2020年7月28日火曜日

篠田 節子 仮想儀礼

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編81日目

 今日お勧めする本は、宗教の本です。正確にはインチキな宗教の話です。そのインチキ宗教を通して、日本人にとっての宗教観を考えさせられる作品です。

 常識的知性的な正彦とヒューマニストでやさしい矢口という二人の男が金儲けのため、「救い」という商品を取り扱う、カルトではないがつくりものの宗教というサービス業を展開していきます。

 読み進める内に、ノンフィクションと錯覚してしまうほどのリアリティと迫力に圧倒されてしまう物語になっています。

 はたして知性的であれば宗教はビジネスとなりうるのか?ヒューマニズムは人を救えるのか?集団が心を持ち始めたらどうなっていくのか?動機はともあれ、正彦と矢口二人の懸命な姿が感動的で最後は涙涙でした。名作です。

番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。




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