2020年9月9日水曜日

中川 恵一 放射線医が語る被ばくと発がんの真実 (ベスト新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編124日目

 今朝のNHKで、福島第1原発の事故の発生から9年半経った今でも、「帰還困難区域」避難指示が続いており、避難した住民の1割が故郷に帰る事なく亡くなったとの事です。悲劇はまだまだ続いています。


 さて、今日お勧めする本は、その福島第1原発事故発生時のデマなど誤解を解き、放射線の影響についてわかりやすく説明する為に書かれたものです。


 結論から言うと、福島原発事故では放射線による死亡者はいませんし、放射線を原因とする癌は発生しないとの事です。むしろ、避難による生活環境の変化が悪影響となり、癌が増える可能性を示唆しています。もちろん、胎児などに対する遺伝的な影響もないとの事です。


 根拠として、チェルノブイリや、広島、長崎の原爆からのデータをもとに、科学的に放射線が与える人体への影響を丁寧に解説しています。


 特に、チェルノブイリ原発事故では、汚染区域を必要以上に厳格に規定した法律の影響が大きく、精神的ストレス、生活様式の破壊、経済活動の制限といった事故に伴う副次的な影響の方が放射線被ばくより遥かに大きな損害をもたらした。と、ロシア政府の結論を紹介しています。


 そのような事実から、本書でも、100ミリシーベルト以下という、科学的なデータによる裏付けもない領域についても、「危険」と強調しつづけ、ストレスを抱えて生活習慣が悪化すると、かえって発がんのリスクを高めかねない。と著者は訴えています。


あらためて、放射線をもっと学ぶべきだと思いました。


 番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。


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