2020年6月30日火曜日

鴻上尚史 「空気」と「世間」 (講談社現代新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編53日目


 アメリカでは、マスクの着用を義務化しようとして、反対運動なども起こり、個人の自由を大切にする国だと痛感させられます。

 

 さて、日本ではどうかというと、世間の目があって、マスクを外して歩いてなどいると、何を言われるかわかりません。郷に入れば郷に従え。日本人の行動を決めるのは、住んでいる場所など所属する集団の暗黙のルールです。そのルールが、マスコミの影響をもろにくらっているのはもちろんですが。


 今日お勧めする本は、そんな日本人ならではの空気を読む習慣について、かなり詳細に掘り下げています。それこそ、空気を読めって言葉は使うけど、その空気って何ですか?著者は、空気とは、日本人が歴史的に所属してきた、世間の一部が壊れて流動化したものと説明しています。空気、世間、社会などについて深く考察し、私たちが生きていくために必要な知恵を与えてくれる本だと思います。


 番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。


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2020年6月29日月曜日

中島 敦 現代日本文学館 李陵 山月記 (文春文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編52日目


 夕食時に、息子から学校の授業について話を聞き、国語の教科書は様々な話の載っている本だと思うと、とても良い読み物だね。と言ってました。そんな中、「お父さん達は山月記って知ってる?」って聞くから、「中島敦だろう?もちろん。持ってるよ」って言った時は、どんなもんだいって感じで、鼻の穴が少し広がってましたね。(^_^;)


 で、今日お勧めする本は、その中島敦です。33才で、亡くなった異才ですが、ギリギリまで研ぎ澄まされた文章がとても美しいのです。


 山月記の書き出しは、以下のとおりです。カッコに読み仮名をふってありますが、口に出して読んでみると、凄くカッコいい文章です。


 隴西(ろうさい)の李徴(りちょう)は博学才穎(さいえい)、天宝の末年、若くして名を虎榜(こぼう)に連ね、ついで江南尉(こうなんい)に補せられたが、性、狷介(けんかい)、自(みずか)ら恃(たのむ)ところ頗(すこぶ)る厚く、賤吏(せんり)に甘んずるを潔(いさぎよ)しとしなかった。


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2020年6月28日日曜日

井上 栄 感染症 増補版-広がり方と防ぎ方 (中公新書 1877)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編51日目


「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と言う言葉があります。さすがに新型コロナウィルスが枯れ尾花とは言いませんが、WITHコロナの時代では正しい知識による適度な怖がり方で済ませたいものです。

 今は、インターネットでの情報収集に頼りがちになりますが、専門家の書いた本も参考になっていいと思います。

 今日お勧めする本は、インフルエンザや、エイズを中心に、伝染病対策の歴史、病原体の種類や性質、伝播経路と遮断法など、感染症の脅威に正しく対処するための基礎知識をわかりやすく解説しているものです。

 マスクする際の飛沫感染と空気感染の違いなども学べるので、ご一読をお勧めします。

 

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2020年6月27日土曜日

冲方 丁 天地明察 (角川文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編50日目


 先週の部分日食は、皆さんご覧になれましたか。わたしも、2012年以来の日食ですから、久しぶりに見ることができて本当に良かったです。

 

 本日お勧めする本は、江戸時代に実在した囲碁棋士であり天文学者であった渋川春海をモデルにした時代小説です。


 春海の懸命にもがく姿。そして、好きなことに傾倒していく様。読んでいて胸が熱くなります。  

 しかし、改暦というわかりづらくも大変な功績をそれほど知られていない人(囲碁界では有名人です)がなしたことをこれほどドラマティックにかける作者の力量がすごいと思いました。

 文章だけで春海の感覚的な成長(貫録など)が伝わってくるのは本当に驚きでした。特に印象的なのは、関と初めて対峙する場面でこれは素晴らしいです。ちなみに好きなキャラクターは建部と伊藤ですねこの二人の暖かさ柔らかさがぐっとこの作品をよくしていると思います。

 

 江戸時代の天文学にロマンを感じる経験を味わってみては、いかがですか?


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2020年6月26日金曜日

田崎 健太 偶然完全 勝新太郎伝

『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編49日目


 本には書いてある事に学びがある本と、内容はさておき、読後考えさせられて学びがある本があると思います。今日お勧めする本は、後者の外側を味わう本として紹介します。

 昭和の大スター勝新は、とにかく破天荒でめちゃくちゃ。昼間から取材に訪れた著者を蕎麦屋に連れて行き、板わさで熱燗を差しつ差されつ取材を受けるなど、スターだったら何しても良いだろう的な話が満載です。

 しかし、平成、令和と時を経て、この様なスターはどこにもいません。昔はいた妾を持つスターも政治家も、今は週刊文春に暴かれて絶滅危惧種です。ビートたけしが破天荒の生き残りかと思えば、北野武となって時代にうまく適応しています。

 ああ、良い世の中になったね。と、思えるかどうか?この本を読んで考えさせられました。

 

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2020年6月25日木曜日

奥野 宣之 情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編48日目


 今日お勧めする本は、ノート活用術の本です。仕事にはもちろん役立ちますが、プライベートにも役立つ内容となっていると思います。例えば、新発田バンドフェスについても、仕事のメモと一緒にその時のノートにメモってあります。

 基本コンセプトは、情報は一冊にじゃんじゃんまとめ、かつ、後からわかるようにしておく。私もこの方法に従っていますが、振り返る対象が1種類のノートですから、とても楽です。

 特に、本書での私のお勧めは、第5章のアイデア術です。内容が薄いのは否めませんが、企画の基本は情報からというコンセプトで、メモ(情報)を企画まで持っていく手法について紹介されているところが参考になります。企画力を磨きたい人にもお勧めです。


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2020年6月24日水曜日

いかりや 長介 だめだこりゃ (新潮文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編47日目


 日曜日にテレビで、志村友達 大集合スペシャルと言う番組が放送されていましたが、皆さんご覧になりましたか?

 私は録画でまだ一部しか観てませんが、非常に懐かしく面白かったです。特に、志村けんと加藤茶のコントが良かったです。

 それで今日のお勧めの本は、いかりや長介さんの自伝です。自伝といってもほとんどドリフターズの苦労話なのですが、全編とおして長さん苦闘の連続です。長さんてホント一生懸命な人なんですね。そして飾り気のない文章がとてもいいです。長さんの真面目で暖かい性格がにじみ出ていてとても良い本でした。

 あらためて、志村さん、そして、いかりやさんお二人のご冥福をお祈りします。


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2020年6月23日火曜日

益田 ミリ 週末、森で

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編46日目


 今日のお勧めは、漫画です。本読むの苦手って、言う人も漫画なら結構読んでいる事も多いと思いますが、如何でしょうか?私は漫画も字ばかりの本もどちらも好きで、たまたま、時間がかからず単価が安いため字ばかりの本を読んでいます。

 それはそうと、この漫画では、田舎住まいが、テーマです。田舎に住むといっても、駅前の一軒家に住むというところがいいんです。スローライフなんてカメじゃあるまいしと一笑にふす早川さんなどのキャラクターが良いです。

 別に森に帰ろうとしているわけではなく、楽しいから森に入っていくという女性たちの自然な感じがとても素敵だと思いました。

先程の早川さんのセリフで、

「豆腐屋のおじさんには「鳥」っていないんだよ。全部に名前があるから。あたしたちも同じなのかもね。「人間」なんてひとりもいないのかも。「人間」って見るから命が軽くなってしまうんだ。」

って、言うところが、刺さりました。


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2020年6月22日月曜日

ポール・ウェイド プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編45日目


 今日は、誰か一緒にやりませんか?っていうお誘いなんです。

 最近、筋トレ始めた話は何度かしていましたが、ようやくこれで行こうという、トレーニングを見つけました。

 それが、今日お勧めする本にあるプリズナートレーニング というものです。要点は、ジムにある器具など使わないで、昔ながらのトレーニングにより、見せる筋肉ではなく、使える筋力を身につけましょうと言う本です。

 とても素晴らしい内容なのですが、最初はゆるすぎて効いてる感じが乏しいし、モノにするには何年かかかるらしいので、誰か一緒に取り組んでくれる人がいると長続きしそうだなと…。

 懸垂ができるバーが必要になってくる様ですので、家に物干し化したぶら下がり健康器がある方、いらっしゃったら一緒に、取り組んでみませんか?


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2020年6月21日日曜日

長友佑都 日本男児

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編44日目


 プロ野球が金曜日から再開され、Jリーグも27日土曜日からJ2、J3が再開されるそうです。だんだん、日々の生活に楽しい事が戻って来ました。

 さて、今日お勧めする本は、試合を観るだけでなく、書籍からもプロアスリートから元気をもらいましょうという事で、長友さんの自伝です。

 ストレッチをしながら自分の体との会話を行う日課から始まる本書の中では、常に長友さんは自分自身と会話をしています。自分の目指す目標をひたむきに追いかける手法とは、これなら負けないという自分を見つけ徹底的にその長所を伸ばす事だそうです。

 しかし、その過程において長友さんは、母子家庭という境遇をコンプレックスに抱え、進路を選択する際には、少なからず家庭の事情に悩まされます。

 そんな境遇を跳ね除け世界で活躍する程の、向上心の塊である長友さんの自伝には、読んだ人それぞれに伝わるエネルギーがあると思います。


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2020年6月20日土曜日

ブレイディ みかこ ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編43日目


「人間は人をいじめるのが好きなんじゃないと思う。…罰するのが好きなんだ」


 今日お勧めする本にある、著者の息子(中一)の言葉です。いじめ問題の根本を「罰したい欲求」と喝破するほど大人びた息子さんと著者の日々のやりとりや、イギリスの社会問題について語られる事の多いエッセイです。


 コロナ禍で問題となった自粛警察や、SNSでの誹謗中傷など、「罰したい欲求」は様々な問題を引き起こします。日本も社会の格差が広がり、この本で描かれるイギリスの様に「貧困」が顕在化していけば、差別やいじめが更に酷くなる可能性もあります。


 内容はとても深いのですが、とても読みやすいので、ご一読をお勧めします。中高生のお子さんがいるなら、本の内容について話したり、一緒に読んでみては如何でしょうか?


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2020年6月19日金曜日

佐藤 多佳子 一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編42日目


 予定通り、今日から全ての県をまたぐ移動が解禁されました。単身赴任でずっと東京から帰って来れなかった方々は、やっと家に帰れるんですね。よいニュースだと思います。

 いろいろな制限が少しずつ解除されていますが、おっかなびっくりしながら、だんだん慣れていくのでしょうね。帰宅時に、職場の隣の長岡大手高校グラウンド横を歩いていると、沢山の生徒たちが部活に励んでいる様子を目にします。大会など目標となるものがなくなっているはずですが、そんなの構わず、一生懸命で明るく楽しそうです。

 今日お勧めする本は、陸上競技部で青春を謳歌する高校生の物語です。

 主人公はサッカーから転向してスプリンターとなる新二。そして親友の天才スプリンター連との友情を描いているところが好きです。

特に、400mリレーをめぐるシーンは何度読んでも感動します。シリーズが3巻まであるのですが、一気に読めてしまいます。

 私はブラバンとか文化部だったので、よくわかりませんが、体育会系の青春て、やっぱり憧れますね。

😊


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2020年6月18日木曜日

国枝昌樹 イスラム国の正体 (朝日新書)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編41日目


 最近、北朝鮮の動きが活発になってきましたが、どうも、中東の情報が入ってこないように思います。

 今日お勧めする本は、5年前に読んだ本ですが、イスラム国をはじめとする中東の状況について解説するものです。

 その当時も、イスラム国どころか、そもそも中東に対する自分の知識の乏しさに情け無くなりましたが、今はさらにわからなくなっている気がします。

 アラブの春、アサド政権、シーア派、スンニー派、エルドアン政権、クルド人、ムスリム同胞団、ジハード、カリフ、イスラム過激派。以前よく見聞きした、これらのワードを再勉強する機会を作りたいと思います。

 

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2020年6月17日水曜日

増田晶文 うまい日本酒はどこにある? (草思社文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編40日目


 新型コロナの影響で、飲み会はさっぱり出来なくなりました。これが新しい生活習慣と言われても、少し寂しい気持ちになります。個人的には、友人とのサシで飲む機会が増えて良いこともあるので、いってこいになってますかね。

 さて、お勧めの本は、汎日本酒主義者と称し、日本酒を愛する著者が、焼酎などに押され、想像以上に厳しい日本酒業界の現況をレポートするものです。

 地酒の酒蔵、大手メーカー、酒販店、居酒屋等で出会う人々から伝わってくるのは「日本酒の素晴らしさを知ってもらいたい」という一念です。

 昔は日本酒がダメな人も多かったのですが、今はそういう人も少なく、日本酒復活の機運を感じられるのは、日本酒に関わる方々の努力によるものと思います。


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2020年6月16日火曜日

伊坂 幸太郎 ゴールデンスランバー (新潮文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編39日目


 新型コロナでは、感染した人を犯罪者の様に扱い、個人情報を競う様に取り上げられたため、コロナウィルスよりもたちの悪い誹謗中傷による被害者を出してしまいました。

 今日お勧めする本は、国が情報操作して犯罪者をでっち上げちゃう、トンデモ話です。主人公は容疑者として追われる身となりますが、そのお父さんは、取り囲むマスコミに対して、息子の無罪を信じるコメントを微塵も揺るがない態度で発します。

 この、お前らが何を言おうと俺は俺の知っている息子しか信じないという主人公のお父さんのスタンスが、今の時代必要なのではないかと強く感じた作品です。


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2020年6月15日月曜日

明智憲三郎 完全版 本能寺の変 431年目の真実 (河出文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編38日目


 大河ドラマ「麒麟がくる」の放送が休止となったようです。私は楽しみにしていたのですが、観る時間が作れず、ビデオにたまりっぱなしです。それでも、歴史的な反逆者とされた明智光秀が、主役のドラマが作られている意義は素晴らしいと感じているので、後日、必ず観ようと思います。

 今日お勧めの本は、光秀の子孫が書いた歴史検証の本です。当然、光秀よりに書かれていますが、推理小説を読むような謎解きの過程がとても面白いです。

 本屋さんでも平積みされていますので、ぜひ手に取ってみてください。

 

😊


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2020年6月14日日曜日

東野 圭吾 夜明けの街で (角川文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編37日目


 アンジャッシュ渡部が不倫騒動でワイドショーに取り上げられているようですが、この作品の主人公も渡部という名前で、どっぷり不倫に落ちていきます。


 ミステリーの形をとっていますが、ミステリーとしての魅力はイマイチです。ただただ渡部が不倫に落ちていく様をハラハラ、ドキドキしながら追体験する事にこの作品の価値を感じます。

 とにかく、不倫は怖い。

 自分も同じ状況になれば、同じ事するだろうと思います。悪いことした人を叩くのも良いのかもしれませんが、こんな読書体験で自分を守る免疫を高める工夫?もありだと思います。


 ちなみに、サザンのLOVE AFFAIR 〜秘密のデート と言う曲にインスピレーションを受けて書いたという小説なので、ちょこちょこ、歌詞を反映した場面が描かれているところをチェックするのも楽しいです。

 

😊


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2020年6月13日土曜日

有川 浩 三匹のおっさん (新潮文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編36日目


 新潟県も木曜日に梅雨入りしました。ジメジメした天気が続くと思いますが、こういう時こそ、晴耕雨読と言う通り読書で過ごす週末も良いものですね。

 こんな時には、読みやすく、スッキリ痛快な読後感の小説がオススメです。そこで有村浩さんですね。

 本作、「三匹のおっさん」ですが、まず三匹のおっさんそれぞれキャラが良いです。そしてなんといっても事件の設定や結末の気持ちよさが素晴らしい。その結末の大半は自分たちは警察ではないからと裁きは人任せ、あくまで守るべきものを守るためだけに動いている、このポリシーが揺るがないところが、なんともわたし好みです。

 年の功とでもいうような、人生観の深さや、寛容さの表現もグッド。特にお勧めは第4話の子供と社会における考察の深さが秀逸です。まさに現代版時代劇というべきこの作品。第二弾も出てますので、ぜひ読んでみて下さい。


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2020年6月12日金曜日

田崎 健太 真説・長州力 1951-2015

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編35日目


 Twitterで、長州さんをフォローしているんですけど、いつもほのぼのしていて良いんです。レスラーとして観ていたイメージと随分違いますね。

 今日お勧めする本は、長州さんの半生をとおしてプロレスの盛衰をわかりやすく伝えるノンフィクションになります。

 少しきついところとしては、在日朝鮮人2世として生まれた長州さんが若い頃、韓国代表としてオリンピックに出場するくだりなどでは、晴れ晴れしさというより「在日朝鮮人」という言葉のもつ残酷な重さや冷たさが伝わってきます。

 以下書抜、「長州力を描くことは、吉田光雄という、本質的に慎ましい、店に入ると隅に坐ってしまう在日朝鮮人二世の人生を描くことだ。ただ彼の周りにはプロレスという虚と実が入り混じった靄がかかっていた。」


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2020年6月11日木曜日

平野友朗 仕事が速い人はどんなメールを書いているのか

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編34日目


 新型コロナにより、在宅勤務なる勤務形態を新たに経験しましたが、皆さんの職場でもリモートワークなど新たな働き方が進んでいるのでしょうか?

 今日お勧めする本は、新たな働き方に限らず、今の仕事に必須のスキルとも言える、メールにかかる指南書です。とは言っても、メールへの理想的な対処法をメインとしながら、仕事全般のスピードアップに活用できる本になっているところが、二度美味しいって感じで、良いです。

 中身はと言うと。仕事の速い人のメールは「目的」「ビジュアル」「返信しやすさ」「言葉」「処理時間の削減」の5つを気を付けている。仕事の速さは、「先まわり」の力が重要との事でした。メールを受け取った人の視点でメールを書けるかにかかっている様です。


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2020年6月10日水曜日

水村 美苗 日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編33日目


 英語ってそこまで大事ですか?日本語って凄く恵まれている言葉ですよ。特に近代日本文学はぜひ読もうねって言う本なんですが、これではこの本の魅力は伝わらないですかね。

 私たちが普段目にする書き言葉について、凄く考察している本ですので、もし興味があったら、図書館ででも手にとって欲しい本です。私には少々難しい内容でしたが、言葉についての認識が180度変わりました。

 世界にはさまざまな国があり、さまざまな言葉が使われているが、その中でも英語は世界共通の普遍語として猛威を奮っており、日本語やフランス語、ドイツ語などを含むその他の言語は自然淘汰される恐れがあるとの事です。


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2020年6月9日火曜日

猪口 修道 キリンの流儀―カネに頼るな、自分に頼れ!これが「頭で考える営業」だ

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編32日目


 私がこの本をお勧めするのを躊躇う理由は、「キリン・ザ・ゴールド」は、上手くいかず早々に販売中止になっているからです。

 それでも、新商品開発から販売に向けての関係者の懸命な努力の物語は、とても面白くパワーをもらえるので、一読をお勧めします。

 真夏の様に暑い日が続いていますが、ビールのお供にしても良いですね。ちなみに私はサッポロ黒ラベル派です。

😊


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2020年6月8日月曜日

百田 尚樹 モンスター (幻冬舎文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編31日目


 人の美醜に対するこだわりと欲求はかくも深遠なのだろうか?酷く醜い顔に生まれたばかりに、悲しく屈折した青春時代を送った主人公が、美容整形に出会い、誰も叶わないような美貌を手に入れ、大きく人生を変えていく。まるで人生の成功譚を読んでいるよう。しかし、合間合間に、自分を蔑んだ者達への復讐もえげつなく遂げられる。そんな狂気に満ちた人生を歩む主人公は果たして幸せだったのか、美醜と人の幸せについて考えさせられるとても切ない作品。


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2020年6月7日日曜日

村上 龍 半島を出よ (幻冬舎文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編30日目


 横田滋さんが、その生涯唯一の願いが叶わず亡くなった。あらためて、我が国の無力さを感じざるを得ない。平和憲法とは、誰に対しての平和を目指しているのか?少なくとも国家ぐるみの犯罪被害者に平和をもたらすことは無かった。やはり、どこか改善すべきところがあるのかもしれない。

 この半島を出よは、北朝鮮特殊部隊が福岡市を乗っ取ってしまうと言うトンデモ話ですが、戦争ではなく犯罪レベルで平和について考えるきっかけになる作品だと思います。


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2020年6月6日土曜日

スティーヴン・ガイズ 小さな習慣

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編29日目


 私が、この本の影響を受けてドラムの基礎練始めてからもう4ヶ月になります。なかなか、コロナ禍でバンド練習に活かすことができないのですが、この本の効果を実感しています。

 自己啓発本ってよくありますけど、結局読む前と読んだ後でその人が何も変わらなくては、全く意味がないと思います。それは、どんなにすごいことが書いてあるかという内容よりもかなり重要な事だと思います。

 この小さな習慣という本は、自分の生活習慣を変えていくには、ハードルが高く効果の大きい行動よりも、簡単すぎて拍子抜けするような小さな習慣(腕立て伏せ一回等)を毎日続けて習慣化することで、自分を目標に近づける事ができると説く本です。つまり、確実に自分を変える方法が書いてある究極の自己啓発本とも言えるのです。

 ずっと同じ事を繰り返し書いてあるので、読み物としてはつまらない著書ですが、下手すると、自分の人生すら変えてしまうパワーがある著書でした。


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2020年6月5日金曜日

葉室 麟 蜩ノ記

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編28日目


 たまには、時代小説を読むのも良いものです。

 この作品は、戸田秋谷という武士の生き様を通して、「命を区切られた時、人は何を思い、いかに生きるのか?」その命題をとことん突き詰めて行った物語だと思います。私利私欲を捨て、自分の信じた道を進む。結果として自分の命を捨てる結果となろうとしても、微塵も動揺はない。これが今を大切に生きるということかと得心しました。

 物語に出て来る子供達もいい味出しています。秋谷さん、庄三郎さん、源吉くん、郁太郎くん、みんな本当にかっこいい。


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2020年6月4日木曜日

恩田 陸 蜜蜂と遠雷(幻冬舎文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編27日目


 コンテストで競い合うピアニスト達の物語。小説で音楽を表現するというのも無茶な話だと思ったが、ピアニストそれぞれの個性も聞き分けられるように描かれていた。

 作中でピアノの練習が家の手入れのようだと喩えられていたが、確かにサボると散らかったりして人に見せられなくなるなど、凄くわかる気がした。

 長編ですが読み易いので、あっと言う間に読み切れます。


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2020年6月3日水曜日

松本 泰生 東京の階段―都市の「異空間」階段の楽しみ方

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編26日目


 まだまだ、予断を許さない東京のコロナ。せめて本だけでも、東京の街を味わいたい。階段や坂にこだわった、少しマニアックな本ですが、誰でも楽しめる内容になっています。^_^


 この本に載っている階段の写真はどれも美しく、ドラマを感じる。階段の良さとは、そこに人々の生活や重厚な歴史を垣間見ることができることだと思う。味わいのある写真だけではなく、この本の魅力は何といっても著者のマニアックで秀逸なコメントです。階段を愛でる気持ちで溢れています。踏み石がガタガタになり崩れかけた階段に味わいがあると言っているところにも共感出来ます。果物も腐れかけが甘くてうまいと言うがそれと同じかもしれない。


番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。

2020年6月2日火曜日

高村 光太郎 他1名 高村光太郎詩集 (新潮文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編25日目


 たまには、全部読み終わっていない本を紹介したい。

 残業帰りに夜遅く自転車を漕いでいる時に、 NHKラジオで聞いた、「火星が出ている」にめちゃくちゃ惹かれて、買った本ですが、未だ全部読んでいません。

繰り返す「火星が出ている」と言うフレーズは、もちろんのこと。「否、否、無限大に否」などの全編を貫く力強さが好きです。特に、好きな箇所は、


「落ち葉をふんで

 藪を出れば

 崖。


 火星が出ている」


何なんでしょう。この理解不能な良さがたまりません。次こそ読み切ってみたいと思います。


番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。

2020年6月1日月曜日

住野 よる 君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

 『7日間ブックカバーチャレンジ』番外編24日目


 小説が映画化されると、必ず原作が良いって言う人がいますが、私もその一人です。

 この作品も多分に漏れずその口で、原作がおすすめです。

 まあ、映画ではいろいろ加えてありますから、全く違う話としても読めるので、一読をオススメします。

 結構泣ける話なので、涙腺の弱い人は注意して読んで下さい。


番外編では、ジャンルに拘らず、自分がもう一度読みたい本、どうしても人に勧めたい本を上げております。