2021年2月7日日曜日

楠木 建 ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件


『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編275日目

 今日の新潟日報で、新型コロナ対策にかかる財政負担についての記事が掲載されていました。そもそも借金体質である日本にとって、今回の財政出動がどれだけ危険なことか警鐘を鳴らすものです。実際国債の発行額を示すグラフを見ると、とんでもないことになっていることがわかります。すでに我が国はお金を配る余裕などないように見えました。債務不履行にならないよう、コロナ後の財政健全化のための戦略を示してほしいと思います。

 さて、今日お勧めする本は、各業界で成功している企業の競争戦略について、ストーリーという視点で解説する本です。

 本書の主旨は、成功事例について、パターン化したりモデル化して切り取るより、ストーリーと言った流れを知る方が有意義だよ、って事だと思います。

 多くの示唆に富み、非常に面白い本書ですが、いかんせん話が長いです。著者曰く、本書は最初から順を追って読んで欲しいとのことです。ビジネス書でよく見かける、どこから読んでも良いという構成とは一線を引いています。本書自体が流れを重視した、ストーリー性の強い話で著されていることによるのです。

 さて、肝心のストーリーとしての競争戦略ですが、その基本となる考え方は、競争しようとしない事です。例えば、テレビという市場があったとすると、安いテレビ、画面の綺麗なテレビ、音のいいテレビを作って参入するのは戦略ではないそうです。競争ではなく、テレビには無い何かを付加価値として提供する事が、戦略というものだそうです。

 その戦略は、ポジショニング(SP)、と組織能力(OC)の切り口で説明されています。SPは「種類の違い」、OCは「程度の違い」に着目して競争優位を持とうというタイプの異なる戦略感だそうです。本書の肝とも言うべき、この二つの戦略感を身につけることが、本書を読んで得るべきゴールと言っても過言ではありません。

 本書の話は確かに長いのですが、言葉は平易で大変わかりやすいので、ぜひご一読下さい。

 

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