2021年1月12日火曜日

橋本 紡 流れ星が消えないうちに (新潮文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編249日目


 今日は、1時間半遅れの始発に乗れたまでは良かったのですが、長岡駅に着いた頃には、豊栄駅から新発田駅間の終日運休が決まりました。このままでは、長岡泊まりになるところでしたが、新発田から通う上司の車に同乗させてもらい、無事帰ってくることが出来ました。幹線道路は問題ありませんが、少し小路に入ると、車のすれ違いができないなど、混乱は続いています。少し緩んで雨も降って来ましたが、早いところ回復して欲しいものです。


 さて、今日お勧めする本は、大切な人が逝き、残された者たちの喪失感について深く向き合う小説です。


 巧と奈緒子、加地くんの3人の物語。巧と加地君は親友、奈緒子と加地君は恋人でしたが、突然の事故で二人は加地くんを失います。加地君の死後1年経って、巧と奈緒子は付き合い始め、半年が過ぎた今を現在として物語は進みます。親友から彼女を奪った感覚が抜けない巧と、目の前の恋人ではなく加地君との思い出が抜けきれない奈緒子。加地君の死から動けなくなってしまった二人が、今はいない加地君と3人で手を繋いで、再び歩き始めるための物語です。


 最初は甘口の恋愛小説かと思ったのですが、決してそうではなく、生と死をとても丁寧に描いた真面目な小説でした。元恋人と元親友がそれぞれ想う故人の思い出が微笑ましくも切ないのです。思い出が鮮やかなほど、襲ってくる強烈な喪失感。そこからゆっくりと立ち直って行こうとする二人の姿にじ〜んときました。作中の加地君のセリフ「どうしたらいいかわからず悩んだ時、じっとして考えていないで、とにかく動いてみること、状況は変わらなくても見え方がかわる」そんな故人の言葉がみんなの救いとなる。


 この本は、私にとっても、亡くなった友達を思い出させてくれる本になってしまいました。なぜなら本書は、泣ける本を紹介して欲しいという亡き友達へ、最後に勧めた本だからです。合掌。



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