を救うために、自分を犠牲にすべきかどうか?慎一郎は、過酷な選択を迫られます。


 感涙のラストに向けて一気読み必至の傑作です。ぜひ、ご一読ください。

 


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2020年12月18日金曜日

渡辺 京二 黒船前夜 ~ロシア・アイヌ・日本の三国志

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編224日目


 関越自動車道では大雪の影響で16日発生した車の立往生が続き、今も解消する見通しは立っていないそうです。一時はおよそ1100台が、立往生したとの事ですから、大変な事だと思います。ドライバーの方々の身体が心配です。


 さて、今日お勧めする本は、北海道から樺太など北の日本史です。


 本書では、18世紀から19世紀にかけて、開国前の日本とロシア、そして両者の間にたつアイヌとの交流譚を史実をもとに伝えてくれています。開国などと言うと、アメリカ、イギリスなどとの歴史は習うのですが、北の方面は習うどころか、知識の空白域になっている方もいるのではないでしょうか?私も本書を読んでその事に気が付きました。


 北海道、千島列島、樺太、アリューシャン列島と広く分布していたアイヌ民族がロシアや日本と交易することで暮らしを成り立たせていたという事や、18世紀始めにはロシアと友好的な国交が開かれる可能性があったという事は興味深い話でした。


 日本の成り立ちを知るためには、必要な内容だと思いますので、ぜひ、ご一読ください。


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2020年12月17日木曜日

朝井 リョウ 何者 (新潮文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編223日目

 プロレスラー木村花さんがSNSで誹謗中傷された後に死去した問題で、警視庁はツイッターで中傷する投稿を繰り返したとして、侮辱容疑で、大阪府箕面市の20代の男性を近く書類送検する方針を固めたそうです。SNSでの言動が罪に問われる時代になってきました。あたりまえのことですが、匿名であろうが、ネット上であろうが、節度のある言動が求められているようです。


 さて、今日お勧めする本は、就職活動中の学生たちを取り上げた小説です。


 本作の魅力は、登場人物それぞれからのお互いの見え方とその関係性についての考察が生々しく表現されているところです。


 登場人物は、就職活動を目前に控えた拓人、同居人・光太郎、光太郎と別れた瑞月、瑞月の留学仲間・理香、理香と同棲中の隆良の5人。


 5人は就活対策として集まるようになるのが物語の流れですが、SNSでの投稿や、面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、少しずつ披露されていき、最後には大喧嘩になってしまいます。


 最後に明かされる秘密が、今の時代ならではのちょっとした怖さがあって、面白かったです。SNSも取り入れた快作です、ぜひご一読ください。

 


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2020年12月16日水曜日

ジャック・ロンドン 他2名 火を熾す (柴田元幸翻訳叢書―ジャック・ロンドン)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編222日目


 ほとんど雪の降らなかった昨年とは違い、いつもの冬が戻って来た様です。長岡では12月から大雪になっています。やはり雪が降ると寒さの質が違うように思います。


 さて、今日お勧めする本は、ジャックロンドンの短編集です。


 この作品の魅力は、生きることの生々しさが伝わってくるところです。


 本書には、以下の9篇が掲載されています。雪やボクシングの話がほとんどです。

火を熾す|To Build a Fire 

メキシコ人|The Mexican 

水の子|The Water Baby 

生の掟|The Law of Life 

影と閃光|The Shadow and the Flash 

戦争|War 

一枚のステーキ|A Piece of Steak 

世界が若かったとき|When the World Was Young 

生への執着|Love of Life 


 9つの作品に共通しているのは、とにかく生きるために戦っていること。表題作「火を熾す」では、雪のユーコン川を一人で行く男が、雪を踏み抜き、足を濡らしてしまいます。このままでは、凍傷となり動けず死に至るので、火を熾し乾かそうとする話です。この単純なストーリーがめちゃくちゃ面白く、深い作品となっているのですから、小説の面白さの原点があるのではないかと思います。


 生きているということは、死なないこと、死に抗い続けることという事に気付かされました。なぜなら、今の日本は死に直面することがあまりに少なく感じるからです。死んでるみたいに生きたくない人やこの世が生きづらい人は、まずこの小説を読んで、生と死のダイナミックなコントラストを感じてほしい。そして冬のユーコン川をひとりで歩いてみてほしい。たぶん死ぬけど・・・。



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2020年12月15日火曜日

畝山 智香子 ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編221日目


 新潟日報によると、新発田市の東小学校が、本年度の学校給食表彰で文部科学大臣賞を受賞したとの事です。本年度は、12校受賞した内の一校との事ですから、大変めでたい話だと思います。最近の給食は、私が食べていた頃とは違い、地場食材を活用し、米飯が増え、郷土料理なども取り入れるなど、食育に取り組んでいるそうなので、ありがたい事だと思います。


 さて、今日お勧めする本は、食品の安全基準について、学ぶことの出来る一冊です。


 この本の主旨は、食品の安全性に関するメディアの情報はあてにならないので、煽られない様気を付けて、って事だと思います。


 本書では、残留農薬、食品添加物、発がん物質について、それぞれどんな影響があり、食品として安全とされる基準値がどのように決められているかを、詳しく解説しています。


 特に食品添加物については、安全に流通させるために使用しているものがほとんどなのですが、悪いイメージを持っている消費者が多い事。天然の食品が安全である様に有り難がられているが、実は危険な物もあることなど、著者は訴えています。


 食品に限った話ではありませんが、根拠が歪められ、ニュースとなる様な話には、気を付ける必要がありそうです。


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2020年12月14日月曜日

ひすいこたろう あした死ぬかもよ?

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編220日目


 私は今日誕生日を迎え、いよいよ50代に突入しました。孔子は50にして天命を知ると言ったそうですが、私にはまだ何が天命なのかわかりません。考えてみれば、藤井聡太二冠だって天命は知らないでしょうし、イチローも、ホリエモンも、知らないかもしれません。やっぱりね、「あともうちょっとで、俺も死ぬんだよな〜」って、終わりを自覚するところから、天命を知る事につながって行く様に思います。


 さて、今日お勧めする本は、死を自覚した生き方を勧める本です。


 本書の主旨は、死を遠ざけるのではなく、死と向かい合う事でかえって人生を豊かにすることができますよって事だと思います。


 誰しも、自分が明日死んでしまうかもしれない可能性は、否定できないと思います。それでも、なるべくそう思わず、死を遠ざける事により、人はのほほんと生きる事ができるので、殆どの人はそちらを選んで生きています。


 のほほんと生きた結果、死を前にして後悔する事の無いよう、死と向き合うために、著者は27の質問を投げかけて来ます。


 なぜなら、死をやみくもに恐れるのではなく、死を活用するためです。そして、死は、生を完全燃焼させるための、最高のスイッチにできるそうです。


 27の質問のうちで、私のお気に入りは、「自分のお墓に言葉を刻むとしたら、なんて入れる?」と、「あなたが両親を選んで生まれてきたのだとしたら、その理由はなんだろう?」の二つの質問が良かったです。


 自分の人生をブーストさせるために最適な一冊だと思います。ぜひ、ご一読ください。


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2020年12月13日日曜日

鈴木 るりか さよなら、田中さん

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編219日目


 以前紹介した、『ミッドナイト・バス』の映画が、29日にBSNで放送されるそうです。小説も良かったのですが、映画も県内ロケでいろいろなところが映っていて、すごく良かったので、テレビ放送も楽しみにしています。


 さて、今日お勧めする本は、中学生で作家デビューした鈴木るりかさんの小説です。


 この小説の魅力は、母子家庭でもビンボーでも幸せに生きる主人公花ちゃんのお母さんのセリフが前向きで、優しさと強さが伝わってくるところです。


 本作は、作者が「12歳の文学賞」を受賞した作品を改稿、書き足したものです。主人公花ちゃんとお母さんの母子家庭を中心とする連作短編となっています。


 花ちゃんは、「Dランドは遠い」(作者の初めての作品)で見せた健気さが素晴らしい。友達に誘われたDランドに行きたいのですが、フリーパスは6千円もします。花ちゃんにはお小遣いもお年玉の貯金もありません。そこで、友達と違い塾に行っていない花ちゃんは、有り余る時間を使って自動販売機の釣り銭拾いを始めます。一週間かけて180円しか得ることの出来ない花ちゃんの結論が素晴らしい。


 お母さんは、女手一つで花ちゃんを育てています。真っ黒に日焼けして、土木作業員として働いています。肉体労働からか、犬のようにご飯に食らい付き、たくさん食べても痩せています。そして、学歴はいまさらつかないけど、教養は後からでも身につくと、新聞をよく読み、新聞に書いてあることを絶対的に信じています。好きな言葉は「元が取れる」「買えば高い」「一山当てる」。


 一番のお勧め、最終話「さよなら、田中さん」では、そのお母さんと花ちゃんが、花ちゃんの同級生三上君が橋の上で思い詰めていたところを晩餐に誘います。スーパー激安堂で半額になっていたお惣菜で、ささやかなパーティーです。その時のお母さんのセリフが良かった。「悲しい時、腹が減っていると、余計に悲しくなる。辛くなる。そんな時はメシを食え。そして一食食ったら、その一食分だけ生きてみろ。それでまた腹が減ったら、一食食べてその一食分生きるんだ。そうやってなんとかしのいで命をつないでいくんだよ」


 何度も、涙腺を刺激される素晴らしい作品ですので、ぜひ、ご一読ください。


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2020年12月12日土曜日

伊坂 幸太郎 火星に住むつもりかい? (光文社文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編218日目

 新型コロナの感染拡大による医療逼迫に対応するため、自衛隊の看護師と准看護師計7名を大阪府に派遣するとの事です。あまりにも少ないと思って調べると、全国知事会からも20人規模で大阪と北海道に応援を出しているとの事。それにしても、全国で120万人も看護師は働いているわけですから、数十人規模の人員派遣の効果が、私には理解できません。いま、医療現場で何がどのように逼迫しているのかは、全く報道されていないのと同じだと思います。

 さて、今日お勧めする本は、昨日に引き続き、伊坂幸太郎さんの小説です。

 この作品のテーマは正義と偽善についてって事だと思います。

 この作品には平和警察と言う、戦時中の特高警察の数倍ひどい組織が登場します。平和警察は日本の治安を守るため、適当な人物をテロリスト等の危険人物としてでっち上げ、拷問して自白させ、見せしめのため公開処刑を行うイカれた組織です。中世の魔女狩りのように、目をつけられたら処刑されると言う状況が続きます。

 実際、平和警察の成果か、犯罪率も下がり、人々もひどい平和警察を容認するようになります。

 しかし、その平和警察に捕らえられた(無実の)危険人物を助けるライダースーツの男が現れ、そのライダースーツの男を捕まえようとする平和警察との対決と言った話になっていきます。

 物語の中盤から、そのライダースーツの男の自戒になっていくのですが、そこで出てくるのが、正義と偽善と言う問題であり、全ての人を救えないのは偽善であり、自分は正義のためではなく、違う意義により決めたルールで人を救うこととします。なぜなら、彼の祖父や父がたまたま行った正義に対して、偽善と非難される事を恐れ命を失った過去があるからです。また、彼の平和警察への抵抗も、たまたま人を救っているだけで、強い正義感に基づく行動ではありません。

 平和警察とライダースーツの男の対決はどんな結末を迎えるのか、作者が描いた驚きのラストシーンまで、一気読み必至の作品となっています。

 私は、作者がしめす、偽善に対するよい意味でのこだわりを感じ、強く共感を覚えました。曰わく、偽善だ偽善だって騒ぐ人はいわゆる良さそうな行いが鬱陶しいだけなんだと。

 確かに人の行いを善だ偽善だと論評するような輩には、善行は期待できないし、偽善となじられることを気にしていては、いざ人のために動くべき時に動けないのではないかと思いました。

 警察が魔女狩りよろしく恐怖政治を行うという、ハチャメチャなストーリーの中で、正義、偽善、生と死など、読書に問いかけられた命題は重いと感じました。


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たんぽぽレストラン 胎内市本郷 

 今日のお昼は、胎内市本郷のたんぽぽレストランで、キンキの煮付けチキンカツ定食を食べて来ました。

 このお店には先週末初めて来たのですが、息子のリクエストで2週連チャンする事になりました。キンキの煮付けが最高に美味しかったです。
地元で人気のお店なのか、お客さんの年齢層は高いのですが、ひっきりなしにお客さんが入ってきます。GOTOイートお食事券も使えるので、助かります。
^_^

キンキの煮付けがプルプルで最高。

 
煮付けとチキンカツの定食850円です。向かいは、ヒレカツ定食180g 1340円


こちらは、先週食べた、モツ煮定食750円

テーブルにコンロも付いていて、焼肉も焼けるようです。

カツの定食は100gと180gから選ぶ事ができます。

2020年12月11日金曜日

伊坂 幸太郎 サブマリン (講談社文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編217日目


 新聞で読んだのですが、児童手当について、世帯主の年収が1200万円以上の場合は支給をやめるそうです。これは、2022年10月支給分からとの事で、政府はこの浮いた財源を待機児童解消に向けた保育所整備に充てるとの事です。私は、どれだけいるかわかない年収1200万円の人には申し訳ないけど、こう言う改正なら大歓迎です。


 さて、今日お勧めする本は、以前紹介した、『チルドレン』という作品の続編です。


 前作にも増して、型破りな家庭裁判所調査官の陣内が家庭裁判所に送致されてきた犯罪少年たちに対して、痛快に喝破しまくりです。


 陣内は、一筋縄ではいかない犯罪少年に「お前があからさまに法律違反をしているのが分かったら自分たちが叱られるから、表面的にいい子にしていろとは言いにくいけど、頼むからいい子にしてろ」と、言っちゃうような人です。


 最近は、少しでも法に触れた行為が世間に知られると、ネットで袋叩きにあうような、了見の狭い世の中になってます。そんな過剰反応とも言える世論に流されないためにも、陣内のはちゃめちゃな屁理屈に付き合う事は、とても大事な事に思えて仕方ありません。


 本書も前作からブレることなく、少年と犯罪と正義と世間について独特の考え方が展開されていく、爽快感を味わうことが出来ました。


 マスクをしていないと叱られるような、面倒くさいこのご時世。ぜひ、皆さんもこの爽快感を味わってほしいと思います。


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2020年12月10日木曜日

NHK取材班 NHKスペシャル 生活保護3兆円の衝撃 (宝島SUGOI文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編216日目


 75歳以上の高齢者が医療機関で払う窓口負担の1割から2割への引き上げを巡り、対象者を単身世帯で年収200万円以上とすることで菅義偉首相と公明党の山口代表が合意したとの事です。所得上位30%の約370万人が該当するそうです。先日紹介したお金の大学では、日本の医療保険制度は世界一だから保険は要らないと書いてありました。今回のニュースは、一見高齢者が大変なように見えて、やはり手厚い社会保障の状況が見いたように思いました。


 さて、今日お勧めする本は、一時世間を騒がせた、生活保護についてのルポタージュです。


 この本の主旨は、国の税収の10分の1に迫る生活保護について、国民全体がちゃんと知っておくべきでは無いか?って事だと思います。



 生活保護受給者が2011年7月で過去最高の205万人と過去最高を記録。生活保護費への予算は国の税収40兆円の10分の1の4兆円に迫っています。


 生活保護受給者の中には、高齢者でもなく怪我や病気で働けなくなったわけではなく、働く力がありながら生活保護を受けているという人たちが25万世帯もあるという。


 働く事が出来ず、生活する事が困難な生活保護受給者は大半でしょうが、中には?と思われる人もあるそうです。


 例えば、派遣切りなどで仕事を失った人が次の仕事になかなかつけず、生活保護を受け始めると何もしなくてもお金が貰えるので再び働こうという気力が起こらず、その生活から抜け出せない人もいるとの事。


 本書を読んでいると、明らかに制度設計とその運用のミスでは無いかと思うところが、多々あります。セーフティーネットと言うより、まるで蜘蛛の巣のようで、一度嵌ると抜けられない制度のようです。


 センセーショナルに書いてある事は話半分にしても、知る事は大事と思います。ぜひご一読ください。


 








2020年12月9日水曜日

東野 圭吾 天空の蜂 (講談社文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編215日目


 2030年前半、ガソリン車販売禁止と言うニュースがありましたが、これは政府が正式に発表したものではなく、経済産業省の施策の一部がメディアに漏れたというのが事実のようです。あと10年ちょっとで、こんな大変革が起こる事は難しいとは思いますが、世界的な潮流には逆らえないので、注意は必要かと思います。まずは電力供給ににいての議論が必要だと思います。


 さて、今日お勧めする本は、ベストセラー作家が描く、原発問題に関する小説です。


 本書の主旨は、反原発も原発推進も互いを批判してばかりでは、悲劇しか生まないよ、お互いを許容する事から始めなければ解決の糸口は見つからないよ、と言う事だと思います。


 あらすじは、テロリストにより超大型特殊ヘリコプターのコントロールが奪われます。テロリストは、そのヘリコプターに爆薬を満載し、稼働中の原子力発電所の真上で、無人操縦でホバリングをさせます。テロリストの要求を拒絶したり、ヘリの燃料が尽きると、原子力発電所が爆発して、放射能汚染が広がる大惨事となります。日本国民すべてを人質にしたテロ行為です。この事件解決の中で、原子力行政に振り回された人々が浮かび上がってきます。


 作中、犯人からのメッセージには「沈黙する群衆に、原子炉のことを忘れさせてはならない。常に意識させ、そして自らの道を選択させるのだ」とあります。私はここで反原発か原発推進か選択して終わりとはせずに、常に自分の選択の正当性を問い続けながら、相対する立場の人を許容するロジックも同時に育む必要があると感じました。



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2020年12月8日火曜日

ジョージ・S・クレイソン 他1名 バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編214日目


 PayPayがハッキングされたとの報道がありました。加盟店の名称、住所、代表者名など2000万件超の情報が流出した恐れがあるとの事です。一方、一般ユーザーの個人情報は流出していないという事なので、かすり傷にも満たない事件に思いますが、どうなのでしょう?だから、ネットは危ないなどと後ろ向きにならない方が賢明な事と思います。


 さて今日お勧めする本は、先日紹介した、漫画の原作です。その中でも触れましたが、しっかり紹介しておきたいと思いました。


 この本の主旨は、バビロンの大富豪の教えは、お金を増やす魔法ではなく、倹約と勤勉を勧める人生訓。って事だと思います。


 漫画の方にもあった、大富豪の7つの教えとか5つの黄金法則とか、キャッチーなのは否定しませんが、この本はお金の事だけで終わる内容ではないと思います。私は大きく三つの教訓を得ました。


 最初の教訓は、自分の収入の9割の支出で生きる事。これは前回も説明した通り、有名な教えです。貯金だけではなく、その範囲で倹約して生きる知恵が大事です。


 次に、本当に信頼できる人を見極め、その人を活用する事。これはいろいろな書き方がされています。例えば、うまい儲け話に騙されるなとか、その道のプロに投資しろとか、金持ちのやり方を真似ろとか、とどのつまり、人間関係を大切にしましょうと言う教えと私は理解しました。


 最後は、勤勉である事が最大の財産である事。本書は、九つの短編からなっているのですが、それぞれの主人公は、楽して儲けているわけではなく、必ず苦労をしています。逆境から這い上がるのは、結局勤勉であることしかないよ。と言う事が著者の一番のメッセージだと思います。


 前回の漫画でも教えの概要は掴めますが、やはりこの作品は原作に触れてほしいと改めて思いました。漫画では、いろいろ端折られている大切な箇所が多いのです。漫画より、昔話のような寓話っぽい感じが増して、教えもありがたく感じます。

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2020年12月7日月曜日

エドワード ハリソン 他2名 夜空はなぜ暗い?―オルバースのパラドックスと宇宙論の変遷

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編213日目


 「はやぶさ2」の、小惑星の砂が入っているとみられるカプセルが、オーストラリアで回収されたそうです。日本の技術力を世界に見せつける、大きな成果だと思います。素直に嬉しい。


 さて、今日お勧めする本は、夜空が暗いという一見当たり前のことから宇宙論の変遷を説く、一冊です。


 なぜ夜空が暗いのか?オルバースのパラドックスから考えるとなんとも不思議な現象だからです。オルバースのパラドックスとは、「宇宙の恒星の分布がほぼ一様で、恒星の大きさも平均的に場所によらないと仮定すると、空は全体が太陽面のように明るく光輝くはず」というパラドックスです。


 乱暴かもしれませんが簡単に言うと、星の数が無限にあるのなら、空一面に星があり、夜空も明るくなる。と言う話。現実として夜空は暗いので、パラドックスなのですが。


 本書では、オルバースのパラドックスについて、宇宙論の変遷に依りながら、説明を進めて行きます。この宇宙論というのが、とても面白い。もともと、宇宙論の発展がキリスト教圏で進められてきたこともあり、宗教と深く関わりながら、議論されてきたことがわかります。


 少し分厚く、手に取りづらい本ではありますが、とても面白いので、ぜひご一読ください。


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2020年12月6日日曜日

ジョージ・S・クレイソン 他2名 漫画 バビロン大富豪の教え 「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編212日目

 私の住む町内では、来年の役員が決まらず、大変な事になってます。主だった人達が、町内会長になる事を固辞しているからです。私にはそれがもったいなく見えて仕方がありません。なぜなら、人は周りに貢献すればするほど幸せになると思っているからです。町内会長なんて、最大級の貢献ですから、こんなにラッキーな籤にはなかなか当たりません。ただ、今回の役員人事は、なんとか解決の目処が付いたようです。

 さて、今日お勧めする本は、お金の勉強の中ではじめの一歩とでも言うべき、一冊です。

 この本の主旨は、収入の10%を貯金し続ければ、大富豪にだってなれるよ、って事だと思います。

 実は、今回は少しイレギュラーです。それと言うのも、私が読んだのは漫画バージョンなのですが、個人的なお勧めは原作である活字バージョンだからです。

 正直言って、漫画バージョンでも、大富豪になるための知恵は得られると思うのですが、できれば活字バージョンを読んでいただきたいと思うのです。

 皆さんも実感していると思いますが、楽して得られるものは少ないです。漫画バージョンを読むことは、簡単でしょうが、中身が薄く得るものが少なく物足りないのです。

 一方、活字バージョンは、若干読みにくそうですが、その分物語は面白く、得られる知識も多いようです。

 本書は、収入の一割を貯金しろと言う教え以外にも、古来の知恵にあふれています。多分、IT全盛の今の時代にも活かせる知恵だと思いますので、漫画でも活字でも、どちらでも良いので、ご一読ください。

 ちなみに私のお勧めは、漫画バージョンを読んで全体像を掴んでから活字バージョンも読むという両方読むバージョンです。

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2020年12月5日土曜日

相場 英雄 震える牛 (小学館文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編211日目


 今朝Amazonに頼んであった黒ラベルの24本入りが届いた。ネットショッピングは、安くて便利だけど、みんながそれをしてしまうと、リアル店舗が崩壊してしまうから、出来るだけ避けてきた。しかし、また安くて便利な仕組みに流れてしまった。コストと聞くと、少ない方が良いと思うが、コストが人件費である限り、誰かのお財布に入る大事な支援金だ。貧しい時はコストを節約した方が良いのだろうが、地域のためには、コストをかけてでも地域にお金を回せば良いのだろうし、とても難しいです。


 さて、今日お勧めする本は、三条市出身の作家、相場英雄さんの出世作です。


 本書の魅力は、ミステリー小説という体裁で、主題は自由市場主義へのアンチテーゼであるところ。コストカット競争の勝者は世の中に幸せをもたらしてくれるのだろうか?ここが最大のテーマです。プロローグとエピローグで刻まれる、言葉が良い。「極限まで推し進められた自由市場主義はおそろしく偏狭で、近視眼的で、破壊的だ」


 本作の主人公は、警視庁で迷宮入り濃厚な未解決事件を担当する田川。ある日、捜査一課長から特命で、ある事件の捜査を依頼されます。


 田川は、愛用の肥後守と言うナイフで鉛筆を削り、事細かに関係者の証言をメモしながら事件の真相に迫る、地取り捜査を得意とする刑事。早速取り掛かった捜査で、この事件の初動捜査が杜撰であった事に気付きます。


 事件の捜査と並行して、精肉店から大規模ショッピングセンターの全国展開にまで発展したオックスマートの経営陣が描かれる。取締役経営企画室長の滝沢が、マスコミなどから組織を守るための奮闘が本書のもう一つのストーリーとなっている。


 そしてもう一人、オックスマートが業績を拡大するために行った数々の不正を暴く事ために取材を続けるマスコミの鶴田。彼女は、ある情報提供者から、オックスマートが行っている食品偽装というネタに行き着きます。


 本書は、事件を捜査する刑事、会社を守るためグレーゾーンな仕事にも手を染める組織人、社会的正義を貫こうとするジャーナリストの三者の視点から、一つの真実に辿り着くように物語が進んでいきます。


 作中、新潟や三条が出てくるのですが、郊外のショッピングセンターにボロボロにされた、画一的な地方都市として描かれています。すこし寂しい反面、著者の視点で見る故郷は、また違ったところに見えて、興味深く感じました。


 ミステリーとしてはもちろん、社会派サスペンスとしても楽しめますので、ぜひ、ご一読ください。


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2020年12月4日金曜日

佐藤 芳之 歩き続ければ、大丈夫。---アフリカで25万人の生活を変えた日本人起業家からの手紙

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編210日目


 アフガニスタンで約30年にわたり医療活動や砂漠緑化に取り組んだ中村哲が武装集団に殺害されてから1年となります。国を渡りここまで功績残された故人はやはりすごい人だったのだと思います。あらためて、ご冥福をお祈りします。


 さて、今日お勧めする本は、今から50年以上も前にアフリカに渡り、現地で多くの人の生活を支える事業を起こした著者による半生記です。


 この本の主旨は、とにかくやってみる事、それを続けられたら大丈夫、と言う事だと思います。


「人生に無限の可能性なんてないのだけれど、最初の一歩を踏み出せば、今は想像もつかないほど遠くまで行けるかもしれない。」本書の中で最も好きな言葉です。


 PDCAサイクルで言えば、Dから始めろという、超前のめりな著者の思考法は、何事も始める前からグズグズしている私にとってとても刺激になるものでした。


 成功しても失敗しても、常に新しいことに挑戦し続ける著者。その、いつも一歩前を行く大先輩の言葉に大変勇気づけられる一冊です。やりたい事があっても何か躊躇してしまう事がある方に、お勧めします。


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2020年12月3日木曜日

両@リベ大学長 本当の自由を手に入れるお金の大学

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編209日目


 世界中が待っていた吉報です。アメリカ、イギリスで来週から、ファイザー社製新型コロナワクチンの接種が開始されるそうです。これで直ちにコロナが無くなるわけではありませんし、輸送などの課題は山積みですが、少なくとも危機は乗り越えたと言っても過言ではない思います。アメリカの株価も好調、投資も順調です♪


 さて、今日お勧めする本は、人気YouTuberが書いた、お金について学ぶ本です。


 この本の主旨は、豊かに楽しく生きていくために必須であるお金の知識を持たない人が多過ぎるよ、って事だと思います。

 

 この本では、お金にまつわる力を、支出を減らす力、収入を増やす力、資産を増やす力、資産を減らさない力、人生を豊かにする事にお金を使う力の五つに分けて、教授しています。


 特に、支出を減らす力を重点的に書いてあり、私もそこが一番刺さりました。


 著者曰く、日本の健康保険は世界一との事。そのため、CMなどに煽られて加入しているガン保険や医療保険は一切不要だそうです。保険は低確率、大損害に備える事を基本に考えます。それは、死亡、火災、事故です。そのため、掛け捨て生命保険、火災保険、対人対物無制限の自動車保険の三つで十分との事。


 それ以外の、ガンや病気、年金、介護に備える保険は全てボッタクリ商品との事です。例えば、医療保険に入る代わりに、貯蓄を最優先し必死に貯めると良いとの事。保険屋さんには申し訳ないけど、目から鱗でした。


 世の中に蔓延するうまい話を一刀両断してくれるところも良いので、この本を読んで怪しい儲け話から身を守る手段を身につける事も大切だと思います。


 私もこの本を読んで、早速20年続けたガン保険などを解約しました。今日が人生で一番若い日です。皆さんもこれから頑張りましょう!


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2020年12月2日水曜日

松本 清張 点と線 (新潮文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編208日目


 ジャイアント馬場さんのキャデラックが三条市に寄付されるそうです。ジャイアント馬場といえば超人気プロレスラーでしたが、息子達の世代にとっては全くわからない偉人なんでしょうね。さてはともあれ、三条市の宝として活用されたら良いですね。


 さて、今日お勧めする本は、昔一世を風靡したミステリー作家、松本清張さんの代表作です。


 この作品の魅力は、刑事達が必死の捜査により犯人のトリックを暴いていく過程だと思います。


 私は、この作品で初めて著者の作品を読んだのですが、あらためて松本清張ってすごい人だったのだと思いました。とにかく面白かったです。


 夜行列車や電報など、テレビでたまに見かける白黒の昭和の風景が描写されており、その時代の気分を味わえます。


 そのように、出てくる道具などに、今の時代とギャップを感じるところは多々ありますが、ミステリー小説としての面白さは全く色褪せていないと思います。


 なんといっても、主人公の刑事たちが、事件の真相に迫って行く捜査のシーンに引き込まれてしまいました。


 それほど長い作品ではなく、さらっと読めますので、ミステリー小説の古典として、ぜひご一読をお勧めします。



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2020年12月1日火曜日

齋藤 孝 読書力 (岩波新書)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編207日目


 今朝のニュースで見たのですが、鬼滅の刃ブームにのって、小説版の鬼滅の刃もヒットしているそうです。読書をお勧めしている私にはとても嬉しいニュースです。対象年齢は小学上級から中学生との事です。私は読書にのめり込んだのは、30代後半です。もっと若い時から読んでいたらとよく思います。ぜひお子さんへのプレゼントでもどうぞ。


 さて、すでに鬼滅の刃を勧めておいて恐縮ですが、今日お勧めする本は、日本で一番読書を進めている齋藤 孝先生による読書の勧めです。


 この本の主旨は、とにかく自分が大事なら読書をしよう、って事だと思います。

 


 本書で語られる読書と効果は、自分をつくるために、自己形成としての読書、自分を鍛えるための、スポーツとしての読書、自分を広げるための、コミュニケーション力の基礎となる読書、の三つです。


 これだけ熱く読書の良さを語ってくれる著者に感謝です。確かに読書は自分に与える影響が半端ではないと思います。今の自分に必要な本を教えてくれる、読書トレーナーという提案がありましたが、私も欲しいと思っていました。少なくとも読書仲間は居ると本当に励みになりますよね。お互い本を紹介し合うのはとても楽しいことです。 


 この本を読んだのを機会として、娯楽のための読書ではなく、体育会系の読書にも頑張ってみようと思い、頑張ってます。当書にはお勧めの文庫百選がありますので、ブックガイドとして購入されても良いですね。


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2020年11月30日月曜日

鴨頭 嘉人 人生で大切なことはみんなマクドナルドで教わった

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編206日目


 今日の新潟日報の窓欄は、10代の投稿を載せるきらきらキラリと言う企画の日でした。テーマは尊敬する人。ココシャネルやスティーブ・ジョブズに混じって、ゲーム実況などのYouTuberが挙げられています。いずれも投稿者を元気にしたり、頑張る気力をもらえたりと、プラスのエネルギーを与えているようです。YouTuberも立派に社会に貢献している事に気付き、あらためて時代の変化を感じました。


 さて、今日お勧めする本は、大人のためのYouTube講演家、鴨頭さんの書籍です。


 この本の主旨は、人生を豊かにするために、人を変えることは出来ないから、自分を変えましょう、って事だと思います。


 マクドナルドで数々の記録を作り上げた著者は、店長と言う立場になった時、大きな失敗をしています。それは、正しい自分のやり方で相手を変える事で、成果を上げようとしたが、相手は離れていくばかりで、変える事が出来ず、とうとう、自分も鬱状態になってしまったのです。


 そこから、転勤を機に、どんな相手であっても、相手を信じる事に決めて、実践して自分を変えた著者の快進撃が始まります。


 著者の体験したエピソードの他にも、本書には、仕事に活かせそうな言葉が満載されています。


 以下、書抜。 『ついつい上司は部下と機智や能力で競いがちになるものです。力のある上司ほどこの落とし穴にハマりやすいのではないでしょうか?僕は"自分を越える部下を育てる上司"へのチャレンジをこの時しはじめたのだと思います。』  

 

 同じ次元では無く、それぞれの立場で多次元的な視点で仕事に当たることが強い組織の条件と言えそうです。


 後輩や部下との付き合いに悩める人にお勧めの一冊です。

 


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2020年11月29日日曜日

加藤 秀俊 独学のすすめ (ちくま文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編205日目


 先日、友達と3人で、新潟の居酒屋飲みに行ったのですが、テーブルの真ん中にアクリルの仕切り板が置いてありました。それは動かしてはいけないそうです。アクリル板があると、どうしても一緒にいる感じが半減します。withコロナの時代はコミュニケーションがとても難しくなる様に思います。


 さて、今日お勧めする本は、独学により知識を得る事の可能性を力説する主婦向けの雑誌に掲載されたエッセイです。


 この本の主旨は、独学する意欲があれば、大学などに行かなくても、あらゆる知識を身につけられる。って事だと思います。


 まず、本書では、チンパンジーの研究者で『森の隣人』という本を書いた、ジェイン・ラヴィック・グドールが、OLから独学でチンパンジー研究の第一人者になる例を紹介します。どんな人でも、いつからでも、つよい学問的関心と決心があれば、独学により世界的な業績を残すことができるとの事。


 高卒のOLだったジェインの話から、学問をするためには学校に行かなくてはならないという常識は間違いなのではないかと著者は提起します。さらに著者は、学校は勉強するのに便利なようにできているが、考えようによっては、学校は独学で勉強する事が出来ない人たちを収容する場所であると喝破しています。


 学校は、独学で学問出来ない人間のための救済施設であり、独学できる人間は学校に行かなくてもちゃんとやっていける。教育というと子供の問題に感じるが、親にとっても教育は、独学として一生続くものであるとの事。


 さらに、後天的な情報選択能力が人間の人生の質を決めるとの事。読書は、他人の経験や知識を気軽に得る事のできる手段である。大人が本を読まなければ、子供も本を読まない。日本人ぜんたいに共通する文学的教養が崩壊する危機的状況との事です。


 かなり耳の痛い話が続きますが、今の時代はやる気になれば、独学でかなりの知識を得る事のできる環境が整っているという著者のことばから、独学の大きな可能性と明るい未来を示してもらえたと感じました。

独学のすすめ (ちくま文庫) [ 加藤秀俊 ]


2020年11月28日土曜日

池井戸 潤 架空通貨 (講談社文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編204日目


 ビットコインはこの一週間で、20%の幅で増減しています。今のところ、どこにも使う事のできない通貨ですが、今後ビットコインで決済が可能になるという情報もあり、投機目的で購入する人が増えています。世界中で取り引きされているコインですから、紙屑になる事は無いでしょうが、大暴落も何回か起こっているそうなので、資産として持つのは危険です。お小遣いの範囲で持って置いて、10倍、20倍になる日を楽しみに待ちたいと思っています。


 さて、今日お勧めする本は、池井戸潤の初期作で、お金にまつわるサスペンス小説です。


 主人公の辛島は元商社マンで、企業の信用調査をしていたのですが退職し、今は高校で社会科を教えています。ある晩、教え子の黒沢麻紀が父親の経営する会社、黒沢金属工業の事で相談しに来ます。


 黒沢金属工業を倒産の危機から救うため、辛島は東京から400kmも離れた田神町にある田神亜鉛という会社を訪ねます。田神町は、田神亜鉛とその関連企業で成り立つ、企業城下町で、田神札と呼ばれる独自の通貨が流通していました。


 辛島は黒沢金属工業を救うための交渉を田神亜鉛に持ちかけますが、次第に田神札などのあやしいからくりに気がつきます。


 最後は田神亜鉛の経営者、安房正純が大きな仕掛けをしますが、その被害者で田神町は大混乱に陥ります。


 辛島は黒沢金属工業を救うことができるのか?田神町はどうなるのか?400ページを超える長編ですが、一気に読めてしまいます。


 勧善懲悪が気持ちの良い半沢直樹の池井戸潤とは一味違う本格的な良さがあります。お金や資本主義の危うさや真理を、やや極端な話にはなっていますが、しっかりと描きこんでいます。特に田神亜鉛という中堅企業が支配する企業城下町田神町とそこに訪れる危機の描写に迫力があってとても面白かったです。


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2020年11月27日金曜日

黒木 昭雄 栃木リンチ殺人事件―警察はなぜ動かなかったのか

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編203日目


 新潟県上越市立春日中学校1年の男子生徒が1995年、いじめを苦にして自殺してから25年が経ったと、新潟日報で報じていました。この様な悲劇があったからか、最近いじめが無くなっている様に感じます。教育関係者の努力に感謝です。


 さて、今日お勧めする本は、栃木で発生した悲惨な事件のルポタージュです。


 本書の主旨は、犯人達は最低だけど、警察も酷いんじゃ無いの?って事だと思います。


 これすごい話ですよ。本書を読んだ直後は、もう日産の車には乗りたくない、なんて思いましたしね。


 あらためて知る犯行グループの非道な行いに怒りを覚え、成敗してやりたいという自分の気持ちを抑えるのが大変でした。


 この事件は警察の怠慢にも責任があると言われているらしいのです。しかし、著者はさらにその黒幕として日産を名指ししています。日産が、企業イメージを守ることを優先したがために正当な捜査や救助を得ることなく被害者が犠牲となったというのです。被害者は、犯行グループだけでなく日産にも殺されていたのだとの事。


 単純な私はこの話を信じてしまいました。そして、自分の周りでも、組織優先の空気は良くない事だと、真剣に考えてきたいと思います。


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2020年11月26日木曜日

ジュリアン バジーニ 他2名 100の思考実験: あなたはどこまで考えられるか

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編202日目


 昨晩のNHKニュースで、東京都からの飲食店への時短要請にかかる報道を見た。インタビューに答える飲食店経営者は、これまで二度も時短要請に応えてきたが、今回は時短営業はしないと言っていた。時短営業のたびに売り上げが落ち、経営がもたないとの事。時短営業による感染抑制効果を見せて欲しいと言っていた。まさにその通りだと思います。都は時短要請に応えた店舗には、40万円の助成をするそうですが、他の使い道を考えた方が良いのでは無いかと思います。


 さて、今日お勧めする本は、まるでクイズ本の様に、とっつきやすい哲学の本です。


 この本の主旨は、読んで覚えるよりも、答えが出なくても考える事がずっと大事ですよ、って事だと思います。


 本書は、あり得ない話を元に哲学的な思考を展開していく本です。


 「列車の暴走で40人が死にそうなとき、5人だけ死ぬほうにレバーを切り替えられるとしたらどうするか」 NHK「ハーバード白熱教室」で取り上げられた「トロッコ問題」や、自分を食べて欲しいと願う豚の肉を食べることは正しいことか?

など、100ものテーマがあり、哲学辞典のような要素もあります。


 読んでいて思った事は、道徳的に正しい事が最良の結果をもたらすとは限らない事です。逆に合理的なことが道徳的とは限らない事は、容易に想像がつくと思いますが。道徳的でありたいというのは、良心を裏切りたくないという自己の欲求であることに考えが至れば、逆に一見道徳的では無いが合理的に正しい事こそ、道徳的であるという考えも十分に成り立つように思います。

 

 本書に戻って、“考えるためのシミュレーション・ツール”として、「思考実験」をためしてみて下さい。身体と脳・自意識・生命倫理・言語・宗教・芸術・環境・格差など、多岐にわたるテーマから選りすぐった簡単に“答え”の出ない、哲学・倫理学・論理学の100の難問が掲載されています。


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2020年11月25日水曜日

浜崎 智仁 コレステロールは高いほうが病気にならない (ベスト新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編201日目


 新潟県 GO TO EATキャンペーンの「食べにいGOて!食事券」を買って来ました。メディアシップまで行ったんですが、NIC新潟日報販売店でも買えるそうです。1万円で500円のチケットが25枚綴られており、使いやすそうです。新発田でも本田屋やふぢしんなど居酒屋で使えるので、ガッツリ使えそうです。3月末まで使えるそうなので、またお給料が入ったら買い足す予定です。


 さて、今日お勧めする本は、コレステロールは身体に悪いというイメージへのアンチテーゼを提唱する本です。


 本書の主旨は、心筋梗塞を起こしてなければコレステロールを下げる必要はないって事だと思います。


 コレステロールと聞くと体に悪そうなもののように聞こえますが、そんなイメージ先行の常識を覆してくれる本だと思います。まさに目から鱗です。


 高いよりもむしろ、コレステロールが低い方が体によくないそうです。また、BMI28以下ならちょっと肥満気味の方が長生きするデータは沢山あります。


 それから、コレステロールを撮らない食事は危険、むしろ魚を多く食べる様にすることが心筋梗塞を初め様々な病気の死亡リスクを下げるという。健康には禁煙、運動、魚食だそうです。



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2020年11月24日火曜日

山崎 拓巳 1日10分であらゆる問題がスッキリする「ひとり会議」の教科書 (Sanctuary books)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編200日目


 コロナ感染者が出た柏崎市の小学校では、生徒達にも感染が広がっていたそうです。マスク着用など感染対策をとっていたが防ぎきれなかったなどの学校側のコメントが報道されていました。これはとても大事なことだと思うのですが、感染対策は、100%の予防を保障するものでは無いという事です。クラスターが発生すると、どこか手落ちがあるように思う人が多いようですが、手落ちが無くてもクラスターは発生します。ですので、コロナ感染者責める風潮が無くなって欲しいです。


 さて、今日お勧めする本は、たくさんの仕事に囲まれ、身動きが出来ない人を助ける本です。


 この本の主旨は、やるべきことが多すぎて混乱しちゃう時は、一人で会議を行うように状況を整理していくと、解決に向かいますよ。という事だと思います。


 一人会議とは何かというと、ただ漠然と考えるのではありません。直面する問題に会議形式で、どうしたいのか?そのためにはどうするか?という問いをたて、それぞれに自分なりの答えを出し、スケジュール帳にその答えを書き出す。このステップを毎日10分でも良いので行う習慣をつけるのが大事との事です。


 問題解決のコツは、良い質問を立てること。長々考えてもわからない質問は、良い質問では無いので、どんどん答えが出そうな質問に変えていくことが大事だそうです。


 この本は私自身仕事に追い詰められて、かなりやばい状態になった時、御守りとして読んでいた本です。ぜひご一読ください。


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2020年11月23日月曜日

岡田 斗司夫 「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編199日目


 先日の大相撲千秋楽は、大関貴景勝と小結照ノ富士の優勝争いが実に面白かったです。本割では照ノ富士の力強さに圧倒されていた貴景勝が、優勝決定戦で見せた鋭い立ち合いと迷いのない突き押し。まさに心技体が揃った会心の一番でした。来場所以降も活躍に期待しています。


 さて、今日お勧めする本は、フィクションの世界で悪役の旗印となる世界征服について、真面目に検討した本です。


 この本の主旨は、特権階級もなく自由主義経済が一般的になった今の時代では、世界征服はウマミが無いよって事だと思います。


 アニメ制作に関わっていた著者は、なぜ悪役が世界征服をしたいのかという、疑問にぶち当たります。


 そこから著者による、悪役の持つ願望と世界征服についての、考察が始まります。著者に言わせると、世界征服は目的ではなく、手段でなければならない。そのため、悪役達には世界征服した後、何をしたいのか、明確な理念を持つ必要があるとの事です。


 著者が挙げる悪役の中で一番論理的に筋が通っているのは、宇宙戦艦ヤマトの悪役、ガミラス星人です。ガミラス星人は、人類を絶滅させ、地球を放射能で汚染する事で、自分たちの居住環境に近づけて、移住する事を目的としているからです。


 逆に北斗の拳に出てくるサウザーは、子供にピラミッドを作らせるという、明らかに非効率な事を圧倒的な支配力を無駄遣いして行っているのですから、わけがわかりません。


 結局、世界征服を可能にするためには、圧倒的な、人手と資金と手間が必要であることがわかります。そして、それを果たしたところで、自由主義経済の生み出す価値やサービス、つまりお金で買えるものに、叶わない恩恵しか得ることが出来ないのであれば、本末転倒である。という結論を導き出した挙句、今の価値観を否定する最新の世界征服を提案して終わります。


 ドラゴンボールや北斗の拳などフィクションの世界をたくさん引用しながら語る、政治哲学といっても良い本だと思います。ぜひご一読ください。



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2020年11月22日日曜日

東野 圭吾 流星の絆 (講談社文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編198日目


 GOTOキャンペーンに規制がかけられるとの報道がありました。残念ながら、政府は最悪の選択をするようです。確かに感染は拡大していますが、これは、自粛ブームも終わり、経済活動が活性化してきている影響だと思うので、関係者は織り込み済みの事態だと思います。もう少し腰を据えた政策をとって欲しいと思いました。


 さて、今日お勧めする本は、12年前に大ヒット、ドラマ化もされた東野圭吾さんの感動作です。


 この作品の魅力は、犯罪に手を染めながらも寄り添って生きる、兄弟3人、功一、泰輔、静奈のお互いをいたわり合う兄弟愛だと思います。


 功一、泰輔、静奈の3人は、まだ小学生の夏に、3人で家を抜け出して流星を見に行った夜、何者かに両親を殺され失います。


 その後、事件が発生してから14年、事件は時効を迎えようとしていますが、犯人逮捕はおろか、手がかりすら見つかりません。


 その頃、3人はふとした事から、チームを組んで詐欺を犯す事を生業とするようになっています。施設育ちで頼りとするものが無い3人が、生きていくには、犯罪に手を染めるしかなかったのです。


 そんな中、ある大きな詐欺を仕掛けようとして、レストラン経営者の戸神行成に近づいたところ、その父、戸神政行が両親の事件の犯人だと3人は気が付きます。そして、戸神政行を警察に逮捕させることを目的に変更した詐欺を進めていく中、重要な役割を担うはずの妹の静奈が、こともあろうか仇の息子である、戸神行成に恋心を抱いてしまいます。


 強い絆で結ばれた優しい3人はどのような決断をするのか?両親の仇はうてるのか?最後まで全く先の読めない展開にページを捲る手が止まりません。


 もう一つの作品の魅力として、私は、騙されるターゲットである戸神行成が、自身の持つ誠実さや優しさだけで、3人の計画を狂わせていくところが凄く面白いと思いました。



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2020年11月21日土曜日

かざま りんぺい 新世代日本酒が旨い 角川SSC新書 いま飲むべき全国の36銘柄

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編197日目


 Amazonのprime Videoでボヘミアン・ラプソディを観ました。一言で言えば、Queenってカッコイイ!ですね。もちろん、フレディの苦しみや孤独を描いたストーリーも良いのですが、やはり音楽の力に圧倒される作品だと思います。


 さて、今日お勧めする本は、特に日本酒初心者に向けて美味しい日本酒を紹介する本です。


 この本の主旨は、今の日本酒は史上最高のクオリティだから飲まなきゃ損だよ!って事だと思います。


 著者の勧める、「新世代日本酒」は、淡麗辛口ではありません。フレッシュでフルーティ、しっかりした旨味と甘さがある濃醇甘口というタイプだそうです。


 この本の初版が10年前の2010年ですが、確かに著者の指摘はトレンドとなり、最近はフルーティな日本酒が大流行りの様に感じます。まあ、私は香りが強い日本酒は少し苦手なので、香りが穏やかで旨みが強い日本酒が好みなのですが。


 もう一つ残念な事としては、新潟のお酒は「新世代日本酒」の代表とはなっていません。理由としては、地元で淡麗辛口のニーズが高く、濃醇甘口の酒をつくる蔵がほとんどないとの事です。新潟では、村祐と鶴齢が「新世代日本酒」として紹介されているのみです。


 寒くなってきて、日本酒の恋しい季節。本書を読んで、いつもと違う日本酒を試してみてはいかがでしょうか?


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2020年11月20日金曜日

水野敬也 夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編196日目


 新型コロナの第三波が来ています。実効再生算数こそ、1.2から1.4の間で、爆発的な感染には至っていませんが、今回は重症者が第一波のレベルに迫っていることと、地方まで広がっている事が気がかりです。クリスマス商戦への影響が心配です。


 さて、今日お勧めする本は、夢をかなえるゾウシリーズの最新作です。


 この本の主旨は、結局『夢』って使い方によって良し悪しだよ、って事だと思います。


 本書は、夢をかなえるゾウというタイトルでありながら、夢を追う事のデメリットについて述べられているところが最大のポイントです。


 主人公は余命3ヶ月と告げられたサラリーマン。残された時間の短さに絶望しながらも、ガネーシャの課題をこなし、残される家族のために人生を全うしようと奮闘します。


 また、本書には、新しいキャラクターの死神が登場しますが、とても心に刺さる名言を何度も主人公に与えるのです。この死神が優しく、私のお気に入りです。


 死を目前に、かなわぬ夢を持つ事の良し悪しに悩む主人公に、ガネーシャは説きます。夢をかなえる事が『良い』とされればされるほど、夢をかなえて無い事は『悪い』ことになる。今、世の中の人達が感じている苦しみの多くは、『夢』が生み出していると。


 その後、主人公は夢を手放すための課題に取り組みます。主人公が死を前にして、幸せとなるのか、不孝となるのか、ぜひ、皆さんにも読んで確かめていただきたいと思います。


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2020年11月19日木曜日

三島 由紀夫 金閣寺 (新潮文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編195日目


 昨夜見たNHKで三島由紀夫が市ヶ谷駐屯地に立てこもった1970年11月25日から、50年経つという放送がありました。三島由紀夫は、命がけで改憲を説き、自衛隊員にクーデターを起こすよう呼びかけたそうです。しかし、その訴えは全く聞くものには届きませんでした。稀代の作家を持ってしても、人を動かすというのはままならない事だと思います。


 さて、今日お勧めする本は、その三島由紀夫の代表作です。


 この作品の魅力は、作者が持つ主人公への蔑みだと思います。


 私は、小説を読むときは、常に主人公に同情したり感情移入して、主人公の物語を追体験する事を楽しんでいます。しかし、この本は、そんなぬるい読書の仕方では楽しめない作品でした。


 しかし、著者が、主人公のことを「こいつは救いようのない馬鹿でしょう」と何度も言っているように思えた瞬間から、この作品がすごく面白くなってきたのです。


 偽物の博愛主義を捨てて、主人公を自分と切り離し、バッサリ切って捨てたとき、そこに大事なものが残ったような気がしました。


 それにしても、多くの方が言われるように、主人公の内面の醜さとその眼に映る美しい外の世界の描写が素晴らしいと思います。間違いなく名作です。


 私もそうでしたが三島由紀夫に先入観を持つ人は多いと思います。しかし、作品は全くイメージと違います。ぜひご一読ください。


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2020年11月18日水曜日

松浦弥太郎 考え方のコツ (朝日文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編194日目


 今朝のNHKおはよう日本で、阿賀野市のサントピアワールドが紹介されていました。内容は常識にとらわれない攻めた企画がSNSなどで話題となり、若者などに受けているとの事です。園長さんがインタビューに答えることには、スタッフみんなで知恵を絞り、お客様の楽しい思い出に残る遊園地であり続けられる様頑張った結果だとの事。クラウドファンディングで応援している私にとっても、良いニュースでした。さらに攻め続けて欲しいです。


 さて、雑誌『暮しの手帖』の編集長による仕事術を説いたものです。


 この本の主旨は、仕事では量や速さを求めるのではなく、質の高い仕事を目指しましょう、と言う事だと思います。


 本書は、思考術、想像術、コミュニケーション術、時間管理術、グローバル術の五つの観点から仕事術を述べています。


 特に「なんでも知っている人ではなく、なんでも考える人になる」と説く、思考術の章が良かったです。その中の小題には、「考えることをあきらめない」「一考二案を基本とする」「知らないことを調べない」「叩きようがない叩き台をつくる」などとしてそれぞれ詳しく述べていますが、タイトルだけ読んでも役に立つ感じがすると思いませんか?


 他の章でも、「反論をしないというセオリーを持つ」と説くコミュニケーション術。与えられた仕事をこなすだけでなく、時間を管理し、仕事を支配することができれば、より質の高い良い仕事を見つけられるという時間管理術。などがお勧めです。


 ぜひ、ご一読ください。

 


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