2021年1月10日日曜日

さだ まさし 解夏 (幻冬舎文庫)


 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編247日目


 今日は秋葉区にある菩提寺まで年始に行ってきました。毎年母が一人で行っていたのですが、大雪で車の運転が大変なため、私が運転手を務めてきました。秋葉区も35年ぶりに積雪が1mを超え、大変な事になっていました。しかし、雪はやんでいたので、美しい雪景色の中をドライブすることが出来ました。雪は不便でどうしようもありませんが、私はこの雪景色を見られるだけでも、ここに暮せて良かったと感じてしまいます。


 さて、今日お勧めする本は、さだまさしさんのマルチな才能に唸らされる小説集です。


 「解夏」「秋桜」「水底の村」「サクラサク」の4篇からなる小説集です。1話が100ページほどあり、割とボリュームがあります。元々作詞に定評のある著者ですが、本書の小説4篇からは、それぞれ違った角度で著者の小説家としての実力を証明する作品群と感じました。まず、本書全体から、言葉の選び方が丁寧で、一つ一つの物語がしっかりしていると感じました。


 その四つの作品それぞれで、味わいがちがいます。表題作「解夏」では、視力を失いゆく難病に罹った主人公が、教職をやめて故郷に戻ります。失明する前に故郷の風景を目に焼き付けようと、長崎の街を歩き回ります。その主人公の目を通し見る長崎の風景の描写力に圧倒されました。


 また、「秋桜」では、長野の田舎に嫁いで来たフィリピン妻の境遇に人間関係の奥深さを感じ、「水底の村」では、切ない恋愛を振り返り、「サクラサク」では、痴呆が進む父親の言葉に人生の教訓を得る事が出来ます。


 4篇それぞれ、どの作品にも涙腺を刺激する一文が含まれており、まいりました。ぜひご一読ください。




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