『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編271日目
今日は立春。暦の上では春です。例年であれば今日が節分ですが、今年は暦のずれで124年ぶりに2日が節分だそうです。昨日は恵方巻食べた方が多いのではないのでしょうか。もともとは近畿地方の一部で行われていた風習らしいのですが、今は新潟でも節分のアイテムになりました。今年はネット予約など予約販売により、廃棄を減らそうという動きもあるようですが、その効果が気になります。以前見た、夜9時頃になっても売れ残った大量の恵方巻が衝撃的でしたからね。
さて、今日お勧めする本は、飢餓という観点から戦場を描いた小説です。
主人公は田村一等兵。舞台は第二次世界大戦中のフィリピン、ルソン島。すでに戦況は悪化し、田村達の部隊はルソン島に上陸する際に迎撃され、組織的な戦闘もないまま、現地の畑を荒らすなど食量確保に明け暮れています。
そんな中、肺病が悪化して喀血した田村は部隊を追い出され、野戦病院に向かいますが、食料を持っていないためそこでも受け入れてもらえません。どこにも落ち着く先もないまま、田村は同じように部隊を追い出され、病院の近辺に坐り込む、安田や永松と出会います。
米軍からの攻撃に散り散りに逃げ、彷徨う中で田村は生き残るため、無辜の現地住民を手にかけます。やがて、安田、永松と再開し、米軍に投降するチャンスを伺っていますが、食べ物も無く、田村は安田達から猿の肉と言って勧められた謎の肉を食べて命を繋いでいきます。
本書では、戦地を彷徨う主人公の思考を通じて、飢餓の極限状態が描かれていますが、残酷で読み進められない程ではなかったです。次々に起こる生死をかけた出来事の中、主人公は哲学的な思索を進め、そこに学ぶことが多いと感じました。
以下は、印象に残ったところの書き抜きです。
「我々のいわゆる生命感とは、今行うところを無限に繰り返し得る予感にあるのではなかろうか」
「私は自分で手を下すのを怖れながら、他の生物の体を経由すれば、人間の血を摂るのに、罪を感じない自分を変に思った」
「私の左半身は理解した。私はこれまで反省なく、草や木や動物を食べていたが、それらは実は死んだ人間よりも食べてはいけなかったのである」
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