2020年12月31日木曜日

村上 世彰 生涯投資家 (文春文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編237日目


 今年もあとわずか、皆さま大変お世話になりました。今年はコロナ禍により色々と史上初が連発しましたが、私も様々なことを始めた一年となりました。筋トレ、ダイエット、七輪、家計の見直し、投資信託と、まさにターニングポイントになる年でした。来年は一年遅れの東京オリンピックの年です。明るい一年になるよう祈っています。


 さて、今日お勧めする本は、悪名高き村上ファンドについて、決してマスコミでは報道されることのない一面に触れることのできる一冊です。


 本書は村上ファンド元代表村上世彰氏ご自身による半生記です。私には、村上ファンドといえば、金のためなら何でもやるという悪役のイメージしかありませんでした。しかし、本書を通じて著者から伝わってくるのは、適正なお金の流れができるように変えないと、日本はダメになるよ!という憂国の叫びでした。


 著者の主張は、コーポレート・ガバナンスと言われる、株式会社であれば株主の利益を最大限に実現できているかどうかにより企業経営を管理監督する仕組みを、当たり前のこととなるように普及する事です。そのコーポレート・ガバナンスを大切にして、株主重視の企業経営を徹底することが、資本のながれをつくり、経済発展の元になるため、日本の未来に絶対に必要と言う事です。


 株価が上がれば株主は当然儲かるため、ファンドを運営する著者が一石二鳥と考え、それを重視するのは当然の事です。しかし、世間には著者の儲けという片方だけに歪められて伝わったため、強烈なバッシングと誤解を受けることとなりました。


 私も著者を金儲けの権化として毛嫌いしていましたが、本書のおかげでそれは自分の視野狭窄によるものだと気付くことが出来ました。


 著者はすでにファンドの運営から離れ、金儲けに責任を負っているわけではありません。しかし、日本の未来を思うゆえの、コーポレート・ガバナンスの導入と金融業界の健全性に対する想いは、昔も今も変わっていない様子が、文章から伝わってきました。


 明日新しい年を迎える今日、ぜひみなさんにお勧めしたい本です。



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