2021年2月26日金曜日

坂木 司 和菓子のアン (光文社文庫)


『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編294日目

 本日最大の衝撃は、行きつけの居酒屋さんが閉店するお知らせ。しょっちゅう顔を出すような上客ではなかったのですが、何かにつけて利用しているお店でした。基本的に一人で行く事が多かったのですが、大事な友達と飲む時は、そこを選んでいたんです。時には、立ち寄ったのかどうか、思い出せないくらい酔っ払ってよる時もありました。10年来のお付き合いでした。良い思い出をたくさんいただきました。本当に感謝しています。

 さて、今日お勧めする本は、読者をホッコリとさせてくれる日常ミステリーの連作短編小説です。

 先日紹介した「満願」が日常の狂気を炙り出すミステリーなら、本作はその正反対にある作品だと思います。誰もが抱える大切な想いが謎解きのテーマとなっているのです。

 主人公は、高校を卒業し、進学にも就職にも煮え切らない、アンちゃんです。アンちゃんは身長150センチ、体重57キロという、小柄でぽっちゃり体型。外見に自信もなく男性が苦手な女の子です。そんなアンちゃんは、ふとしたきっかけで、デパ地下にある、みつ屋という和菓子屋さんでバイトを始めます。

 アンちゃんの同僚は、見かけは上品ですが中身はおっさんの女性店長椿さん、和菓子職人を目指す乙女心を持つイケメン立花さん、可愛らしい女子大生とおもいきや実は元ヤンの桜井さん。など、バラエイティ豊かな面々です。

 そんなキャラクターに囲まれて、アルバイトとして接客をしながら、あんちゃんが日々成長していく物語が微笑ましくて良いです。本書を読んで和菓子、それも上生菓子が食べたくなりました。和風(和菓子)というと、私は、大人っぽさ、静かさ、やさしさをイメージしますが、まさに、ほんわかと静かでやさしい空気に包まれた、日常ミステリー連作短編です。

 ほんわかとした、日常の謎解きを楽しめる本作です。是非ご一読ください。
 

 

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