2020年11月29日日曜日

加藤 秀俊 独学のすすめ (ちくま文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編205日目


 先日、友達と3人で、新潟の居酒屋飲みに行ったのですが、テーブルの真ん中にアクリルの仕切り板が置いてありました。それは動かしてはいけないそうです。アクリル板があると、どうしても一緒にいる感じが半減します。withコロナの時代はコミュニケーションがとても難しくなる様に思います。


 さて、今日お勧めする本は、独学により知識を得る事の可能性を力説する主婦向けの雑誌に掲載されたエッセイです。


 この本の主旨は、独学する意欲があれば、大学などに行かなくても、あらゆる知識を身につけられる。って事だと思います。


 まず、本書では、チンパンジーの研究者で『森の隣人』という本を書いた、ジェイン・ラヴィック・グドールが、OLから独学でチンパンジー研究の第一人者になる例を紹介します。どんな人でも、いつからでも、つよい学問的関心と決心があれば、独学により世界的な業績を残すことができるとの事。


 高卒のOLだったジェインの話から、学問をするためには学校に行かなくてはならないという常識は間違いなのではないかと著者は提起します。さらに著者は、学校は勉強するのに便利なようにできているが、考えようによっては、学校は独学で勉強する事が出来ない人たちを収容する場所であると喝破しています。


 学校は、独学で学問出来ない人間のための救済施設であり、独学できる人間は学校に行かなくてもちゃんとやっていける。教育というと子供の問題に感じるが、親にとっても教育は、独学として一生続くものであるとの事。


 さらに、後天的な情報選択能力が人間の人生の質を決めるとの事。読書は、他人の経験や知識を気軽に得る事のできる手段である。大人が本を読まなければ、子供も本を読まない。日本人ぜんたいに共通する文学的教養が崩壊する危機的状況との事です。


 かなり耳の痛い話が続きますが、今の時代はやる気になれば、独学でかなりの知識を得る事のできる環境が整っているという著者のことばから、独学の大きな可能性と明るい未来を示してもらえたと感じました。

独学のすすめ (ちくま文庫) [ 加藤秀俊 ]


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