『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編253日目
今日、明日と大学入学共通テストが行われます。先週末の豪雪と公共交通機関の混乱に、少し心配していましたが、雪もだいぶ溶け杞憂に終わりそうです。昨年まではセンター試験だったものが、紆余曲折の末試験方法が変更になったり、コロナ禍で勉強に集中できない状態だったり、今年の受験生は本当に大変だと思います。親御さんも心配が絶えないでしょうね。まずは、皆さんの御健闘をお祈りしています。
さて、今日お勧めする本は、一番有名な予備校講師が語る受験論です。
本書の主旨は、受験競争は必要。受験勉強をその後の人生に活かしていけるかどうかには、大きな個人差があるよって事だと思います。
受験競争というと、私と同じようにマイナスのイメージが浮かぶ人が多いと思いますが、本書は「受験は特権的な事である。そもそも勉強できるということは贅沢なこと」という話から始まっていきます。
なぜ、人は学歴を気にするのかという問いに、著者は、学歴はどの大学に入れたかを示す指標となっており、それはどの程度受験で頑張ったかを示している。受験競争を勝ち抜き、学歴を手に入れるということは、決められた事をどのくらいのレベルでやったかの証明になると、こたえています。
このように肯定的に受験競争を捉えている著者ですが、私が一番印象に残った言葉は、受験競争のデメリットを尋ねられた時の言葉です。それは、社会が受験という一つの物差ししか用意していないことから、受験の勝者が全人的に優れているような錯覚をして、敗者を不当に低く評価する傾向が生じていること、だそうです。著者は、この歪みを正すため、社会が沢山の物差しを用意してそれぞれの能力で頑張れる世の中になるよう、改善を望んでいます。
本書は編集者からのインタビュー形式で書かれた本です。結局何言っているか分からない、よくある雑誌のインタビュー記事とは違い、本書では著者の受け答えの論旨が明確で、まわりくどくなく、とてもわかりやすい本になっています。やはり予備校講師として、人に言葉を伝えてきた著者ならではの特徴だと思いました。
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