2021年3月15日月曜日

茂木 健一郎 思考の補助線 (ちくま新書)


 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編ラスト55日

 住宅ローンの借り換えが、本日ようやく完了しました。思い出せば検討を始めたのが昨年12月、仮審査を年末に申し込み、正式審査に通り契約を終え、3ヶ月かかってようやく終了です。費用も40万円強かかっていますが、金利の差で80万円ほど得をするので、約40万円の節約になりました。金利差の他にも、返済期間が短くなったり、ネット銀行の得点が増えたり、いい事づくめの借り換えだったので、やりがいのある作業でした。最近は、面倒くさがっていたら、得られない事が沢山ある事に気付かされる事が本当に多いです。

 さて、今日お勧めする本は、知のデフレ現象が進む日本に、喝を入れる著者のエッセイです。

 本書で語る著者は、テレビで見かける著者とは違い、読者に怒りのこもった毒を吐き続けます。それは、「知のデフレ」が起こっていることの不甲斐なさ、その原因と思われる、「本当のこと」を求め続け、探求に全力を尽すべきところを、そうしていない学問の凋落に対してです。

 本書の魅力はとにかく、著者の熱量、熱さが半端ではないところだと思います。目一杯、知のデフレが進む日本で一矢報いようと「ふざけるんじゃねえ」と気炎をあげているのです。世界の全てを引き受けようとの気概を持ち、学問に立ち向かう、学ぶことを勧めています。

 以下、本文を交えながら、本書での議論の一例を提示します。「差別」や「平等」という言い方は、一種の序列構造を前提にしています。「差異は上下という関係に写像される」という世界観の下では、できるだけその差異を隠蔽して、均質なものとみなそうとする動機付けが生まれます。いわゆるポリティカルコレクト(政治的な正しさ)の中では、「背が低い」という言葉は差別的なので「垂直方向に挑戦されている」と言い直すとのことです。一見相手に気遣いしているように聞こえますが、「みんな違ってみんな良い」と言う多様な価値観を賛美するのではなく、背が高い方が良いと言う単一の価値観を信じ、隠蔽しようとしている行為でしかありません。このように、様々なテーマを論じ、読者に考える機会を与える本なのです。

 私が最近読んだ中では、久々の硬派な一撃でした。難しい表現も多く、読みづらいのですが、読み応えは大いにあります。是非ご一読ください。

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