その晩寝た後は、起きる事なく死んでしまう病気らしい。
今晩死んでしまうので、病院に運ばれて来ても治療は不要であることを医者に告げるため、家族4人で最後のお出掛けをした。
私は最後の日なのだからと、家族のいる前で辞めていたタバコを呑んだ。見た事の無い金色の箱に入った、太い紙巻きタバコだった。何やら豪華だ。秋の柔らかい日差しの中に、タバコの煙が流れて行った。
妻は神妙な面持ちで、私を見ていた。娘はまだよく分からない様子だったが、息子は声を上げて泣きながら離れて行った。
タバコを呑みながら、保険の事やら、残していく家族のために、済ませておくべき事ばかり考えていた。
不思議と死ぬのは怖くは無かった。夜寝て起きられないだけだから、何も変わらない様に感じていた。それでも、やり残した事は無いか再度考えてみたが、10kmマラソンで45分を切れなかった事だけが、心残りだった。
しかし、私はこれまで、10kmマラソンを走った事は、2回しか無い。
(^_^;)
0 件のコメント:
コメントを投稿