2021年4月23日金曜日

岡 南 天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル (こころライブラリー)


『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編ラスト16日

 今日も出張帰りに居酒屋に寄ったのですが、今の居酒屋の低価格競争は凄まじいものがあります。300円未満でハイボールや酎ハイが飲めるのは当たり前、今日は生ビールが一杯90円でした。しかし、総じて安い店は、カウンターで常連さんと会話を楽しむなんて事は出来ずに、一人寂しくパーティションの中でひたすら酒と向き合うことになります。この時代には不適合かもしれませんが、私は不特定なコミュニケーションを楽しめる居酒屋を探し続けているのです。

 さて、今日お勧めする本は、さまざまな物事について、受ける印象が人それぞれ違うのはなぜかという問いに答える本です。

 人間の知覚では大きく分けて、視覚が優位の人と、聴覚が優位の人がいるそうです。このように、物事に対して受ける印象に個人差があるのは、五感の中での、バランスや優先順位の違いによると著者は説きます。

 本書では、まず、認知とは何かということから始まります。本書によると認知とは、人が物事を理解するために、五感を使って知ることだそうです。五感についても個人差があり、視覚が優位な人は言葉で伝えきいてもいまひとつ理解できないことも、一目見れば全て理解できるとのことです。一方、聴覚が優位な人は、言語で物事を理解しているところが強く、人の言葉を一字一句何年も覚えていることも出来るそうです。

 私にとって、印象的だったのは、相貌失認という人の顔の見分けがつかなかったり、覚えられない人がいると言うことです。顔を見て相手が誰なのかよくわからないので、声や雰囲気、仕草、持ち物など、記憶を総動員して相手を見極めるそうです。ですから、自分から話しかけることが出来ず、相手に気づいてもらうまで待っていたりするそうです。そのような人は、パーティーのように多くの人が集まる場所や、街で知り合いに声をかけられることが苦手だそうです。これははっきりとした障害として紹介されており、不思議の国のアリスを書いたルイスキャロルも相貌失認の障害を持った人だったとのことです。

 他人と自分とは受け止める印象が違う、そんな当たり前のことを改めて考え直す良い機会になると思います。是非ご一読ください。

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