2021年2月2日火曜日

本川 達雄 ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)


『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編270日目

 アメリカでSNSを使っている個人投資家らにより、ゲームストップという銘柄の株価操作が行われたとの事です。それも、ゲームストップという企業ではなく、株の空売りで個人投資家から儲けていたヘッジファンドへの復讐といった意味合いが強いそうです。実際、ヘッジファンドのメルビン・キャピタルには大きなダメージを与えたようですから、個人が企業に勝った相場でした。しかし、今回の株価急騰は実態を伴わないバブルですから、結局最後にバカを見るのは参加した個人投資家というのも残念な事実です。個人的にもこのような喧嘩は他でやってくれって思います。

 さて、今日お勧めする本は、サイズという視点を通して生物を理解しようという、生物学入門書です。

 体の小さな動物はちょこまかしているし、逆に大きな動物はゆっくりしている。体のサイズと時間の関係は古来から調べられていて、その生物における時間は、体重の4分の1乗に比例するそうです。つまり、体重が16倍になると時間は2倍ゆっくり流れるそうです。そして、この4分の1乗則は、生物の時間に関する現象にことごとく当てはまるそうです。

 このように体重の4分の1乗則から始まり、生物の進化は時代が進めば、進むほど大きくなるように設計されているとするコープの法則や、サイズとエネルギー消費量の関係など、サイズに絡めながら、生物学の基本的な理論を説いていきます。

 私は、生物のサイズというわかりやすい切り口から、生物の進化など生物学に惹きつけられるようになる良書だと思います。生物のサイズやデザインはいろいろ必然的に決まっているという著者の言葉に自然の神秘をあらためて感じます。ぜひ、ご一読ください。


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