2021年1月4日月曜日

山田 宗樹 百年法 (角川文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編241日目


 今日は仕事始めの方が多かったのではないでしょうか?しかし、新潟県内は雪でJRがまともに動いていません。私は早めに家を出て、30分遅れで到着した普段の2本前の電車に乗れたので、定時に職場に着きました。年明けからこの悪天候の中でも、定時運行の回復のため懸命に雪と戦うJRの方々に感謝です。


 さて、今日お勧めする本は、人類が不老不死を手に入れた世界を描く小説です。


 不老不死の技術を手に入れた国家の将来を守るため、その命に百年という制限を設ける法律、それが生存制限法(百年法)です。上巻では滅私奉公で百年法の成立を目指す官僚たちが描かれます。国民は国家のために自分の命を削る様な法律の成立を望むのか?壮大な物語が始まる上巻です。


 下巻では、百年法制定後の世界。不老不死の技術と共に必要な寿命を制限する法律、百年法はかろうじて制定され、日本消滅の危機は去ったものの、新たに百年法に従わない拒否者が発生し増加するという問題を抱えた日本。権力をめぐる争いの中、不治の病という脅威がまたも国家の存続を脅かしていきます。そのとき日本国民にせまられた決断とは? 


 現代社会は良くも悪くも生命に限りがあることが前提に成り立っているシステムであることを痛感した作品でした。かなり重いテーマでありながら、ここまで読み易く書き上げてくれた著者の努力に感謝です。ぜひ、ご一読をお勧めします。




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