2021年5月6日木曜日

今野 敏 果断 隠蔽捜査2 (新潮文庫)


『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編ラスト3日

 今日のように天気の良い日は、ベランダで寝っ転がりたい。ヨガマットを敷くのも、なんか無粋ですし、一人がけソファーで妥協するのも寝っ転がるほどリラックスできません。考えた結果、スタンド付きのハンモックがベストであると気が付きました。早速、購入を検討中です。お勧めなどありましたら、どなたか教えて下さい。

 さて、今日お勧めする本は、原理原則が最強ということを思い知る異色の警察小説です。

 本書で今回取り上げたいのは、いわゆる世間はどんな公務員を求めているのかと言う事です。

 本書の主人公である竜崎は、優秀なキャリア官僚ですが、息子の起こした不祥事により、警視庁大森署の警察署長に左遷されます。もともと竜崎は、原理原則、正論に対して潔癖すぎるほど忠実な性格です。そのため、空気をよんで正論を曲げるなどできず、警察官僚の中でも変人として扱われています。

 本作では、大森署の署長として赴任しても、そこの慣習などには見向きもせず、原理原則に従って判断するため、副署長や各課長はこれまでのやり方の通じず、戸惑います。例えば、区長や区議会議員の出席する公園の落成式や、地域の防犯対策懇談会に警察署を代表して出席する事などは、署長の行う仕事として重要視していません。その他にも警察組織が持つ様々な慣習も、捜査や警察の本来業務に必要がないとなれば、全て徹底的に無視します。

 こんな竜崎の行動を見て多くの読者は、良くやってくれたと、喝采する人が多いのではないかと思います。竜崎の原理原則を貫く言動で、旧来のお役所仕事の弊害が喝破される場面を読むと多くの読者の溜飲が下がるのではないかと思います。つまり、原理原則を貫いたホンモノのお役所仕事こそが、世間から求められているのではないかと感じるのです。

 ミステリーならではの謎解きが面白いだけはありません。新しい職場でマイペースに仕事をこなす竜崎がかっこいいと思いました。どこにいてもベストを尽くす。結果は後からついてくると言う当たり前の事に改めて気付きました。他にもいろいろ楽しめる作品でもあるので、是非ご一読ください。

 

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