2020年10月31日土曜日

有川 浩 旅猫リポート (講談社文庫)

  『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編176日目

 息子の通う高校では、今年10月に行く予定だった修学旅行を3月に延期して、新潟空港からチャーター機で沖縄へ行くことにしたそうです。コロナ禍で様々な検討が行われたと思いますが、学校行事の意義を重視した学校の大英断に、本当に感謝しています。

 さて、今日お勧めする本は、猫視点で語られる、猫と飼い主の絆を描く物語です。

 正直、ストーリーや結末については、数ページ読んだ時点で見当がつくのですが、主人公の猫「ナナ」を飼っている「サトル」の穏やかさや優しさに心が温まって、とても良い気持ちで読み進められます。

 とにかく、泣けてしまう小説です。旅先で二人?で見た景色が目に浮かぶように感じ、また涙しました。

 以前にも「時生」「とんび」など、泣ける小説を紹介してきましたが、この作品はそれを超える最強の泣ける小説です。




2020年10月30日金曜日

小林 正弥 サンデルの政治哲学-<正義>とは何か (平凡社新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編175日目


 くら寿司でGo To イートを利用するとほぼ無料で繰り返しお寿司が食べられる「無限くら寿司」が話題だそうです。2名以上でネット予約して、くら寿司で1000円以上精算した事をネットに登録すると1人1000円のポイントがついて、次回以降の飲食に使えるそうです。これを繰り返すと言う仕掛けです。税金の無駄遣いだと言う声もあるそうですが、飲食店の売り上げ回復が目的の制度ですから、何ら問題ないかと思います。まあ、くら寿司は新潟にあまりないですけど。

 さて、今日お勧めする本は、NHK「ハーバード白熱教室で知られるマイケル・サンデル教授の思想をその解説だった著書が、サンデル教授の著書を解説してくれる本です。

 本書は、用語がちょっと難しいところも、白熱教室などでの話を織り交ぜるなどして、読み易いよう工夫してあり、とてもわかりやすいです。

  正義と善の関係をテーマに持つサンデル教授は市場経済至上主義を批判し、「最大多数の最大幸福」や「自由尊重主義の正義」に異を唱え、美徳の促進としての正義、「善ありし正義」の可能性を提起しています。

 私には、巷にあふれる正しさは果たしてどのような考え方に基づくものか、改めて考える機会を持つことができました。

 新たな知見を得る機会として、ぜひご一読をお勧めします。


購入はこちらから!






2020年10月29日木曜日

藻谷 浩介 デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川新書)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編174日目

 今日の新潟日報の一面で新潟県の人口が220万人を割り込んだと言うニュースが掲載されました。人口減のスピードが増しているように思いますが、それでも住み良い郷土であり続けられる様、全力を尽くして行きたいと思います。

 さて、今日お勧めする本は、日本で起こっている(アベノミクス前ですが)デフレ不況を人口減少で説明する本です。

 本書の主旨は、好況不況の波は、人口増減によって見え方が変わるから、惑わされずに行きましょうね。と言う事だと思います。

 地域振興に関する講演で国内を飛び回り、日本政策投資銀行参事役の肩書を持つ著者が、現在の日本に起こっている諸問題、いわゆるデフレ不況の原因を人口減少であるとずばり喝破する。

 データ、理論、実際に起こっている現象というように段階を踏み、謎解きをするように進める論述の説得力と、わかりやすさは秀逸です。

 こんなにわかりやすく、腑に落ちるマクロ経済の本は、なかなかないと思います。当書を読んだほとんどの人が、なるほどと膝を打ち、ものの見方が変わることことはまちがいなあのではないでしょうか?さまざまな人に手に取ってほしい本です。


購入はこちらから! 






2020年10月28日水曜日

野村克也 監督の器 (イースト新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編173日目

 プロ野球、パ・リーグでは、ソフトバンクが昨夜、PayPayドームで 2位のロッテに5対1で勝って3年ぶりのリーグ優勝を決めたそうです。ダイエー時代には優勝セールなんてやっていましたが、ソフトバンクではセールもできませんし、今は味気ないですね。


 さて、今日お勧めする本は、野球監督からリーダーのあり方について語る、故野村克也さんの名著です。


 本書の主旨は、組織はリーダーで決まるんだから、リーダーこそ成長していかないといけないよ。と言う事だと思います。

 本書では、著者自身の監督時代のエピソードを元に監督論、リーダー論を説いて行きます。まあ、自慢話といえば、それまでですが、あれだけの実績を残した著者ですから、自慢話に聞こえないところが不思議です。

 さらに、勉強家の著者は、自身の経験をわかりやすい言葉でリーダーとしての訓辞に普遍化し、伝えてくれるので、様々な組織に役立つ言葉を得ることができると思います。

 具体例として、私が好きなところを書き抜きします。

 チームは監督の力量以上には伸びないし、監督の器より大きくなることはない。では、「器」 とはなんだろう。人望、信頼、度量、貫禄、威厳といった人格的要素はもちろんだが、他に、的確な表現力も求められる。人間社会は言葉だ。選手に指針を的確な言葉で示すことができるか否かは、監督の「器」の大きさを測る大事な目安だ。野球に関する知識と理論を持ち、戦略、戦術に長けていることは当然だ。

 と言う具合です。ぜひご一読をお勧めします。


購入はこちらから!





 


 

2020年10月27日火曜日

司馬 遼太郎 燃えよ剣 上下巻(新潮文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編172日目

 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編がヒットしているようです。興業収入がすでに100億円を超えているとのこと、どこまで伸びるのか楽しみです。予備知識ゼロでも楽しめるという、大人も泣ける完成度の高い作品という噂ですので、ぜひ私も予備知識ゼロで観てみようと思います。

 さて、今日お勧めする本は、幕末のチャンバラ小説です。

 まあ、司馬遼太郎の作品ですから、チャンバラ小説と言ったら失礼にあたるでしょう。本書は、新撰組を作った男、土方歳三の生涯を描く時代小説です。

 土方歳三と言えば、ケンカ屋とイメージされる事が多いように思いますが、この作品からは、智略の参謀としてのイメージが強くなります。

 ただ、最後函館まで退いても闘い続ける様は、やはりケンカ屋そのものと言った感じです。

 幕末にこれだけの名前を残すほど暴れたケンカ屋、土方歳三の生涯に痺れました。


 購入はこちらから!





2020年10月26日月曜日

澤宮 優 ドラフト外: 這い上がった十一人の栄光 (河出文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編171日目

 今朝テレビのニュースで、今日の17時からドラフト会議が行われるとの報道がありました。早大の早川隆久投手が注目されているようです。彼は確かにすごい投手だったのですが、3年生まではあまり成績を残せていなかったそうです。それが、小宮山監督という指導者に出会い、才能を開花させて今年ドラフトの注目株までなったそうです。やはり、指導者ってのは大切なのだと思いました。

 さて、今日お勧めする本は、間口の狭いプロ野球界に、ドラフト外で入団し活躍した11名の選手のドキュメントです。

 本書の主旨は、プロ野球選手になるのも大変だけど、そこから先がもっと大変だよ。って事だと思いました。

 この本には、ドラフト外という、エリートとは程遠く、プロ野球界に駆け込み乗車をしたような選手達が、誰にも真似のできないような記録を残して行く爽快な実話があふれています。

 特に広島の大野投手と、ヤクルト古田の控えだった野口捕手の話が良かったです。

 登場する選手たちは一様に一軍に上がる事を夢に見て、二軍で並々ならぬ努力を重ねています。しかし、その後一軍に上がってしまえば、一軍に居るのは当たり前のように次の目標を掲げ向かって、さらなる努力を続けています。まさに、夢や目標が進化しているのです。

 よく言われる、夢を持ち、その夢を叶える事はもちろん大切でしょうが、その夢が進化して行くことは、もっと大切なように感じました。


購入はこちらから! 




2020年10月25日日曜日

三浦しをん 他1名 神去なあなあ夜話 (徳間文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編170日目


 10月17日に新潟日報社主催で開催された上沼道地域づくりフォーラムの詳細が、25日の新潟日報に掲載されました。上沼道は上越魚沼地域振興快速道路と言って、上越から六日町の間を十日町や安塚など、まだまだ車の便の良くない地域を結ぶ延長60kmの高規格道路です。地域のために、早く整備が進むように思います。

 さて、今日お勧めする本は、以前紹介した、過疎の村での若者の青春を描く『神去なあなあ日常』の続編になります。

 林業が主たる産業の過疎の村、神去。横浜から移り住み、今は山で働く主人公、平野勇気は林業の仕事や、うつくしい神去村での暮らしにすっかりハマり、個性豊かな村人たちに溶け込んでいます。そんな主人公が持つ、村人公認の片想いが少しずつ成就していく様子が描かれています。

 私は特に、失くしたオコゼが見つかるようにお稲荷さんへお参りに行ったり、クリスマスをしたことのない小学生の山太のために山から赤松を伐ってツリーを作ったりする話が良かったとおもいました。

 過疎だとか林業だとか、マイナーな所にだけある大切なものを少し分けてもらえた気がします。


購入はこちらから!




2020年10月24日土曜日

藻谷 浩介 他1名 里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編169日目


 先日、自分が死んでしまう変な夢を見たことをきっかけに、投資について勉強を始めました。家族にわずかでも資産になるものが残せたら良いと考えていらからです。まずは、楽天証券に口座を作るところから始めています。

 さて、本日お勧めする本は、お金ではなく、里山を資産として、その恵みで生活を豊かにしようという、里山資本主義を提唱するものです。

 本書の主旨は、ある程度の自給自足の生活は、心の豊かさをもたらすよ。という事だと思いました。

 本書は、日本政策投資銀行の藻谷さんとNHK取材班の共著ですが、里山資本主義の実践者をNHK取材班がレポートし、それを藻谷さんが解説するという構成で進んで行きます。

 里山資本主義とは、一つの例として、里山でとれる薪により煮炊きを行うなど、エネルギーをお金でなく、里山の恵みで賄う半自給自足の生活です。

 若干、文言がテレビ的な表現で、論拠が薄くステレオタイプな話の進め方であるように感じ、割り引かなければいけない面はありますが、藻谷先生の話からは、沢山の気づきが得られます。

 安倍前首相のアベノミクスのように、経済を発展させて、エネルギーでもなんでも買える豊かな国にしようと言うマネー資本主義だけではなく、お金に頼らない豊な暮らしを手に入れる一部自給自足な低コスト社会を両立させて見てはどうですかという提案が、かなり魅力的に伝わってきます。

 藻谷さん曰く、電気などのエネルギーにかかる費用が地方経済を圧迫するとのこと。他にも、地方都市の優位点などいろいろな発見のある著書です。





2020年10月23日金曜日

中華大吉 今朝白店

 午後から休みをいただいた時は、どうしても一杯呑みたくなります。ラーメンとビールで1250円。

今日は、駅までの道のりで、一休み。


中華大吉今朝白店です。

大吉さんでは瓶ビールを置いていないため、アサヒの生ビール500円

ラーメンの味は醤油と塩
今日は塩ラーメンをいただきました。出汁が効いていてとても美味しい。

細くちぢれた麺です。並盛りでも、結構あります。ボリュームは十分のお店です。



奥田英朗 沈黙の町で (朝日文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編168日目


 全国の小中高校などが2019年度に認知したいじめの件数は、前年度より約6万件増の61万2496件で、過去最多を更新したそうです。特に気になるのは、児童生徒1000人当たりの認知件数で、政令市では、新潟市が最多の259.3件との事、最小の岡山市とは20倍以上の開きがあります。まあ、件数の減少にこだわり、数をごまかすよりは、ちゃんと認知しているだけ良いと考えたいと思います。


 さて、今日お勧めする本は、小さな町の一人のいじめられっ子の死に関わる物語です。


 本作のあらすじは、中学二年生のいじめられっ子が部室の屋根から転落して死亡した事をきっかけとして、その死の真相に様々な視点から迫って行く様子が描かれていく話です。読後は、どっと脱力してしまうような、すごい小説だと思いました。


 特に、加害者とされる少年、その母親たち、その担任教師、被害者の母親、刑事、検察、新聞記者、クラスメート。実に様々な視点から語られる物語が見事に事実を浮かび上がらせて行くところに作者の筆力を痛感し、完全に脱帽です。


 ただ、欲を言うと、ラストはちょっと中途半端に感じられ、もう少し描き足しても良かったのではないかと思います。あと、亡くなったいじめられっ子が本当のダメキャラで描かれているのですが、そこが逆に悲しく感じました。

購入はこちらから!





2020年10月22日木曜日

ジョン・P・コッター 他2名 カモメになったペンギン

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編167日目


 先々週行われた、野外音楽イベント「the コマらいぶ」に関する記事が、新潟日報に掲載された。イベントを主導した西村さんのコメントが良かった。「新型ウイルスの影響で凍りついたような音楽イベントを再開させたいと思い企画した。参加者に楽しんでもらって良かった」との事。私も、動き出さなければと、元気をもらいました。


 さて、今日お勧めする本は、組織に変革をもたらす穏やかなリーダーシップをわかりやすい寓話として著した本。


 ある氷山に暮らすペンギンのグループ。その氷山に危機が迫っている事に気付いたのは、下っぱのペンギンのコッター。そのコッターがいかにして、変化を嫌う群れに変革をもたらすのか?というお話です。


 非常に読みやすく簡潔ですが、内容は充実していて優れたビジネス書であると感じました。特に「ノーノー」と言うどこにでもいる組織変革に反対し、既存のやり方に固執する勢力が出てくるところが良いんです。この物語はそのノーノーに対応していくやり方に、いろいろ学ぶべきところが有りました。


購入はこちらから! 




2020年10月21日水曜日

夢占い?:自分の最後の日の夢を見た。


 その晩寝た後は、起きる事なく死んでしまう病気らしい。


 今晩死んでしまうので、病院に運ばれて来ても治療は不要であることを医者に告げるため、家族4人で最後のお出掛けをした。


 私は最後の日なのだからと、家族のいる前で辞めていたタバコを呑んだ。見た事の無い金色の箱に入った、太い紙巻きタバコだった。何やら豪華だ。秋の柔らかい日差しの中に、タバコの煙が流れて行った。


 妻は神妙な面持ちで、私を見ていた。娘はまだよく分からない様子だったが、息子は声を上げて泣きながら離れて行った。


 タバコを呑みながら、保険の事やら、残していく家族のために、済ませておくべき事ばかり考えていた。


 不思議と死ぬのは怖くは無かった。夜寝て起きられないだけだから、何も変わらない様に感じていた。それでも、やり残した事は無いか再度考えてみたが、10kmマラソンで45分を切れなかった事だけが、心残りだった。


 しかし、私はこれまで、10kmマラソンを走った事は、2回しか無い。


(^_^;)




益田 ミリ ほしいものはなんですか?

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編166日目


 19日の朝、メールをチェックすると、Amazonから、予約していた漫画「キングダム59巻」の購入の知らせが届いていた。電子版なので、朝起きてすぐ読める。見開きページの読みづらさもあるので、紙の良さはわかるが、やはり便利だと思いました。


 さて、今日お勧めする本は、以前にも紹介した益田 ミリさんのオトナ女子のためのエッセイ漫画です。


 今回のテーマは、専業主婦ってどうなんだろうねって事だと思います。


 これは、既婚の男性は抑えておいたほうがいい一冊だと思いました。女性のもつ、大きな人生の命題に触れる気がします。


 普段、奥さんが干してくれた、布団にどれだけ感謝の気持ちを持つことができますか?私は、多分自分がおもっているよりも感謝する気持ちは全然足りていないのだという事に気付きました。


 そして、第三者から「幸せだね」って言われることくらい、困る言葉はないと気づかせてくれました。


 いろいろな事を考えさせてくれる良い漫画なので、ぜひ読んでみて下さい。


購入はこちらから




2020年10月20日火曜日

小飼 弾 新書がベスト (ベスト新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編165日目


 18日午後、東京 調布市で住宅の前の道路が陥没し幅5メートル、長さ2メートル、深さ5メートルほどの穴があいたそうです。私も2年前は、臨港道路の陥没に関わる仕事をしていたので、他人事に感じられません。まずは、周辺の空洞調査を行い、必要な対策を検討する事が重要だと思います。


 さて、今日お勧めする本は、雑誌、文庫本、単行本など本のスタイルは様々あるが、その中でも、新書を取り上げて紹介する本です。


 本書の主旨は、「新書がベスト」という一言なのですが、更に噛み砕くと、「分厚い単行本を読むのではなく、その分野の新書をたくさん読めとの事だと思います。


 本書では、まず読書の勧めから始まり、その中でも新書が良い事。なんなら新書だけよんでいればいいとか、本屋で気になる新書をまとめて買ってこいなどの新書愛が語られています。


 あと、レーベル毎の特徴などを紹介する章もとても面白かったです。私もこの本の影響で、早い、手軽、安い新書を主に読む様になりました。


 この本は、新書にあまり馴染みのない方にお勧めです。



購入はこちらから!




2020年10月19日月曜日

小川 洋子 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編164日目


 新発田市の防災情報・防犯情報などをメールにて配信するサービス、新発田あんしんメールに先日登録したところ、1日5〜6件の熊の情報が送られてくる。登録したばかりなので、毎年のことなのか、最近特に多いのか分からないが、熊の情報が多い。それだけ山に居るのだから絶滅の心配はまだいらないという理解でいいのでしょうか?


 さて、今日お勧めする本は、『博士の愛した数式』で知られる小川洋子さんによるチェスのプレーヤーを描いた小説です。


 本作の魅力は、チェスのゲームの中に潜む勝ち負けを超越した、静かで美しい世界がひしひしと伝わってくるところだと思います。


 主人公のリトルアリョーヒンはチェスをこよなく愛し、駒の奏でる美しい音楽を味わうことのできる能力を持ったマスターと出会うことにより、この深遠な世界に足を踏み入れていきます。


 チェスの美しさとは対照的に現実世界が少し醜悪に描かれているところも、対照的で印象深く感じます。祖母の布巾、海底チェス倶楽部、太ったマスター、小さい主人公等。


 著者は、『博士の愛した数式』の時もそうでしたが、本作でも非常に静かで独特な世界に連れて行ってくれる素晴らしい作家さんだと思います。



購入はこちらから!




2020年10月18日日曜日

山口 真由 リベラルという病 (新潮新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編163日目


 アメリカの大統領選挙も後2週間余りとなりました。ここに来て、トランプ大統領が若干支持率を上げて来ましたが、依然バイデン氏有利の状況は変わらない様です。期日前投票も、かなりのハイペースで進んでいますが、コロナを警戒する民主党支持層の割合が多いそうです。そんなことから、決着が着くのは遅れそうとの見方もあるそうです。


 さて、今日お勧めする本は、大統領選の基礎知識、アメリカにおけるリベラルについての解説本です。


 本書の主旨は、リベラルって日本では正しく理解されてないんじゃないの?という事だと思います。


 民主党と共和党はリベラルとコンサバに分けられます。コンサバは、そのまま保守と訳す事が出来ますが、リベラルはしっくり馴染む訳語が無さそうです。


 そこで、本書はアメリカにおけるリベラルの根底の考え方から始め、最近の問題からもリベラルについて、分かりやすく伝えてくれます。


 そして、日本ではリベラルと言う観念がどの様に受け止められているか、様々な事例を紹介しています。すると、日本のリベラルは、本家アメリカのリベラルを曲解しているため、矛盾が生じているとの事。


 例えば、予算の配分権を権力の源として手放さず、バラマキ政策を行う日本の自民党は、アメリカでは、リベラルと見られる。それをリベラルと言われる朝日新聞などのメディアが叩くから、日本ではイデオロギーの対立は見られないのだそうです。リベラルがリベラルを叩く構造が日本のリベラル。自民党の中でもコンサバ的な主張をしたのは、小さな政府を目指した小泉純一郎ぐらいだったそうです。


 とにかく、リベラルって言葉は格好が良いので、使いこなせる様になるにも、本書を読んでアメリカでは人生哲学にもなっているリベラルについて、考える機会を持つと良いと思います。


😊



購入はこちらから!




2020年10月17日土曜日

前田 裕二 メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編162日目


 マイナンバーカードと運転免許証を一本化する仕組みが、早ければ2026年に導入されるとの事です。税金や保険、資格など様々な情報が一本化される事に不安を抱く人も多いと思いますが、私はものぐさな性格なので、非常に良いと思います。このシステムが充実してくれば、学歴や医師資格の詐称なども防ぐ事も可能ではないでしょうか?期待しています。


 さて、今日お勧めする本は、メモを取る事で、知的生産性を高め、自分の夢を叶えましょうと言う本です。


 この本の特徴は、メモのノウハウを教えるよりも、メモにより抽象化能力を鍛えましょう、と言う活用の仕方に力点を置いているところです。


 著者によると、メモには二種類あり、「記録のためのメモ」と「知的生産のためのメモ」だそうです。


 知的生産のためのメモの取り方は、まずメモ帳を見開きで使い、左のページは事実、右ページの左半分にそれを抽象化する言葉、右半分にそれを転用したアイデア。つまり、事実、抽象、転用をメモる事で自分の知的生産性を高めることが出来るそうです。


 また、自分を深掘りして自分のコアに行き着くにもメモは最適のツールで、最終的に自分の夢を叶える事にも繋がるとの事です。


 私も出来るだけメモを取る様にしていますが、事実もメモで終わっており、抽象化、転用化のメモについては新しい発見でした。来月から取り入れようと思います。

^_^



購入はこちらから!




2020年10月16日金曜日

住野よる よるのばけもの (双葉文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編161日目


 福島第一原発の放射性物質を含んだ「処理水」について、政府は海に放出する方針を固めたそうです。風評被害を心配する人も多いでしょうから、十分な対策と説明を行い、出来るだけ納得してもらえるよう、進めてもらいたいと思います。


 さて、今日お勧めする本は、『君の膵臓をたべたい』の作者による、いじめを扱った作品です。


 この本の主人公は、ある日なぜかばけものになってしまった少年です。この主人公が夜の学校に忍び込むと、クラスでいじめられている女の子に出会います。その子と会って話していく中で、主人公が葛藤していくと言う話です。


 まず、主人公がばけものである点に驚かされますが、それ以上にいじめについて考えさせられる本だと思いました。学校生活を送る若い人たちにぜひ読んでもらいたいです。いじめが存在する教室では何が正義なのか、自分の心にどう折り合いをつけるのか。この事を考える良い題材です。


 ただし、まったく訳のわからない設定や、収束させずに散らかった伏線が多すぎて、読み終わったあとに不満を持つ人はきっと多いと思いますが、それ以上に、いじめの描写が深く、鋭く、自分に突き刺さりました。本作品の一部を切り取って、道徳の時間に使ってみてほしいと思います。


購入はこちらから! 






2020年10月15日木曜日

ヘンリー・S・ストークス 英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄(祥伝社新書)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編160日目


 昨日は、五十公野で熊の足跡が見つかったそうです。今年は熊の被害や目撃が多い気がします。お互いのため、出来るだけ人里に降りて来て欲しくないものです。


 さて、今日お勧めする本は、外国人記者の視点から、日本悪玉論の歴史観を否定するものです。


 これまで私が教えられて来た歴史観とは、180度違う事が書かれているので、当書を読んで最初の感想は、この話は本当か?でした。


 しかし、なるほどと思えることも沢山あります。例えば、当書が訴えている、太平洋戦争は西洋諸国に植民地にされていたアジア諸国の独立に大きく貢献したという事などです。


 なぜ、植民地政策をとっていた西洋諸国は善でそれを解放しようとした日本は悪なのでしょう? 


 日本悪玉論の歴史観でちゃんと答えられるのでしょうか?よしんば、西洋の植民地を横取りしようとしていたとしても、それまで、植民地を持っている国に悪いと言われる筋合いはないと思います。


 右でも左のどちらでもイデオロギーにこだわらず、もう一つの歴史を学ぶきっかけとして読んで欲しいです。


購入はこちらから! 




2020年10月14日水曜日

小倉 広 アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編159日目

 来年3月の開催を準備して来た、「にいがた酒の陣」は中止と決まったそうです。2年続けての中止は、関係者はもちろん、私達酒好きにとっても残念なニュースです。ぜひ、2022年には、以前の様に再開することを楽しみにしたいと思います。


 さて、今日お勧めする本は、『嫌われる勇気』で有名になった、アドラー心理学の教えを名言集としてまとめたものです。


 『嫌われる勇気』は、読み物としてとても面白いのですが、アドラー心理学を人に伝える際には、この様な名言集から一言抜き出すのが、伝わりやすいのではないでしょうか。それだけではなく、本書は、非常にわかりやすく読みやすくまとめられていて、かつ過不足のない説明が素晴らしいと思いますので、アドラー心理学の入門書としても、十分役に立つと思います。


 実際に、100の名言の中から、いくつか書き抜いて紹介してみます。


「人生におけるあらゆる失敗の原因は、自分のことしか考えていないことにある」


「妻の機嫌が悪いときに、夫が責任を感じてはいけない。不機嫌でいるか上機嫌でいるかは、妻の課題。その課題を勝手に背負うから苦しいのだ」


「自分は役立っていると実感するのに、相手から感謝されることや、ほめられることは不要である。貢献感は自己満足でいいのだ」


「劣等感を抱くこと自体は不健全ではない。劣等感をどう扱うかが問われているのだ」


如何でしょう?どれも、興味深く、含みのある言葉に思いませんか?それぞれの解説については、本書をご一読下さい。


😊


購入はこちらから! 




2020年10月13日火曜日

ニキ・リンコ 俺ルール!―自閉は急に止まれない

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編158日目


 昨年の台風19号から一年経ちました。私の勤務する長岡市でも、浸水被害軽減の為の事業が進んでいます。市民の皆さんにも、自助、共助の考え方が浸透している様に感じ、うれしく思います。


 さて、今日お勧めする本は、自閉症スペクトラム障害を持つ著者が、自身の経験を振り返りながら、自閉症の人の頭のなかでは何が起こっているのか教えてくれる良書です。


 本書によると、自閉の人たちの行動の原因は、処理できる情報の広さに制限があるため狭く細かく覚えてしまう事が根本にあるらしい。その様にして、得た情報は貴重なため、異常なほど律儀にそのルールに従おうとするそうです。


 そもそも、そうなってしまう仕組みとしては、自閉の人の頭の中では、要らない情報に気をとられない様になっているだけでなく、似たような情報を一括りにするなど、定型発達した人が無意識に行っている情報の編集能力が欠如しているところにあるとの事です。


 スペクトラムの意味は、はっきりした境界を持たず連続していることです。自閉症スペクトラム障害には、その名のとおり、程度に差があるところがミソの様です。


購入はこちらから! 




2020年10月12日月曜日

司馬 遼太郎 城塞 上中下巻(新潮文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編157日目


 大阪都構想の賛否を問う住民投票が再度行われるとの事です。大阪に住んでいない私にはメリットが全くわからない改革に思えます。大阪市の人口が多いと言っても、横浜市の方が人口は多いですから、横浜都構想だってありじゃないの?とか、考えが迷走してしまいます。ぜひ、行政サービスの充実につながる議論を深めてもらいたいと思います。


 さて、今日お勧めする本は、司馬遼太郎さんによる、大阪冬の陣、夏の陣を描く歴史小説です。


 この作品から伝わって来る事は、大阪城があまりに立派すぎたせいで、大阪方に慢心が生まれついには敗れてしまった。と言う事です。


 司馬遼太郎作品ならではの、登場人物解説が、それぞれのキャラクターに親近感を覚えさせてくれます。その上で大阪城落城へのストーリーが進んでいくので、辛さが増します。


 大阪方に与する浪人達は素晴らしい能力の持ち主ですが、淀君を筆頭に、トップがダメ過ぎて、優秀な浪人達を使いきれない様は、ダメな組織の反面教師として、参考になります。


 全3巻の長い小説ですが、ぜひご一読ください。

^_^



 購入はこちらから!




2020年10月11日日曜日

水野敬也 夢をかなえるゾウ3 文庫版

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編156日目


 今日は、胎内市の胎内川河川公園で野外ライブイベント、the コマライブが開催されています。コロナ騒動で様々なイベントが中止されている中、感染予防対策を徹底して開催にこぎつけたそうです。関係者のご尽力に感謝です。


 さて、今日お勧めする本は、夢をかなえるゾウシリーズの三冊目です。


 本作の主旨は、夢をかなえるためには、努力を継続できる事が重要。と言う事だと思います。


 今回の主人公は、夢を諦めきれず、占いやパワーストーンに頼ってしまうOLです。


 本作でもガネーシャから出された課題を主人公がこなしていく中で成長していきます。その中で、商売の対決をすることになり、商売についての教えが多い様に感じました。


 曰く、お客様を喜ばせる事が商売の秘訣。人を騙してでも儲けようとしても長続きしません。人に優越したいと言う気持ちが、少しでも得をしたいと言う行動となり、結果、人から喜ばれると言う商売の本質から外れてしまうそうです。サービスの本質は『他人に負ける事』との事。


 本作も課題をこなし、成長した主人公がしっかり幸せを掴むのですが、最後は少し涙腺を刺激されました。


 努力が長続きしないと言う方にお勧めします。


 番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。


 購入はこちらから!




2020年10月10日土曜日

眉村 卓 妻に捧げた1778話 (新潮新書)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編155日目

 脱ハンコの動きが加速している様だ。結婚届、離婚届も脱ハンコで検討しているらしい。脱ハンコは構いませんが、インターネットでポンと結婚、離婚できちゃう仕組みって、なんか違和感あります。一時のブームによらず、落ち着いた、議論をお願いしたい。


 さて、今日お勧めする本は、短編小説の名手である著者が、癌で余命宣告を受けた奥さんに小説を捧げた日々をつづったエッセイです。


 奥さんが癌で5年生存確率が0パーセントと診断された著者は、1日原稿用紙3枚の小説を毎日書き続け、妻に読んでもらうことにしたそうです。


 まるでお百度参りのように、約5年間毎日書き続けたそうです。その小説の内から抜粋した十数話も掲載されており、短編小説のそれぞれも面白いのですが、エッセイの中で、静かに語られる言葉一つ一つに、奥さんを思う気持ちが感じられて、感動しました。


 1778話目の最終話、亡くなった奥さんに向けた最後の一行「また一緒に暮らしましょう」と言う言葉には、とてつもない重みを感じます。


 番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。


購入はこちらから!





2020年10月9日金曜日

柳 広司 ダブル・ジョーカー (角川文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編154日目



 2019年に映画化された漫画「翔んで埼玉」の新潟バージョン「翔んで新潟」が16日に発売されるとの事。作者の魔夜さんは新潟出身ですから、どんな作品なのか非常に楽しみです。


 さて、今日お勧めする本は、以前にも紹介したスパイ小説ジョーカーゲームの第二弾です。


 本作の魅力は、D機関対他のスパイ。D機関最強を味わうところだと思います。


 前作から続く5つの短編からなる連作短編集ですが、今回はD機関以外の人間が主人公となる話が多く、それぞれ、他のスパイ達と対決していきます。そんな中、やはりD機関のトップ結城中佐の能力が神がかっていて、結局D機関が出し抜いて行きます


 D機関以外の視点で話が進んで行くので、まさにスパイが影で暗躍している感じが味わえます。


 連作短編集ですが、時代は少しずつ流れていく様で、本作では、インドシナ侵攻や、真珠湾攻撃へと進んでいきます。


 番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。


購入はこちらから!




2020年10月8日木曜日

平井 伯昌 見抜く力―夢を叶えるコーチング (幻冬舎新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編153日目


 一昔前は10月10日は体育の日として、晴れの日が多かった記憶がありますが、今年は台風14号の影響で雨になりそうです。そして、祝日はスポーツの日として7月24日に終わっているので、なんとも寂しい限りです。


 さて、今日お勧めする本は、北島康介を育てた平井コーチがコーチ術を説く本です。


 本書の主旨は、指導において大事なポイントは、相手を見抜き長所を優先的に伸ばす事。と言うものです。


 自らの経験を元に具体的な指導法はなるほどと思うことばかりでした。選手それぞれの個性に合わせ、指導の仕方も変わってくるが、基本はまずは長所を伸ばし、短所が長所のじゃまになっているかもしれないと感じ始めた頃に短所を直すのだそうです。


 それから大事な事は、指導の伝え方。具体的には、修正すべき点はワンポイントで伝えると言う事です。


 さらに、「なぜできたのか」という、いい時の反省が重要である。など、示唆に富む話が多くありました。


 番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。


購入はこちらから!




2020年10月7日水曜日

マイケル・ルイス 他1名 マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編152日目


 最近のスポーツニュースでは、メジャーリーグの地区シリーズについて報道されています。ここでも日本人メジャーリーガーが活躍しているのですから、野茂さんの時代と随分違うのだな、と感じます。


 さて、今日お勧めする本は、そのメジャーリーグのゼネラルマネジャーで映画化もされた、ビリー・ビーンについてのノンフィクションです。


 本書の主旨は、お金が無いなら知恵を使え、常識では無くデータを信じろ。と言う事だと思います。


Amazonの内容紹介をコピペさせてもらいます。


1990年代末、オークランド・アスレチックスは資金不足から戦力が低下し、成績も沈滞していた。新任ゼネラルマネジャーのビリー・ビーンは、かつて将来を嘱望されながら夢破れてグラウンドを去った元選手。彼は統計データを用いた野球界の常識を覆す手法で球団改革を実行。チームを強豪へと変えていく―― "奇跡"の勝利が感動を呼ぶ! ブラッド・ピット主演で映画化された傑作ノンフィクションの全訳版。解説/丸谷才一(文庫版のみ)


 読んでみた印象としては、ビリー・ビーンのデータに対する感性が素晴らしいんです。そして、野球をものすごく合理的に考えている。あまり野球は詳しくない私も非常に面白く読むことができました。


 少し厚くて、読み進めるのが大変ですが、お勧めです。


 番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。


購入はこちらから!





2020年10月6日火曜日

柳 広司 ジョーカー・ゲーム (角川文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編151日目


 新型コロナウイルスに感染し入院しているアメリカのトランプ大統領が、今朝退院する様です。PCR検査陽性が報道されてから1週間経たずに退院て、コロナってこんなものなのでしょうかね?批判も多いでしょうが、コロナはそれほど怖くないと言う勇気がもらえた気がします。


 さて、今日お勧めする本は、日本陸軍の情報勤務要員養成所、D機関で訓練されたスパイ達が暗躍する連作短編小説です。


 この作品の魅力は、D機関を率いる結城中佐と教え子達の超人的な能力です。チラッと見ただけの文章を暗記するやら、暗闇でも歩き回るやら、自白剤でも喋って良い事悪い事を使い分けるとか、もう引いてしまうくらい、すごいんです。


 事件が解決してから、真相の解説が始まるのですが、これが結構長いんです。そこでも二転三転するのでこの作品は、その種明かしのところを楽しむ作品だと思います。


 過酷なスパイの世界で生きるのは、自分には無理ですが、小説だけなら楽しめました。


 番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。


購入はこちらから!





2020年10月5日月曜日

是枝 裕和 他1名 そして父になる【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編150日目


 先日、三条市保内の古墳群の解説を聞きながら散策する、保内三王山古墳群めぐりウォークに参加してきました。古墳といっても、山の中のこんもりした塚があるだけなのですが、詳しい説明を聞いて、古代のロマンにひたれた1日でした。

 

 さて、今日お勧めする本は、2013年のヒット映画のノベライズです。


 私は、映像のイメージが強く、文章の面白みに欠けるためノベライズ物は避けてきたのですが、本作は映画、小説ともに良かったです。


 特に、小説で作品を読む事により、映画ではよくわからなかった背景や登場人物の心理が言葉でしっかり伝えられるところもあり、メディアとしての文章の力を再認識しました。


 6年間育てた息子は病院で取り違えられた他人の子供だった。こんな事実を知らされたら、自分はどうするだろう?仕事、財力、容姿、全て備えた主人公良多は家族への愛情にやや欠けています。良多にもう一方の父親雄大が、子供と一緒の時間を過ごす大切さを説く場面が私のお気に入りです。


 「何言ってんの。時間だよ。子供は時間」映画でも良かったこのセリフが、また、小説でも良いんです。


 番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。


購入はこちらから!




2020年10月4日日曜日

高橋 秀実 男は邪魔! 「性差」をめぐる探究 (光文社新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編149日目


 日本学術会議の新会員候補105名のうち、6名が任命を拒否されたとの報道がありましたが、さっぱりわかりませんでした。6名を拒否したところで、イメージが悪くなるだけだと思うのですが、新政権の判断はイマイチの様に思います。


 さて、今日お勧めする本は、社会の悪弊が男の性格からきてるんじゃないの?と言う本です。


 かなり差別的で、とんでもないテーマだと思いましたが、読んでみると結構面白い。辛口なジョークだと思って読むと良いと思います。


 例えば、男に訊いても埒が明かない。それは、男がひとりよがりだから。ひとりよがりがひとりよがりを競るように社会をつくってきたからいつまでも問題が解決しない。との事。確かに独りよがりとは、うまい表現だと思います。


 さらに、本に出てくる著者の奥さんが痛快です。男は話を聞いていない。単純なことをわざわざ複雑にして言う。ペチャクチャ余計なことを考えなくてもいいからお茶碗ぐらいキレイに洗えと言うところなんか良いですね。


 ここまで、男の劣性をあげつらうと、確かに世の中の諸問題がわかりやすく見えてくるところが不思議だと思いました。


 番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。


購入はこちらから!





2020年10月3日土曜日

新井 和宏 持続可能な資本主義

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編148日目


 トランプ米大統領(74)が新型コロナウイルスに感染したそうです。大統領選も1カ月後に控えており、大きな影響を与えそうです。鬼の首を取った様に、コロナ禍にあたり、経済活動を重視した大統領の政策を非難するメディアもありますが、あまり影響を受けない様にしたいものです。


 さて、今日お勧めする本は、数百億円のファンドを動かすファンドマネージャーが語る、資本主義の理想系です。


 本書の主旨は、金融工学などお金の力学ではなく、会社の理念や文化がしっかりした、世の中のためになる会社に資本を投資する資本主義が大事ですよと言うことです。


 もう少し詳しく言うと、やはり、金儲けばかりではダメなんだなって事です。この本は、近江商人の「三方よし」の精神を今風に拡張して「八方よし」という考え方を取り入れ、社員、取引先、株主、顧客、地域、社会、国、経営者のそれぞれが共通価値を持ち、付加価値を分配する対象として考える企業を応援する投資信託のお話です。


 そんな投資信託を運用する鎌倉投信が判断の根拠としているのはデータではなく、直接自分の目でその会社の姿を見た時の主観だそうです。 


 私たちの消費活動は、億のお金のファンドではありませんが、小さな投資行動とも言えます。そんな小さな投資活動も、価格重視でなく、お店重視で買い物をした方が回り回って、世の中を良くして行くことにつながる様に感じます。


 番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。


購入はこちらから!





2020年10月2日金曜日

小池 龍之介 しない生活 煩悩を静める108のお稽古 (幻冬舎新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編147日目


 10月に入って、GoToトラベルの対象に東京発着旅行が追加され、旅行の予約が好調の様です。GWや夏休みという稼ぎどきを棒にしてしまった、観光業界に少しでも景気が戻ってほしいものです。


 さて、今日お勧めする本は、仏教の教えを噛み砕いて、今を生きる我々に安らぎの作り方を教えてくれるエッセイです。


 本書の主旨は、我々の周りに溢れるイライラは自分由来である事にまず気が付きましょう。と言う事だと思います。


 詳しく紹介すると、相手が自分の思う通りの言動をしなかったりすると、イライラする気持ちを覚えるのは、自分が未熟なせいだそうです。


 その中でも、正義感も煩悩のひとつと言うのが面白いと思いました。攻撃的な言動、自分勝手な言動、愚かな言動を目にすると、自分を守るために、脳は不快な情報として受けとるのだそうです。


 また、人から何か注意をされて、言い訳するのも煩悩のひとつとのこと。他人の言動は他人の物、間違っていようが放っておいて、まずは自分の平静を保つことが大事なようです。


 番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。

購入はこちらから!






2020年10月1日木曜日

東野 圭吾 パラドックス13 (講談社文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編146日目

 猛暑が和らいだと思えば、もう今日から10月に入りました。いろいろな事が変わるそうですが、気になるのは、酒税の改正。ビールと日本酒は下がり、第3のビールとワインが上がるそうです。私にとっては嬉しい改正。値段に反映してもらえるのが待ちどうしい。


 さて、今日お勧めする本は、東野圭吾さんには珍しい、サバイバル系SF小説です。


 この本から思うのは、世の中は、多くの人によって支えられている事。やっぱり物だけでは幸せにはなれそうもないな、という事です。


 もう少し詳しく言うと、突然誰もいなくなった都会で13人の男女がグループサバイバルする物語なのですが、そこに様々な哲学的命題が含まれていると思います。例えば、「善悪とは何か」「人はなぜ生きるのか?」「合理的vs人情的」「豊かさとは?幸せとは?」等々。作者が普段のミステリーでは書きたくてもかけないテーマをふんだんにちりばめている様に感じました。


 想像力がついて行けない難解な設定も、巧みな情景描写で、すごくリアルにこの世界を体験出来ます。


 先にも述べましたが、現代の物質文明は結局それを支える人によって、幸となりうるということに気付かされました。豊かな物質だけ残されてもそれを支える人がいなければダメ!これも作者特有の町工場の目線だと思いました。


 番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。


購入はこちらから!






9月に読んだ本

9月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:4167
ナイス数:217

反応しない練習  あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」感想
☆ 過酷な競争から成り立つ現代に生きながら、苦しみから逃れる方法をブッダの教えからわかりやすく説く書。全ての苦しみは自分の外側にある事象に反応して、自分の中に負の感情や妄想をいだくことから始まっているとの事。自分の呼吸など五感に意識を向け、苦しみの元となる外側への反応をやめる事が大事だそうです。幸せのためには、慈悲喜捨という、相手を思いやり共感し、自分の執着を捨てて、最高の納得を目指して生きる事によるそうです。
読了日:09月02日 著者:草薙龍瞬

そうか! 「会議」はこうすればよかったんだ (マイナビ新書)そうか! 「会議」はこうすればよかったんだ (マイナビ新書)感想
◎会議をレベルアップさせるヒントに満ちた実用書。会議のキモは、意見を出し合うブレストと、意見を絞り込んでいく議論を分ける事が一番大事。そして、うまくいく会議に必要な三要素は、前述のブレストと絞り込みの分離の他、会議の目的(スローガン)、会議の目標(ゴール)との事。そこに、会議のコンサルタントで得たちょっとしたコツなどもあり、この本の実践で会議の上級者を目指すことが出来る。
読了日:09月04日 著者:齊藤 正明

清明: 隠蔽捜査8清明: 隠蔽捜査8感想
◎主人公竜崎が神奈川県警刑事部長就任時の物語。着任早々、殺人事件が東京と神奈川の境界で起こり、警視庁刑事部長の伊丹と合同で指揮を執っていく。神奈川県ならではの、中華街との関係が鍵を握り、警視庁と神奈川県警のライバル関係も取り上げられる。中でも県警OB滝口とのやりとりが面白い。原理原則を貫き続ける竜崎の影響が、神奈川県警にどんな変化をもたらしていくのか、今後も期待が持てる。
読了日:09月05日 著者:今野 敏

放射線医が語る被ばくと発がんの真実 (ベスト新書)放射線医が語る被ばくと発がんの真実 (ベスト新書)感想
☆放射線をもっと知るべきだと思う。福島原発事故では放射線による死亡者はいませんし、放射線を原因とする癌は発生しないとの事です。むしろ、避難による生活環境の変化が悪影響となり、癌が増える可能性を示唆しています。チェルノブイリや、広島、長崎の原爆からのデータをもとに、科学的に放射線が与える人体への影響を説いてくれる本です。曰く、「100ミリシーベルト以下という、科学的なデータによる裏付けもない領域についても、「危険」と強調しつづけ、ストレスを抱えて生活習慣が悪化すると、かえって発がんのリスクを高めかねない」
読了日:09月08日 著者:中川 恵一

筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方感想
◎巷に広がるインチキダイエットに踊らされないための正しい食事法として、マクロ管理法を紹介し、解説する本。マクロ管理法とは、基礎代謝をもとに、1日に必要なカロリーを求め、それをタンパク質、脂質、炭水化物の3つの栄養素に分け、それぞれ食べるグラム数を算出し、その制限を守って食事をするもの。最初は計算が面倒くさいが、続ける事で楽に管理できるようになると言う。最初の1週間は結果を気にせず始める事が大事らしい。
読了日:09月09日 著者:Testosterone

これは経費で落ちません! ~経理部の森若さん~ 1 (集英社オレンジ文庫)これは経費で落ちません! ~経理部の森若さん~ 1 (集英社オレンジ文庫)感想
◯天天コーポレーション経理部でそつなく仕事をこなし、過不足ない生活を送る地味美人、沙名子が主人公の連作短編集。優しく、湿った人間関係が苦手な沙名子が、営業部のエース太陽にせまられ、自分のペースを見失っていく。特に女性のキャラクターが、服やメイクの特徴まで描かれて、女性の作者らしい視点を感じた。
読了日:09月13日 著者:青木 祐子

LOVE理論LOVE理論感想
◎夢をかなえるゾウの作者、水野敬也さんの書いた恋愛指南本。モテない男達をスパルタ的に恋愛達人に鍛え上げようという上から目線の文章が、腹が立つどころか非常に面白い。一つのエンターテインメントとなっている。作者の主張は、モテない男は、自分の主観から抜け出せないだけ、相手の視点で考える勇気を持って、少しずつ経験を積み重ねれば、高嶺の花に見える女性と付き合うのも楽勝との事。私がなるほどと思ったのは、うわっつらkindness理論です。女性が求める男の優しさは、表面上の優しさであるとし、レディファーストを徹底する。
読了日:09月14日 著者:水野敬也

半沢直樹 アルルカンと道化師半沢直樹 アルルカンと道化師感想
◎人はあまりにも大きな影響を及ぼす真実にふれた時にどう対処するのかを問われる小説だと思いました。もちろん、半沢直樹シリーズの勧善懲悪のストーリーがとても気持ち良い読後感につながっています。性善説の半沢直樹ならではの、善意ある人々の決断も感動につながっています。
読了日:09月18日 著者:池井戸 潤

自粛バカ リスクゼロ症候群に罹った日本人への処方箋 (宝島社新書)自粛バカ リスクゼロ症候群に罹った日本人への処方箋 (宝島社新書)感想
◯何も考える事も疑う事もなく、多数派の言う事に従うのはやめましょうと言う本。日本が世界の工場としてGDP世界二位の立場にあったのは昔の話。今は日本は韓国にも地位を脅かされるところまで来ている。しっかり現状を把握しましょうとも語っている。
読了日:09月18日 著者:池田 清彦

糸 (幻冬舎文庫 は 36-1)糸 (幻冬舎文庫 は 36-1)感想
△イマイチでした。それと言うのも、作者が何を書きたいのかが、全くわからないのです。含まれているテーマは沢山あります。人に優しい存在である事。運命には逆らえない事。成功も失敗も長続きしない事。地に足を付けて生きる事。それぞれが、各キャラクター毎の短編小説の様に綴られているのですが、一つ一つのパンチが効いてきません。ただ、香さんと結ちゃんのくだりは、ウルッと涙腺を刺激されました。
読了日:09月21日 著者:林 民夫

角栄に花束を  1 (1) (ヤングチャンピオンコミックス)角栄に花束を 1 (1) (ヤングチャンピオンコミックス)感想
◎田中角栄を語る多くの本では、政治家になってからのエピソードが多いのですが、この作品の様に若い頃のエピソードを伝えてくれるのはありがたいです。  漫画ですので、誇張やら笑いやら、かなり創作もあるのでしょうが、田中角栄ならではの3つの長所がしっかり描かれていて良いです。それは、バイタリティ、面倒見の良さ、努力が人並み外れているところだと思います。  漫画と言う媒体で若い人に少しでも興味を持ってもらいたいと思います。
読了日:09月21日 著者:大和田秀樹

リーダーの教養書 (News Picks Book) (幻冬舎文庫)リーダーの教養書 (News Picks Book) (幻冬舎文庫)感想
◎骨太のブックガイド。リーダーに求められるのは実績や経験であることは、自明であるが、先が見えない未来に向けての決断にこそ、本から得られる教養が物をいうとの事。特に歴史や古典には、普遍的価値が高い叡智が含まれている。紹介されている本は、割と有名な本が多いが難しそうで手にとって来なかったので、再度チャレンジしてみようと思う。
読了日:09月24日 著者:出口 治明,楠木 建,大竹 文雄,岡島 悦子,猪瀬 直樹,長谷川 眞理子,中島 聡,大室 正志,岡本 裕一朗,上田 紀行

時生 (講談社文庫)時生 (講談社文庫)感想
☆ 本作は、不治の病で瀕死の息子トキオの意識が20年の時を遡り、どうしようもないろくでなしの頃の父拓実の前に現れ、その拓実を助けて、ある困難を乗り越えると言う小説です。  作品の中にあるテーマは、生きているだけで丸儲け、生きている一瞬一瞬に未来はある。過去に囚われず、その時を幸せに過ごせたなら、どんなに短い人生でも納得する事ができる。と言うことだと思います。  とにかく出鱈目な若い頃の拓実の若気の至りには辟易しますが、短い人生を必死に生きるトキオ君の健気さに涙が止まりません。傑作です。
読了日:09月27日 著者:東野 圭吾

チルドレン (講談社文庫)チルドレン (講談社文庫)感想
☆☆型破りな家庭裁判所調査官の陣内がそんなもの大したことじゃないと喝破する連作短編小説。この作品の魅力は、なんといっても主人公の陣内。出鱈目の様で、いつも真剣勝負。「駄目な少年は駄目なんだろ。あんたたちはそう言った。絶対に更生しないってな。地球の自転が止まることがあっても、癌の特効薬ができることがあっても、スティーブン・セガールが悪役に負けることがあっても、非行少年が更生することはない。そう断言した」 「俺たちは奇跡をやってみせるってわけだ。ところで、あんたたちの仕事では、奇跡は起こせるのか?」
読了日:09月28日 著者:伊坂 幸太郎

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)感想
☆ 青森津軽で無農薬無施肥によるリンゴ栽培を確立した木村秋則さんの半生記。この本の主旨は、不可能と言われる事を成し遂げるには、思い付きだけでは無く、狂った様にのめり込み、それを何年も続ける必要がある。と言う事だと思います。自殺まで考え彷徨っている中にヒントを見つけ、さらなる研究努力により、ようやく方法を確立すると言う件は、読んでいるこちらまで、ほっとさせてもらいました。また、それを支えた家族も凄いです。何年も収穫ゼロのリンゴ畑で、害虫駆除を手伝う気持ちってどんなでしょう。奇跡を生む努力の実話です。
読了日:09月30日 著者:石川 拓治

読書メーター