本書の主人公優子は、父親が三人、母親が二人おり、家族の形態が、十七年間で七回も変わった事がある女子高生です。しかし、本書の冒頭は、「困った。全然不幸ではないのだ。」という、優子の独白から始まります。複雑な家庭環境に、何か不幸や我慢がありそうだと世間の人は想像してしまいます。しかし、優子の保護者たちは、それぞれの愛情を持って優子に接し育てるので、優子は決して不幸ではないのです。確かに、他人と比較して、足りない部分を不幸と考えれば不幸なのでしょうが、優子はそうしません。家族について深く考えさせられる作品です。
その他にも、気になった一節は、離婚する両親のどちらについていくのか、子供である優子本人に選ばせるシーンです。「私に選択なんてさせるべきじゃなかったのだ。お父さんと梨花さんが自分たちで決めて、私を納得させるべきだった。小学校高学年になると言ったって、まだ十歳なのだ。正しい判断が、そのあと悔やまない判断が、できるわけがない。」選ばせる事は残酷だと思いました。そして、親の責任として、判断することも必要だということも、初めて考えさせられたのです。この箇所だけで無く、責任の取り方についても、いろいろと述べられている小説です。
ほんわかとしている中で、色々と気づきを得られる快作だと思います。
ちなみに、この本は、5月27日までやっているkindle本の50%ポイント還元セールの対象作品になってます。
^_^
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