『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編218日目
新型コロナの感染拡大による医療逼迫に対応するため、自衛隊の看護師と准看護師計7名を大阪府に派遣するとの事です。あまりにも少ないと思って調べると、全国知事会からも20人規模で大阪と北海道に応援を出しているとの事。それにしても、全国で120万人も看護師は働いているわけですから、数十人規模の人員派遣の効果が、私には理解できません。いま、医療現場で何がどのように逼迫しているのかは、全く報道されていないのと同じだと思います。
さて、今日お勧めする本は、昨日に引き続き、伊坂幸太郎さんの小説です。
この作品のテーマは正義と偽善についてって事だと思います。
この作品には平和警察と言う、戦時中の特高警察の数倍ひどい組織が登場します。平和警察は日本の治安を守るため、適当な人物をテロリスト等の危険人物としてでっち上げ、拷問して自白させ、見せしめのため公開処刑を行うイカれた組織です。中世の魔女狩りのように、目をつけられたら処刑されると言う状況が続きます。
実際、平和警察の成果か、犯罪率も下がり、人々もひどい平和警察を容認するようになります。
しかし、その平和警察に捕らえられた(無実の)危険人物を助けるライダースーツの男が現れ、そのライダースーツの男を捕まえようとする平和警察との対決と言った話になっていきます。
物語の中盤から、そのライダースーツの男の自戒になっていくのですが、そこで出てくるのが、正義と偽善と言う問題であり、全ての人を救えないのは偽善であり、自分は正義のためではなく、違う意義により決めたルールで人を救うこととします。なぜなら、彼の祖父や父がたまたま行った正義に対して、偽善と非難される事を恐れ命を失った過去があるからです。また、彼の平和警察への抵抗も、たまたま人を救っているだけで、強い正義感に基づく行動ではありません。
平和警察とライダースーツの男の対決はどんな結末を迎えるのか、作者が描いた驚きのラストシーンまで、一気読み必至の作品となっています。
私は、作者がしめす、偽善に対するよい意味でのこだわりを感じ、強く共感を覚えました。曰わく、偽善だ偽善だって騒ぐ人はいわゆる良さそうな行いが鬱陶しいだけなんだと。
確かに人の行いを善だ偽善だと論評するような輩には、善行は期待できないし、偽善となじられることを気にしていては、いざ人のために動くべき時に動けないのではないかと思いました。
警察が魔女狩りよろしく恐怖政治を行うという、ハチャメチャなストーリーの中で、正義、偽善、生と死など、読書に問いかけられた命題は重いと感じました。
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