2021年2月13日土曜日

奥田 英朗 ガール (講談社文庫)


 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編281日目

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長人事が何やらややこしい事になっているようです。いっときは川淵さんの就任と思われていたものの、再度、アスリートを中心としたメンバーで構成する委員会を設置して候補者を選定するとの事です。ルールでは理事会から選ぶことになっているのですから、すでに35人もいる理事の中から選ぶだけでいいと思うのですが、ここに来て女性が選ばれた方がいいとか、ポリティカルコレクトネスが幅を利かせているようです。

 さて、今日お勧めする本は、30代半ばの働く女性を主人公とした短編小説集です。

 『ヒロくん』『マンション』『ガール』『ワーキング・マザー』『ひと回り』の5編です。それぞれ東京のオフィスで働く、30代半ばの女性が主人公となり、それぞれの悩みに向き合うお話です。

 表題作『ガール』では、広告代理店に勤める32歳独身の滝川由紀子が、主人公です。これまで若い女の子という括りでチヤホヤされてきたのですが、そのギャルとしての潮時を感じ始めます。そんな時に4歳年上の「お光」こと光山が全く周りの目を気にすることなく、ガールとして今を謳歌している姿がイタく見えるとともに、明日は我が身と思い知らされます。しかし、お光と共にやり遂げた仕事を通じて、一つの変化をすると言うお話です。

 『ひと回り』は、老舗の文具メーカーに勤めて10年以上となり、新人の教育係を任される小坂容子が主人公です。新人の慎太郎は醤油顔のイケメンで性格も良い好青年です。まだ独身の容子はひと回りも年下の慎太郎に惹かれてしまいます。イケメンで好青年の慎太郎の元には、彼とお近づきになりたい若い女性社員が、あの手この手でアプローチしてきます。容子は彼女たちに慎太郎を取られまいと年上ならではの経験を総動員して、その誘惑を振り払います。いつの間にか、若い彼女たちに混じり、慎太郎に熱を上げている自分に気がつきます。容子の恋の行くへは?

 働く女性が抱える悩みをテーマにしながらも、非常に後味良く読める作品です。男女を問わず楽しめると思いますので、ぜひご一読下さい。
 

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