『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編ラスト33日
最近、改めて世の中の金融機関の多さに気付きました。銀行だけでも、メガバンク、地方銀行、ネット銀行、信用金庫など数多くの銀行が営業しています。多くの金融関係者が、お金を右に左に動かすことだけを生業にしていますが、この業界がヤバいのは、ネット銀行の成長が著しく、コストの高い銀行は死活問題に足を突っ込んでいるということ。コストの裏には必ず人の暮らしがあります。それをどうやって軟着陸させるか、とても難しい課題を抱えているようです。
さて、今日お勧めする本は、コストカット競争に日々明け暮れている、製造業の正義について考えさせられる小説です。
物語の舞台は、東京建電という、大手総合電機ソニックの子会社のメーカーです。本書は8話にわたる連作短篇の形で進行し、それぞれ、定例会議、経営会議、環境会議など、それぞれの話に会議が登場する。世の中の仕事には本当に会議が多いと感じさせる。
それぞれの短篇では主人公が変わりながら、東京建電でどういったことが行われ、それぞれがどのように関わったかを描きながら物語が進んでいきます。
登場人物それぞれは、偉い立場もいるし、弱い立場もいます。正義に燃える人もいるし、悪意のままに真実に迫る人もいます。バラエティ豊かな登場人物を通じて、メーカー経営の苦労や、物づくりの尊さなど働く意義などを多面的、立体的に表現しています。
私は本書から、コストに対する無限の追求は、何か大事なものを失う端緒になってやしないかと、恐怖を感じました。だからこそ、正しく働くという事が何よりも大切なことであると考えさせられました。まあ、なんだかんだ言って、著者の勧善懲悪の物語はとても爽快で気持ちがイイです。是非ご一読ください。
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