2021年4月19日月曜日

高野 和明 ジェノサイド 上下巻 (角川文庫)


『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編ラスト20日

 銀行という業界は、よほど気合を入れて進化していかないと生き残っていけないようです。なぜなら、第四北越銀行などのリアル店舗がメインの銀行では、ありとあらゆるところに手数料をかけなければ、莫大な人件費を賄えません。これでは、後10年もしないうちに、ネット銀行に駆逐されてしまいます。ネット銀行では、ATM手数料どころか、他金融機関への振り込み手数料も無料。ローンの金利は安く、逆に預金に対する利息は高いです。見方を変えれば、金融業界には大きなビジネスチャンスが転がっているのかもしれません。

 さて、今日お勧めする本は、人類の進化を脅威として捉えたSFエンターテイメントです。

 主人公は、コンゴで傭兵として働くイエーガーと、日本で薬の開発を研究している大学生古賀研人の二人です。本書の魅力は、世界の端と端でまったく接点のないイエーガーと研人の二人が、人類の未来をかけた事件に巻き込まれていくところです。

 本書の鍵となるのは、人類の絶滅要因の研究をまとめた、ハインズマンレポートです。そこには、『1 宇宙規模の災害』『2 地球規模の環境変動』『3 核戦争』『4 疫病:ウイルスの脅威及び生物兵器』の4つに並んで、『5 人類の進化』とあります。進化を遂げた次世代のヒトは現生人類を滅ぼしにかかるだろうと書かれています。

 この人類の進化に対して、現生人類はどのように対峙していくのか、ホワイトハウスの大統領を第三の登場人物として、描かれています。そして、その事件にイエーガーと研人が巻き込まれていくのです。世界を舞台にスケールの大きな話がスピーディに展開していきます。

 とにかく、進化した人類の能力が凄すぎて印象的です。その他にも、登場人物それぞれが丁寧に描かれていて、物語として非常に魅力的な作品です、是非ご一読ください。

 

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