2021年5月3日月曜日

新田 次郎 八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編ラスト6日

 先日、シロアリ対策の営業の方が来て、古い家の方を見ていったのですが、今のところシロアリはついていないようです。とはいえ、昔シロアリにやられたこともあり、シロアリ予防を勧められました。坪一万円だそうです。それで年一回の定期点検と万が一シロアリがついた時の保険が付いているのは、お得なのかもしれません。しかし、5年に一度坪一万円の出費が固定費になるのはちょっと痛いので、我が家では見送りということになりました。今回はシロアリの出たお宅の動画を見せていただいて、シロアリについて勉強できたのは収穫でした。

 さて、今日お勧めする本は、明治時代に起こった世界最大の山岳遭難事件を取り上げた記録小説です。

 この作品は遭難しほぼ全滅した5聯隊の悲劇が印象的な作品ですが、同時に行軍し成功した31聯隊の記録として読んでも非常に面白い作品だと思います。

 本書では、八甲田山の悲劇はなぜ起こったのか?と言う謎について、指揮系統の混乱や、準備の不備、軍人精神の過信等の理由が記されていますが、私が本書を読んで感じるのは結局、運が悪かったという事です。

 5聯隊をほぼ全滅という状況に追い込んだ悪天候の中を31聯隊は無事帰還することができました。しかし、成功者である31聯隊でさえ、いつ全滅してもおかしくありませんでした。この31聯隊が困難を乗り越えていく様子は非常にハラハラさせるものでしたし、運良く助かったと言う印象もありました。そして、31聯隊でも、地元住民による案内人を叱りつけて従わせようとする、軍人至上主義のような態度もあり、軍人としての性格にかわりはありませんでした。

 日露戦争を想定して行われたと言われるこの行軍の失敗により、陸軍の防寒装備の見直しが行われたとも書かれており、5聯隊の遭難は結果として日露戦争勝利に寄与したとのことです。

 作中、立川中将の言「いや、第五聯隊は勝ったのだ。百九十九人という尊い犠牲を出してこの戦いに勝ったのだ〜中略〜五聯隊の遭難が日本陸軍の敗北を未然に防いだことになったのだ、〜後略」  

 困難を乗り越える知恵や勇気を学べる作品だと思います。是非ご一読ください。

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