1月の読書メーター読んだ本の数:9
読んだページ数:2452
ナイス数:177
海馬の尻尾 (光文社文庫)の
感想◯アル中でサイコパスのヤクザ、及川頼也が主人公のハードボイルド小説。及川は、ヤクザ同士の抗争から身を隠すため、8週間に渡るアル中の治療のプログラムに参加する。しかし、その施設は精神に病気を持つ者たちを収容する精神病院だった。主人公が救いようの無いヤクザであるので、読んでいてあまり気分の良い作品では無いが、酒が抜け、梨帆と交流してから及川がだんだん親しみやすいキャラクターに変わっていった。
読了日:01月07日 著者:
荻原 浩弟の戦争の
感想☆☆舞台はイギリス、主人公のトムは、3つ下の弟アンディに頼れるやつという意味のフィギスというあだ名を付けています。フィギスは感受性と好奇心が強く、新聞にあった飢えに苦しむエチオピアの子供の写真にのめり込み、食べ物に手をつけなくなるなど、時々可哀想な他者とシンクロすることがあります。12歳のフィギスは、中東で湾岸戦争が始まると、イラク軍の少年兵ラティーフとシンクロしてしまいます。トムは、圧倒的な兵力のアメリカに苦戦するラティーフの姿をフィギスを通じ見て、テレビに映ることの無い戦争の現実を知ることになります。
読了日:01月11日 著者:
ロバート ウェストール流れ星が消えないうちに (新潮文庫)の
感想☆大切な人が逝き、残された者たちの喪失感について深く向き合う小説です。巧と奈緒子、加地くんの3人の物語。巧と加地君は親友、奈緒子と加地君は恋人でしたが、突然の事故で二人は加地くんを失います。加地君の死後1年経って、巧と奈緒子は付き合い始め、半年が過ぎた今を現在として物語は進みます。親友から彼女を奪った感覚が抜けない巧と、目の前の恋人ではなく加地君との思い出が抜けきれない奈緒子。加地君の死から動けなくなってしまった二人が、今はいない加地君と3人で手を繋いで、再び歩き始めるための物語です。
読了日:01月14日 著者:
橋本 紡期待値を超える 僕が失敗しながら学んできた仕事の方法 (光文社新書)の
感想◯ビジネスの基本として、リアルな仕事の現場で必要とされるコミュニケーションを説く本です。ビジネスでは、「認められる」「評価される」ことより「相手が喜ぶ」「相手の役に立つ」「相手を感動させる」ことが大事とのこと。まず、等身大の自分をどう見せるかセルフブランディングして、相手からかけがえのないパートナーとして認めてもらえるよう、相手の困りごとを解決し、未来のために新しい提案をする存在になる事が大事だそうです。
読了日:01月21日 著者:
松浦弥太郎夢を売る男の
感想☆ 慢性的な不況に陥っている出版業界を舞台として、それでも出版に夢をみる人々を描いた連作短編小説です。主人公は弱小出版社丸栄社の編集部長牛河原勘治。彼の顧客は読者ではなく、自分の書いた本を書店に並べたいと自尊心や虚栄心に取り憑かれた著者達です。丸栄社は本の著者に出版費用を負担させて本を出版し、売れるか売れないかに関わらず出版すれば儲かるという商法を展開しています。この作品でどれだけ出版業界が大変か、そして本を書きたい人間がいかに出版業界の苦労を知らずして夢を見てしまうのか思い知らされました。
読了日:01月23日 著者:
百田 尚樹現場主義の人材育成法 (ちくま新書 (538))の
感想☆ 一橋大学商学部で地域産業を教える著者は、中国や地方都市の工場など、先端の現場で夏合宿を行い、知識だけでなく先輩たちの持つ熱気や情熱を学生達に感じさせるように指導をしています。本書の主旨は、指導者が先端の現場に身を置き、相手に世の中の先端を実感させれば、相手にやる気が起きて育って行くとの事。著者の教え子達が中国の生産業の集積地で激アツの深圳テクノセンターにインターン留学し、見違えるほど成長した例があげられています。人を育てるのはコミュニケーションが大事である事を改めて認識することが出来ました。
読了日:01月24日 著者:
関 満博調べる技術 書く技術 誰でも本物の教養が身につく知的アウトプットの極意 (SB新書)の
感想◎情報過多な時代では、インプットする情報をきちんと選ぶよう気をつけましょうと言う本です。著者は、情報は、量は多いが本当に自分のためになっていますかと問います。そして、知的生産の技法を磨き、コミュニケーション能力を高めることで、読者が人生そのものの充実度を高めていくと言うのが本書の目的だそうです。本書でなるほどと思ったことは、教養力アップの方法として、高校の教科書を学び直すこと。良質な情報に触れるためには有料のサービスも活用すること。スマホの独学アプリも役に立つこと。
読了日:01月26日 著者:
佐藤 優僕の死に方 エンディングダイアリー500日の
感想☆平成24年10月に急逝した流通ジャーナリスト金子哲雄さんのエンディングダイアリーです。本書最大の衝撃は、肺カルチノイドという病気に罹り、余命宣告を受けた著者が、周囲にそれを隠して最後まで仕事を続けると決めて、それをやり遂げた事です。自分の死んだ後のお墓や葬儀を始めとする様々な準備を自ら整えて旅立っていった姿が胸を打ちます。そして、病気のことを伏せていた周囲に申し訳ないと思う人の良さや、自分の死の間際まで奥さんの手を握り、奥さんの事を守ると言い続けた愛情には涙が止まりません。
読了日:01月27日 著者:
金子 哲雄ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書)の
感想◎本書の主旨は、記者クラブで各社横並び、取材対象にベッタリ癒着している日本のマスコミはジャーナリズムではない、って事だと思います。ニューヨークタイムスの記者の後、フリーランスとなった著者は、日本よりも外国の目線で、記者クラブについて辛辣な批評を書き連ねています。それらからは、日本のジャーナリズムは、ジャーナリズムとはいえない代物のようです。今日本のマスコミが海外のマスコミからどう見られているか、いろいろ参考になる本だと思います。
読了日:01月30日 著者:
上杉 隆読書メーター