2020年12月9日水曜日

東野 圭吾 天空の蜂 (講談社文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編215日目


 2030年前半、ガソリン車販売禁止と言うニュースがありましたが、これは政府が正式に発表したものではなく、経済産業省の施策の一部がメディアに漏れたというのが事実のようです。あと10年ちょっとで、こんな大変革が起こる事は難しいとは思いますが、世界的な潮流には逆らえないので、注意は必要かと思います。まずは電力供給ににいての議論が必要だと思います。


 さて、今日お勧めする本は、ベストセラー作家が描く、原発問題に関する小説です。


 本書の主旨は、反原発も原発推進も互いを批判してばかりでは、悲劇しか生まないよ、お互いを許容する事から始めなければ解決の糸口は見つからないよ、と言う事だと思います。


 あらすじは、テロリストにより超大型特殊ヘリコプターのコントロールが奪われます。テロリストは、そのヘリコプターに爆薬を満載し、稼働中の原子力発電所の真上で、無人操縦でホバリングをさせます。テロリストの要求を拒絶したり、ヘリの燃料が尽きると、原子力発電所が爆発して、放射能汚染が広がる大惨事となります。日本国民すべてを人質にしたテロ行為です。この事件解決の中で、原子力行政に振り回された人々が浮かび上がってきます。


 作中、犯人からのメッセージには「沈黙する群衆に、原子炉のことを忘れさせてはならない。常に意識させ、そして自らの道を選択させるのだ」とあります。私はここで反原発か原発推進か選択して終わりとはせずに、常に自分の選択の正当性を問い続けながら、相対する立場の人を許容するロジックも同時に育む必要があると感じました。



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