2020年11月16日月曜日

一ノ瀬 正樹 放射能問題に立ち向かう哲学 (筑摩選書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編192日目


 柏崎市と刈羽村の首長選挙が終わりました。いづれも、原発再稼働容認派の現職が当選とのことです。また、柏崎市長選挙では、新潟日報による出口調査で原発再稼働についてアンケートを行い、再稼働肯定派が47%と否定派よりも8%上回った。しかし、この結果を受けても日報では、再稼働が容認されたわけでは無いと報じている。


 さて、今日お勧めする本は、哲学者が福島原発事故をテーマに放射能問題を伝える本です。


 本書の主旨は、放射能の問題は多分にイデオロギーによるところが大きいけれど、もう少し冷静になって議論する必要があるよ、ってことだと思います。


 本書は、推進派でもなく、反原発でもない、哲学を専門とする著者が、哲学的なアプローチで原発事故問題での課題をあきらかにしていこうと言う試みで表されたものです。


 そこで論じられているのは、一つは、原発事故よりもはるかに多くの人が津波被害で亡くなっていること。


 一つは、原発事故はすでに起こった事故であり、福島の人に限らず多くの人が多少なりとも被曝しているということ。


 一つは、その被曝は深刻な事態に至らなかったが、むしろ不安を煽られたことによる被害があったこと。


 最後に、原発事故に対する不快感が冷静な議論を妨げ、極めて良心的な動機から、非学問的非生産的な状態を生み出していること。


 原発問題を冷静に語る良書と思います。ご一読をお勧めします。


購入はこちらから!




0 件のコメント:

コメントを投稿