『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編195日目
昨夜見たNHKで三島由紀夫が市ヶ谷駐屯地に立てこもった1970年11月25日から、50年経つという放送がありました。三島由紀夫は、命がけで改憲を説き、自衛隊員にクーデターを起こすよう呼びかけたそうです。しかし、その訴えは全く聞くものには届きませんでした。稀代の作家を持ってしても、人を動かすというのはままならない事だと思います。
さて、今日お勧めする本は、その三島由紀夫の代表作です。
この作品の魅力は、作者が持つ主人公への蔑みだと思います。
私は、小説を読むときは、常に主人公に同情したり感情移入して、主人公の物語を追体験する事を楽しんでいます。しかし、この本は、そんなぬるい読書の仕方では楽しめない作品でした。
しかし、著者が、主人公のことを「こいつは救いようのない馬鹿でしょう」と何度も言っているように思えた瞬間から、この作品がすごく面白くなってきたのです。
偽物の博愛主義を捨てて、主人公を自分と切り離し、バッサリ切って捨てたとき、そこに大事なものが残ったような気がしました。
それにしても、多くの方が言われるように、主人公の内面の醜さとその眼に映る美しい外の世界の描写が素晴らしいと思います。間違いなく名作です。
私もそうでしたが三島由紀夫に先入観を持つ人は多いと思います。しかし、作品は全くイメージと違います。ぜひご一読ください。
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