2021年1月6日水曜日

藤沢 周平 密謀 上下巻(新潮文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編243日目


 年末に買ったブーツがすでに浸水し始めて、雪の中で履くには適さない状態となりました。やむなく、昨年まで履いていたおっさんブーツと同じ商品をネットでオーダーしました。この商品、見た目はイマイチですが、機能は抜群。次は3代目、もう10年くらいのお付き合い。この時期の履き物の必須条件は防水機能だと思うのですが、雪の降らない地方では、そこまで重視しないのでしょうか?改めて地域間での意識の差を感じます。


 さて、今日お勧めする本は、上杉景勝と直江兼続主従を描いた歴史小説。


 本書では、上杉景勝と直江兼続はもちろん、謙信から続く越後人の性格を、芯の強さとして表現しているところが印象的です。


 ただ、一つダメ出しするなら、五十公野城攻防戦の記述はちょっといただけません。なぜなら五十公野城には深い堀も石垣もありませんから。直江兼続陣の位置も違うし…。いくら小説とはいえ、もうちょっと調べてほしかったと思いました。


 下巻では、いよいよ関ヶ原へと時代は進んでいきます。本書では石田三成と兼続の関係描写が上手いと感じました。三成は兼続をたのみとしますが、兼続は冷静に三成との距離を保とうとします。なぜ家康を追撃しなかったのかと言う歴史上の謎とされているところの答えも、腑に落ちました。


 本書から、家康についてあらわした印象的なところを書き抜きます。

「天下を争え、と景勝には言ったが、家康との抗争の始まりはそれではない。おのれの欲望をむき出しに、義を踏みにじって恥じない人物に対する憤りが、兼続や石田を固く結びつけたのである。」

「天下人の座に坐るには、自身欲望に首までつかって恥じず、人の心に棲む欲望を自在に操ることに長けている家康のような人物こそふさわしい。」






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