2020年7月17日金曜日

山本 周五郎 青べか物語 (新潮文庫)

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編70日目

 昨日は、芥川賞と直木賞の悪口になってしまいましたが、数ある文学賞の中で私が最も信頼しているのは、山本周五郎賞です。以前皆さんにお勧めした、「明日の記憶」「ゴールデンスランバー」「夜は短し歩けよ乙女」など、私の好きな作品がずらり並んでいます。何を読もうか悩んだら、山本周五郎賞受賞作を是非試してみてください。

 さて、今日お勧めする本は、山本周五郎ご自身の作品です。山本周五郎賞に外れなしと紹介しましたが、ご自身の作品にも外れがないようです。

 本作は、大正の終わりから昭和の初めにかけての千葉県浦安市を舞台にどちらかというと貧しい庶民の有り様を描いた自伝小説の傑作。それは、ちょっとずる賢く、悲しくも明るい雰囲気が漂います。

 例えば、不倫浮気は当たり前。子供達ですら、主人公に対し鯉や鮒を高く売ろうと貪欲に知恵を使うが、ひとたびお金がないからいらないと拒否すると無償で鯉や鮒を主人公にくれるいい子達でもあります。主人公は子供達の狡猾さ貪欲さに辟易しながらも、それは、最初にお金を提示した自分に責任があると気付く。 そんな短編集です。

 
番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。




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