『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編252日目
新潟日報に載っていましたが、燕市の図書館で、著者や作品名がわからないように3冊の本を入れた福袋方式での貸し出しを行っているそうです。テーマとなっているキーワードだけを頼りに借りるそうです。普段読まないような著者の作品に触れる機会を作りたいとのことで始まった企画とのことです。インターネットでは出来ない、本との出会いを演出する、このサービスがもっと広がると良いですね。
さて、今日お勧めする本は、17歳の女子高校生が42歳の自分にタイムスリップしてしまう物語です。
主人公は真理子。物語の最初には17歳の女子高校生として登場します。真理子は大雨で運動会の後半が中止になった夕方、家に帰り、レコードを聴きながらうたた寝をします。目を覚ますと、見知らぬ部屋に、服も全く違うモノになっている事に気が付きます。なんと、自分がつい先程まで居た時から25年も経っていたのです。25年後の世界では、真理子は夫と17歳の娘がいる17歳高校の国語教師となっています。訳のわからないまま、自分だけ独りぼっちな25年後の世界を生きていく事を真理子は決意します。
私は深読みし過ぎだとは思うのですが、この話を42歳の真理子が単に25年間の記憶を失った物語と解釈しました。確かに全体で語られる17歳の真理子が未来世界で前向きに孤軍奮闘している姿には本当に感動するものがあります。しかし、私がこの作品から、痛烈に感じた事は、私達の心が、いかに記憶に支配されているかという事です。25年間の記憶を失った真理子が、娘に17歳の心や純粋さを感じさせたのであったとしたら、私達の心も若さを取り戻せるのかもしれません。はなはだ勝手ですが、この先真理子が記憶を取り戻し、桜木家に更なる幸が訪れる事を祈っています。名作です。
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