2020年12月23日水曜日

佐藤 健太郎 「ゼロリスク社会」の罠 「怖い」が判断を狂わせる (光文社新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編229日目


 コロナの第三波が猛威を奮っており、とうとうGOTOトラベルの停止など、残念な状態になっています。コロナ絡みで8万人が失業しているとの報道もあります。どうも世間では勘違いされているように思うのですが、春先の緊急事態宣言からの行動自粛の要請は、感染者数のピークを緩和する事が目的だったはずです。そして、GOTOトラベルをはじめとするキャンペーンは、コロナによる経済的ダメージが深刻であるからにほかなりません。経済活動を健全化するためには、多少の感染者数増加は許容すべきであり、各国の感染状況から考えても、1日感染者数5万人位に対応する準備が必要だったのではないかと思います。今からでも、感染者数1万人時代への備えを進める検討を始めて欲しいです。


 さて、今日お勧めする本は、リスクに対する日本人の気質について警鐘をならすものです。


 本書の主旨は、リスクは「怖い」ではなく、「どれくらい」と言う問いかけが常に必要だよって事だと思います。


 本書では、日本はゼロリスクという幻想に囚われる「リスク過敏症」に罹っており、それが長引く日本の不況の一因ではないかと警鐘を鳴らしています。


 なぜ、リスクに過敏に反応してしまうかと言うと、リスクがどれくらい危ないのかという、定量的評価ではなく、ただ本能的に怖いという定性的な評価で判断をしているから。つまり、「君子危うきに近寄らず」が金科玉条として取り扱われているからのようです。


 原発事故についても、どのくらい危ないのかという議論がないまま、怖いという世論により、莫大な費用を投じる政策決定がなされてきたそうです。


 本書の結論として、目先のリスクに惑わされてゼロリスクの幻を追うのではなく、ある程度のリスクを受け入れること。本能的判断も重要ではあるけれど、リスクを定量的に捉えて広い視野で判断してゆくことも同じように重要と結ばれています。


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